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ゲームの開発も Web2.0 的にやっても良い時期かも知れない

051108_163935  先日の「Web2.0時代らしいエンジニアのクリエイティビティの引き出し方」というエントリーに対しては、色々なフィードバックをいただいた。その中に、私のスクエニでのポジションを意識してか、「ゲームの開発にも適用出来ないだろうか」という問いかけもあったので、それに対する返答の意味も含めて私なりの考えを書いてみようと思う。

 答えから先に言ってしまうと、「ぜひとも適用してみたい」と考えている。

 従来型の「数千万~数億円の開発費をかけて、ハードウェアの性能を最大に生かしたゲームを作り、ミリオンセラーを狙う」というゲーム作りは、そのビジネス・リスクの高さ故に、どうしても「実績のあるプロデューサー」に任されることとなり、なかなか若いクリエーターたちにチャンスは巡ってこない。もちろん、そういった大プロジェクトに開発スタッフとして参加して経験を積むのも大切だが、それだけで彼らのモチベーションを保ち続けるのは難しいし、せっかくのアイデアが埋もれてしまうことも数多くあると思う。

 そこで、インターネットの力を最大限に生かして、若いクリエーター達のクリエーティビティを最大限に引き出すようなゲーム開発プロセスを試してみるべきではないかと考えている。ざっとこんなイメージである。

1.2~5人程度のミニチームを複数作り、それぞれのチームに、「指定した期間(例えば3ヶ月)でプレイヤブルなベータ版を作れ」と指示を出す。この際、前もって「企画書の作成」とか「プロジェクトの承認」とかは一切する必要はなく、自分達が良いと思うものを作れば良い。

2.ゲームはどんなジャンルのものでもかまわないが、(1)ハードウェアの性能を最大に引き出す部分で勝負するのではなくゲームの面白さそのもので勝負する、(2)マルチ・デバイスでのビジネス展開を前提として移植しやすさを重視する、(3)ベータ版は無料配布を前提にまずはパソコン向けのものを作る、の点に注意して作らねばならない。

3.作られてきたベータ版に関しては、会社として「そのゲームが面白いかどうか」の判断は一切せずに、倫理・著作権法上問題がないことだけを確認した上で、インターネットで無料配布する。その際、ゲームごとの掲示板を作り、ユーザーからのフィードバックを受けられるようにしておく。掲示板の管理者は、クリエーター自身が行う。

4.一定の期間(例えば6ヶ月)をトライアル期間とし、その間にクリエーター達はファン(=コミュニティ)を集めなければならいない。もちろん、会社はネットを通じてベータ版の存在のプロモーションはするが、トライアル期間中の、ユーザーのフィードバックを受けての改良・機能拡張、掲示板を通じたサポート・企画、などは全てクリエーター達が自分自身で行う。
 
5.トライアル期間の終わりに、コミュニティの大きさともり上がり方に応じて、経営陣がそのプロジェクトを正式なものにするかどうかを決定する。正式承認されれば、必要な予算と人員が割り当てられる。そうでなければ、プロジェクトはその時点で終了する。

6.正式なプロジェクトとして承認された場合でも、ベータ版はそのまま提供し続け、コミュニティのフィードバックを受けつつ製品を作り上げて行く。そして、サービスの有料化、パソコン以外のデバイスへの展開などでビジネスとして立ち上げつつ、引き続きコミュニティからのフィードバックを受けて、機能追加などして行く。

 こう書いてみて気が付いたのだが、もしこんな方法での開発が可能なら、ターゲットを社内のクリエーターに限る必要はないかもしれない。一般公募も含めて、社内外のクリエーター達にチャンスを与えてどんどん新しいものを作ってもらえれば、ゲーム産業そのものが今までとは違う盛り上がり方をするかもしれない。

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Listed below are links to weblogs that reference ゲームの開発も Web2.0 的にやっても良い時期かも知れない:

» [コメント]ゲームとWeb2.0的開発 from 雑記・オブ・チョイチョイ
Life is beautifulでWeb2.0的開発に関するコラムが2本あり、一本はゲームの開発について論じている。 Web2.0時代らしいエンジニアのクリエイティビティの引き出し方 http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/web20.html ゲームの開発も Web2.0 的にやっても良い時期かも知れない http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/web20_1.html 携帯ゲーム機、次世代機ともにオンライン配信が可能に... [Read More]

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Comments

NT5.0

このプロセスは、イワユル”同人ゲーム”で既に行われていますね。
しかし、違う点が2つあります。

・1つ目の違う点は、商業を目的としているのではなく、作成者の趣味が主となっていること。

 その趣味に合う人が多ければ、改良を繰り返し完成度を高める。少なければ、適当に辞めるか、まだ
 改良を繰り返し、多くなるように努力するか、この辺りは作成者の気質によります。

・2つ目の違う点は、プロモーションがほとんど存在せず、コミュニティの発生が自然に行われること。

宣伝記事やCMが無いので、その内容の評価を知るには、実際にプレイするか、自分で情報を調べる必要があります。
 この時点で、かなりの根気や検索スキルを要求されるので、あまり興味の無い人はここで辞めます。
 しかし、熱心な人は、ここで辞めずにさらに進みます。そのため、コミュニティの質は高く、すぐに消えたりはしません。

最後に、ゲームの内容も充分に高まり、コミュニティの質も量も充分であるならば、商業メーカがそのゲームを買い取り、
そして一般に販売されます。

最近では、「omega」というサークルの「every extend」という同人ゲームをセガ系列が買い取ったニュースもあります。

Baatarism

一つ気になるのは、ベータ版のコミュニティで集まるのはイノベーター層、アーリーアダプター層なのに対し、ビジネスとして立ち上げる段階ではアーリーマジョリティ層以降を相手にしないといけないということですね。
だからこのやり方だとベータ版とビジネスとの間にキャズムが生まれ、ベータ版の盛り上がりをビジネスにつなげられない危険性があると思うのですが。

satoshi

NT5.0さん、確かにこのアプローチは同人的ですね。ソフトウェアにおけるオープンソースの潮流も同様です。Google のすごいところは、それを会社としてできてしまう所ですね。

Baatarismさん、ご指摘の通りですね。たぶん、そこはどうしても通常のマーケティング戦略を活用する必要はあると思います。私は、このアプローチの最も大きな利点は、大規模な開発費だとかマーケティングコストをかける前に市場でのテストが出来る点だと考えています。ベータ期間に捕まえたユーザーからの口コミだけでは難しいでしょうね。

bau

ゲーム開発者の間でも、Web2.0に注目している人は多いようです。
Web2.0的なプロジェクトの立ち上げ方ではなく、Web2.0のゲームデザインへの応用に関してで、少し視点が違いますが。

発熱地帯「Game Design 2.0」
http://amanoudume.s41.xrea.com/2005/10/post_56.html

ゲームのマボロシ「ゲームデザインのこれから(4) Data is the Next Intel Inside」
http://blogs.dion.ne.jp/arere/archives/2146501.html

neet

ユーザーの立場からすると、定期的にβ版がリリースされて一通り無料で遊べるのあれば、それを目当てにしてずっと無料で遊び続ける気がします。製品版でよっぽど面白そうなバージョンアップがなければ買わないですねえ。
逆にβ版の導入がめんどくさい(インストールとかアンケート)とかだとβ版を遊ぶ人種が限られてくるので、そういうマニアな人向けなゲームしか評価されませんし、β版のクオリティが低かった日にはそのメーカーの製品を買う気にはなれないですね。クソゲー連発のいわゆる「アタリショック」的にユーザーが遠のいてしまいます。
親切でクリエイティビティあふれるゲームマニアな方がたくさん居てくれればいいのですが・・

neet

考え方的にはこういうプロジェクトが近いでしょうか?
プロジェクト 街
http://flash-as.com/xcard/wiki/machiwiki.php?FrontPage

Maki

Googleが登場するまでは、ベータ版製品、もしくはサービスを市場に投入することは、開発者にとって大きなリスクを伴っていたと思われます。特に、エンタープライズ向けの製品・サービス提供を行ってきた開発者は、発想の転換が求められてきているのかもしれません。今後、Google的なサービス提供モデルが注目されたならば、Geooffrey Mooreの『トルネード現象』をリスク管理を徹底しながらビジネス実践することが可能になると思われます。米WSJでも、この開発プロセスに注目しています。
*URL: http://online.wsj.com/article/SB113268410649404315.html?mod=COMPANY
エンタープライズサービスにおかれても、システム停止が損害賠償にまで至るケースは全体の比率から見ると少ないかもしれません。この新しい開発アプローチが一般的になったならば、開発者やエンジニアは従来のような社内調整や稟議の時間を格段に削減することが可能になると予想されます。個人のスキルやプロフェッショナルがより一層に注目されるのでないかと・・・。

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