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「Software is service」の心構え

051028_075214  社員向けの英語ブログの3番目のエントリーは、「Software is service: Why is it so hard for software engineers to fully internalize it?」というタイトル。私の会社には、Microsoft、Apple、PalmなどでOSとかIDEなどの開発経験のある優秀なエンジニアが集まっているのだが、伝統的なソフトウェア作りでの成功経験があるからこそなかなか理解してもらえないのが、「Software is Service」の心構えだ。今回のエントリーは、そんな彼らのためのメッセージ。

 少し前までのソフトウェア作りのプロセスは、(1)マーケットやテクノロジーのことが分かっている賢い人たちを集め、(2)彼らに作るべきプロダクトをデザインさせ、(3)必要な人員を集めて作り込み、(4)ある程度できたところでベータ版としてリリースし、(5)ユーザーのフィードバックを集めると言いながら、機能に関するユーザーからのリクエストはほとんど無視して、見つかった重要なバグにだけ対応して、(6)最終版をリリースし、(7)出荷パーティを開いてから休暇を取る、というものであった。このプロセスは中規模なもので1~2年、Windows Vistaのように大きなプロジェクトになると4年も5年もかかるケースもある。

 この場合、もっとも大切な部分は(2)のプロダクト・デザイン(ソフトウェア・アーキテクチャーも含む)であり、エンジニアの仕事はリリースした時点で終わる。

 一方、レストラン、スポーツ・ジム、テーマ・パーク、ウェブ・サイトなどのサービス・ビジネスを運営する場合には、全く違う心構えが必要である。そもそも、そういった人たちは、サービスをオープンする前に「完璧なサービスをデザインしよう」と試みすらしない。サービス・ビジネスに従事する人たちは、実際の顧客と触れ合いながらサービスを作って行くことの重要性を良く理解している。レストランのオーナーは、無駄に時間をかけて「完璧なメニュー」を用意してから開業するのではなく、まずは「仮のメニュー」を用意して開業し、客の注文するものやフィードバックに応じて、きめ細かくメニューを改良して行くのである。ディズニー・ランドが、新しいアトラクションを追加したり、長い列に並ばなくて済むような工夫をしながら改良をし続けるのも同じ理由である。一度来てもらった来園者に何度も何度も来てもらうためには、常に改良し続けることが必須なのである。

 言い換えれば、サービス・ビジネスを運営するべきで最も大切な時期は、顧客に対してサービスを開始した日から始まるのだ。サービスのオープン当初から最高のサービスを用意しようとすることよりも、オープンしたその日から顧客からのフィードバックを効率よく吸い上げ、それをいち早くサービスに反映して改善していくことを可能にするプロセスをしっかりと用意しておくことの方がずっと大切なのである。

 良い例が、「はてな」の提供するさまざまなサービスである。近藤社長が述べているように、「100%作りこんでからユーザーに届けるよりも、50%ぐらい作ったところでリリースして、ユーザーに使ってもらいながら改良して行った方が良いものが出来る」のである。これこそ、すべてのウェブ・サービス・ビジネスに関わる人達が持つべき、「サービス・ビジネスの心構え」である。

 インターネットの普及のおかげで、ソフトウェアの流通コストはものすごく安くなったし、ユーザーからのフィードバックも瞬時に得られるようになった。そんな意味では、うちのようなソフトウェアを作る会社も「サービス・ビジネス」の心構えでもの作りをしなければいけない時期が来ているように私には思えるのだ。完璧なソフトウェアを何年もかけて作りこんでから市場に出すのではなく、未完成なものでも良いからいち早く市場に出して、ユーザーと対話をしながら作り上げて行った方がずっと良いものが出来るように思える。これからは、そんな新しい形でのもの作りを可能にするプロセスをしっかりと持っている会社が強いのではないか、というのが私から社員へのメッセージである。
 

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Listed below are links to weblogs that reference 「Software is service」の心構え:

» ソフトウェア業界もついにサービス業へ from Beagle Blog Site
このところ、ソフトウェア業界(そんな業界があるのかは不明だが)では、 「Software is service」という考え方に変わろうとしているらしい。 Satoshi Nakajima氏の blog 「life is beautiful」でも、社員にこの考え方を説いている。確かに、今の時代に合っている考え方の様に感じられる。 Nakajima氏の blog にもあるが、ソフトウェアが完成するまでには、長い時間が必要だ。最近では、マーケット(社会とも言うべきか)が、ソフトウェアの完成まで... [Read More]

» ライセンスからサービスへ from かつて紅かった。
「Software is service」の心構え [http://satoshi.blogs.com/life/2005/10/software_is_ser.html] Nakajima氏による、ソフトウェアのサービス販売に関するエントリ。 ソフトウェア製作企業の戦略として、製品(ライセンス)販売とサービス販売における作り手側の違い、とでもいうべきでしょうか。 その企業を一流ブランドとして世間的に知名度を確たるものにするには、やはり製品販売が強いです。お店に行けばその企業の製品が並んでいると... [Read More]

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Comments

ひ

はじめまして。ネットワークゲーム企業のビジネス手法、サービス手法を彷彿とさせられました。ネットワーク上のビジネスは、どういったジャンルでも似た傾向の手法を採用するのかもしれませんね。

snowbees

話は少しずれますが。ヨドバシカメラのアキバ店が大盛況で、オープン後の1ヶ月の入場者数が3.5百万人。ディズニーランドの記録を超えた様です。

http://mdn.mainichi-msn.co.jp/national/news/20051029p2a00m0et022000c.html
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0913/yodobashi.htm

&

写真はTon80ですね。HighTonかな。ご自身で出したんですか?
接客ではいかにゲストをコントロールするかがポイントです。
わかり易く、心地よく、その上でいただくクレームなりご意見は宝です。
言ってもらえるだけありがたいというものです。

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