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デジタル・コンテンツ・ビジネスの未来

050328_034709  今までも、何度か「パーケージビジネスの終焉」だとか、「ソフトウェアはサービス」という言い方で、インターネット時代のビジネス・モデルに関して色々な言い方で延べて来たが、今回はそういったメッセージを通じて私が何を言いたかったかをまとめてみたいと思う。

 ひとことで言えば、「音楽・映像・ゲーム・アプリケーションなどデジタル・コンテンツは、次第に月額固定料金での『見放題・遊び放題・使い放題』のサービスとして提供されるようになる」ということである。

 コンテンツがCDやゲーム・カートリッジのような「物」として流通している限りは、消費者ははっきりと「所有」を意識する。消費者にとって、2000円なりのお金を払って、その対価として音楽CDを受け取る、という行動は、靴屋で靴を買う、肉屋で肉を買う、などの経済活動と全く同じ皮膚感覚で行える。

 しかし、インターネットを介して、従来の「物販」と同じビジネスモデルでデジタル・データとしてコンテンツを流通させるのにはさまざまな問題がある。

 まず第一に、その「所有感覚」が非常に薄いのが大きな問題である。消費する側にとってみれば、お金と引き換えにダウンロードした音楽データが、自分のパソコンにデジタル・データとしてあるだけ、という感覚はCDなどの「物」を所有する場合と比べて、非常に不安である。「間違って消してしまったらどうしよう」、「ハードディスクが壊れたらどうするのだろう」などの感覚は当然で、その不安感は、提供する側が「一度購入したコンテンツは再度ダウンロード可能です」と言っても簡単に拭えるものではない。

 第二に、消費者がデジタル・コンテンツのコピーにはあまり罪悪感を感じない、というのが大きな問題である。全世界で Winny などを使って行われる違法コピーによる音楽・映像業界への被害は1000億円を超えるとも言われているが、それもデジタル・コンテンツの「所有感覚」の欠如のなせる業である。それを防止しようと、さまざまなコピー・プロテクションの技術などが開発されているが、いたちごっことなっているのが現状である。

 私はこの問題を解決するには、一曲あたり幾ら、一ゲームあたり幾ら、というコンテンツを「物」として流通させていた時代のビジネス・モデルから脱却して、「月々幾ら円で音楽聴き放題」、「月々幾らでゲーム遊び放題」というビジネス・モデルに移行するのが一番だと信じている。その月額課金料金が一度サービスの提供者に集められ、コンテンツ提供者に対しての分配金は、実際にユーザーがどのくらい聞いたか・遊んだか、に応じて決定されるのである。つまり、昔からある「有線放送」型のビジネス・モデルである。

 「○○放題」のサービスとしてデジタル・コンテンツを提供することにより、サーバー側で加入者の管理をしっかりことが可能になり、消費者側にはあいまいな「所有」感覚ではなく、「月々課金」の代価として「○○放題」が楽しめる、というとてもストレートな「加入」感覚が生じることになる。もちろん、サービスそのものをコピーしようなどとは普通の消費者は思わないしできないし、月額課金という自分自身のIDと繋がったものを悪用するのにも抵抗がある。

 以上の理由で、私は iTune のようなダウンロード課金は一過性のものでしかなく、最終的には Rhapsody のような「聞き放題」サービスに集約されていくだろうと確信しているのである。もちろん、今までの「物の流通」型のビジネス・モデル上での既得権者が抵抗してくることは目に見えているが、流れは変えられないと思う。先月も Napster が Napstar To Go という「聞き放題」サービスを始めたし、近いうちに日本でもそんなサービスが始まることを期待している。

 こう考えてみると、コンテンツの作り方も変えていく必要があるかも知れない。コンテンツがサービスとして提供される時代には、莫大な制作費と宣伝費をかけて発売後2~3週間で一気に回収しようという作り方より、長く聞いてもらえる・長く遊んでもらえるコンテンツ作りをする必要がある。最近では、中島みゆきの「地上の星」が記録的に長い間チャートにい続けたことはよく知られているが、あんなコンテンツこそがオンラインの時代には最適なのである。

 ちなみに、「ロングセラーで有線放送型のビジネスモデルに強い」コンテンツと言えば演歌である。だからといって、「これからのオンライン・コンテンツは演歌を参考にして作らなければならない」と言う話でもないが、演歌がなぜロングセラーになるのかを研究しておくのは無駄にはならないかも知れない。「演歌だけでなく、サザンもユーミンもロングセラーだ」という声が聞こえてきそうだが、私には彼らの歌は演歌に限りなく近いと思っている。堀内孝雄なんか、完全に演歌歌手になってしまったし。

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Comments

glass-_-onion

下世話なコメントで申し訳ありませんが、
この話ってエロビデオの世界では当たり前になってますよ。
ネットでDVDを売ってる業者もありますが、月額固定料金で見放題ダウンロードし放題ってのが数年前から定着しています。

有名なサービスとしてDMMが挙げられます。
DMMは元々エロビデオ専門の配信サービスをしていたのですがここ最近、一般のビデオにも手を広げてテレビCMなんかもやってたりします。
初めてDMMのテレビCMを見たときはエロサイトが堂々とテレビCMやってると思って真面目にびっくりしました。

サービス化の流れはビデオや映画で結構当たり前になってきているので音楽もサービス化されることは十分ありえますね。
作り手に利益をどう還元するのか気になります。やっぱりダウンロード数で決めちゃうんでしょうか。

ただレコード狂の自分にとっては音楽のリキッド化はあまりいいことには思えません。まぁ使い捨ての薄っぺらい音楽が減るのであればそれはそれで歓迎できるような気もしますが...。

結城聡

梅田さんの著作ではじめて中島さんのことを知り、その洞察力と楽しい文章にはまってしまいブログを一気に遡って読んでいる者です。ようやくここまできました(笑)
私も少なくとも音楽に関しては月額定額聴き放題こそが主流になると考えていて実際にナップスターのヘビーユーザーでした。
ところがご存知かと思いますが日本では今年(2010)の5月いっぱいでサービスが終了してしまいました。私自身もナップスターを普及させるべくブログやツイッターでまめに紹介していたのですが、そもそも認知度が低かったようですね。
ドコモ携帯とは提携していてテレビCMもやっていたのですが。
ナップスターの少なくとも日本における失敗の原因はいったいなんなのでしょうか?対応デバイスの少なさ?洋楽中心のコンテンツ?
いずれにせよ非常に残念でした。

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