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なぜ牛肉は新鮮すぎない方ががおいしいのか?

050505_110826 年の半分は雨季で、曇りと雨の日が続くシアトルだが、5月にも入ると雨季もそろそろ終わりで、町中がいっせいに冬眠から覚めたように、夏支度をはじめる。特に hardware store (日本には Do It Yourself センターという和製英語があるが、たぶん通じない)は、植木・庭道具・バーベキューセットなどを表にならべて、購買意欲をそそる。

 以前のバーベキューセットは、私の単身残留中にゴミの塊と化してしまったので、新しいものを仕入れて、さっそくコスコから買ってきた特大サイズのステーキを焼いて舌づつみをうったのが日曜日である。しかし、さすがにコスコから買ってきた大量の肉を一度には消費できず、今日(水曜日)になって残りの肉を焼いて食べた。

 そこで気がついたのだが、味がはっきりと違う。全く同じ焼き方をしたのにも関わらず、肉の風味が増しているのである。妻に言わせると、「コスコの肉は新鮮すぎるので、少し置いてから食べた方がおいしい」のだそうだ。依然、グルメ・マンガで「牛肉は腐る寸前が一番おいしい」と聞いたことがあるが、本当なのかも知れない。

 これに関しては、以前から暖めてきた「科学うんちく」があるので、ここで披露しよう。「なぜ、少し古い肉の方がおいしいのか?」である。「牛肉の成分の何がどう変化して味が変わるのか」ではなく、「人間はなぜそれをおいしく感じるのか?」である。

 (竹内久美子になりきって)それは、遺伝子のなせるわざである。昔、人間が洞穴でくらして狩猟生活をしていたころのことを想像して欲しい。男たちは狩に出かけ、女たちは洞穴で子供たちの世話をしていたころのことである。ある部族の男たちは、しとめたばかりの獲物の新鮮な肉の味が大好きだったため、その場で食べてしまった。別の部族の男たちは、少し時間が経った肉の味が好きだったため、洞穴に持って帰って食べた。さて、どちらの部族の男たちが多くの子孫を残せたのだろう。もちろん、洞穴に肉を持って帰って、家族と分け合った後者の男たちである。それ故、現代人は今になっても、少し時間が経った肉の味の方が好きなのである。

 どうだろう、もっともらしい「科学うんちく」だろうか。いまいち説得力に欠けるかも知れない。「じゃあ、魚はどうして新鮮な方がおいしく感じるの?」と聞かれそうだ。一応それにも答えが用意してある。

 (再び竹内久美子にもどって)それは実は人間は海辺で進化したのではないかという説と深い関係がある。木から下りた人間は、サバンナの肉食獣を避けるために、海岸に近い洞穴に移り住み、そこで、貝や魚を食べて暮らしていた時期があると言われている。その時には、遠くまで狩に行く必要もなかったし、常温ではすぐに傷んでしまう魚を食べないための防衛本能として、新鮮な魚をおいしく感じるように人間は進化したのである。

 少し無理があるかも知れないが、動物行動学者でもなんでもない私が、主観にあふれた私のブログで展開する「頭の柔軟体操」としては十分だろう。自分の持っている科学知識を総動員して、一見もっともらしい説を唱えることができれば、いっぱしの「科学うんちく」である。私は竹内久美子のゴーストライターにはなれないかもしれないが、「不機嫌なジーン2」の脚本へのネタの提供ぐらいならする自信はある。

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Comments

うはは。面白いです。後者の男たちが多くの子孫を残したというより、後者の男と一緒にいた女性が栄養の面で恵まれ、多くの子孫を残した、よって「時間が経った肉」嗜好のDNAが多く受け継がれ、そのDNAを持った個体が指数関数的に増えて現在に至る、ということ、、、ですか?ん、なんかこんがらがってきました。いいのかな、、、ん?

とにかくちょっと「う~ん、あるかも」と思わせるだけのエネルギーを秘めた説ですねー。(^^

 コメントありがとうございます。こんな私の「うんちく」と、科学者が実験・観察の末に学会で発表する「学説」との間には確かにギャップはあるのですが、「与えられた情報を元に推論・議論する」という科学の楽しみのエッセンスの部分は共通していると思います。こんな科学の楽しみ方をもっと知ってもらえば、科学好きの子供たちも増えるのでは、と常々思っています。

ん~中々の説得力ある説だと思います。肉の成分ではなく、遺伝子的な観点がとても面白いと思いました。私も持ち帰った肉を食べた女性や子供たちが栄養面で優れていて、子孫繁栄、幼少期の死亡率低下をもたらしたのではと思います。魚の方は... ご愛嬌ですかね(笑)

 Hiro さん、コメントありがとうございます。人の好き嫌いだとか美観を説明するときに遺伝的観点を応用すると今までとまったく違う説明ができます。例えば、「なぜ乳幼児があんなに可愛いのか?」という疑問です。遺伝的観点で考えると、結構すんなりと説明できます。

乳幼児がかわいいのか、という話では、最近おもしろいコラムを読みました。

なんかの雑誌(たぶんクレジットカードの会報)に「フランスにある子供の人形は、日本人である自分からみると、どれも可愛くない。妙にリアルでしわくちゃで、可愛くない。でも、フランスでは絵や人形のほとんどは、そんな感じ。よく考えたら、そもそもフランス人のホンモノの子供もあんまり可愛くない。でもフランス人は可愛いと感じるんですよね」という内容。そして、「でも最近は、ポケモンなど、日本のアニメが入ってきて、フランスで売られている子供の人形も日本っぽいカワイイものになってきた」と締めていました。

↑雑誌が分かりました。Pen 5/1号の93ページ、「パリ右眼左眼」というコラムでした。

 関さん、お久しぶりです。確かに美観というのは、国によって結構違うようですね。特に、日本のまんが・アニメは良かれ悪しかれ世界的にも突出しており、これが世界に本当の意味で通用していくのかどうか楽しみです。米国でもティーンエージャーの間では、日本のコミックが結構流行りだしています。

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