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タイトーと言えば…、26年ごしの懺悔

050823_113933 今日は私の会社でも、「スクエニによるタイトーの買収」のアナウンスメントで盛り上がった。私の世代にとっては、タイトーといえば、その「スペースインベーダー」で日本中の喫茶店のテーブルをあっという間に埋め尽くし、「普通の人がゲームをする」時代を作り出したパイオニアであり、そのイメージが今だに強く残っている。

 スペースインベーダーと言えば思い出すのが、パソコン黎明期(1979年)にNECから日本最初のパソコンPC-8001が発売された時のある出来事である。アスキーにバイト君として日夜出入りしていた大学生の私と私の相棒に、ある日突然指令が来たのである。

「NECからPC-8001という日本で最初のパソコンが発売することになった。そこで巻頭カラーで大々的に記事を書くという名目で一台何とか借りてきた。何か記事にできそうな見栄えの良いものを作ってくれ。」

 新しい物好きの私は真っ先に飛びつき、マニュアルを見ながら色々と遊び始める。それまで主に触っていたのが自分で半田付けして作ったTK-80(これもNEC製)だったので、「きちんとケースに入ったパソコン」というだけで感動である。遊んでいるうちに、どうやって線を描けば良いかなどがだんだん分かってきたが、締め切りは刻々と迫ってくる。「見栄えの良い」ものと言われても、何を作れば良いのだろう。私と相棒は悩んでいた。

 締め切りも二、三日後に迫った時、どちらからともなく、「マシンの紹介記事なんだから動かなくてもいいじゃん。画面だけ作っちゃおうぜ」という悪魔のささやきが漏れる。そこで早速簡単なビットマップエディターのようなものを作り、それでまず作ったのがスペースインベーダーの画面。完全なでっち上げである。もちろん、タイトーの許可なんか採っていない(このころはソフトウェアのコピーライトの概念が全く確立していなかった)。「次は3次元バスケットボールだ!」、「3次元ゴルフだ!」とひたすら画像だけを捏造するバイト君二人。画像を作るだけなので、そのパソコンに3次元画像を処理する能力があるかどうかなんか気にする必要もなく、サクサクと作れる。何だかんだと8つほどのゲームの『捏造画像』を作り上げ、編集長に持っていくと大喜び。「早速遊ばせてくれ」と言われるが、「全部、ただの画像です」と白状するしかない。

 しかし、編集長は、「遊べないのか、残念だな。でもこれで記事には十分。良くやった。」と褒めてくれる。大物である。結局、編集長は、僕らバイト君が捏造したゲームの画面写真を「画像はイメージです」の一言も加えずに巻頭カラー記事にしてしまった(ちなみに、右ページの頭は私の頭)。NECの担当者にはどうやって説明したのか、今でも謎である。

 その記事の反響はとても大きく、PC-8001を買った読者から、「PC-8001向けのスペースインベーダーはいつ発売するんだ」という問い合わせがアスキーに沢山来たという。パソコンの黎明期だからこそ許された、今なら「やらせ」もしくは「ベイパーウェア」と批判されそうな歴史の一コマである。しかし、それに刺激されて本当に動くスペースインベーダーを作って投稿してきた読者もいたし、この記事がPC-8001の売り上げ(つまりパソコンの普及)に大きく貢献したとも言われているし、こういう「目に見える形で未来を提示」したのには、それなりの意味があったと今では思っている。

 考えて見れば、あれをキッカケにプロトタイプ作りが大好きになったのかも知れない。90年にSmallTalkで作ったプロトタイプのデスクトップをマイクロソフトのPDCで「次世代OSのユーザーインターフェイス」としてデモしたのも私だし(結局、Windows 95 の形でリリースできるまで5年もかかってしまったが)、CEOになった今でも相変わらずUIEngineの上でプロトタイプやサンプルプログラムを日々作っているのも私である。私のプロトタイプを見て一人でも多くの人が「ユビキタスなデバイスとウェブサービスを組み合わせるとこんなことが出来るんだ」と刺激を受けてくれればいい、と相変わらずの楽天的な動機でプログラムを書き続ける毎日である。

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Comments

これすごいですね。一週間の旅路から帰って来た夜中の2時に読み、感動して目が覚めました。もうひとつびっくりなのが、意外とブックマークされていなこと。確かにブックマークする内容ではないかもしれません、すごさをあらわす指標としてはブックマークは不適切なのかもしれませんね。”へ~”ボタンぐらいがいいのかも。

確かに、ブックマークするほどの記事ではないですね。今度、はてなに「へえボタン」の機能を実装するようにお願いしてみますか。

とても興味深い内容でしたのでTBさせていただきました。

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