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Sonyはどこへ行こうとしているのか?

051228_141228  このブログでも何度かSonyに関して触れているが、常にAppleとの対比であった。確かに、「携帯型音楽プレーヤー」という市場を見る限り、iPodの躍進がその分野でのSonyブランドの凋落に大きく寄与していることは確かだが、Sonyの問題はそれだけにとどまった話ではない。TV、DVDレコーダ、デジタルカメラという「三種の神器」市場におけるSonyが、「高くても売れる」ブランドではなくなってしまったことがもっとも大きな問題である。

 こんな時期には、Sonyに関する本を出版するよりもAppleに関する本を出版した方が商売にはなりそうだが、こんな時だからこそ「どうしてSonyはこんな状態になってしまったのか?」、「これからSonyはどうしたら良いのか」をしっかりとしたデータとともに考えさせてくれた「ソニーとSony」を出版してくれた日経新聞社は偉い。

 ひと言で言ってしまえば、Sonyの苦しみは成長の苦しみである。井深・盛田という二人の偉大な創業者によって作られた「もの作り」文化のSonyを、「ここまで大きくなった会社を今までのやり方では経営できない」と大きく変革させようとした出井氏が、創業時からのSony遺伝子を受け継ぐエンジニア達の心を動かすことが出来なかったのが今のSonyの状態を作り出した一番の原因のである。

 私は、過去5年間にSonyの主要なポジションを占めるエンジニアの何人かと会ってきたが、彼らが出井氏とその側近たちを、「文官」と呼んで揶揄(やゆ)しているのを何度も見かけた(エンジニア達はもちろん「武官」もしくは「武将」である)。彼らに言わせれば、「もの作りのことが分かっていない一流大学出身の文系連中がろくでもないことをしているからSonyはだめになった」のである。

 こんな「ひずみ」を内部に抱えていたからこそ、すご録・PSX・コクーンというお互いに相反する商品を同時に市場に投入してしまったり、旧型PS2用のチップの在庫処理をAV事業部に負わせたり、といった幾つかの致命的な失敗をしてしまったのだ。

 これを、単に「出井氏のリーダーシップ不足が原因」とか、「出井氏を理解できなかったエンジニア達が悪い」と割り切って言えれば良いのだが、そう簡単ではないところが難しい。一度作られてしまった文化を変えるのはものすごく難しいし、かと言って、創業時のSonyのカルチャーのままで今の大きさから成長を続けられたとは思えない。

 昨年のトップ人事は、「Sonyはあくまでも生まれ変わらなければならない」、という出井氏の強い意志の現れであり、それゆえの「久夛良木はずし」であったのだ。しかし、そうは言っても、ソニーの三本柱の一つであるゲーム事業のリーダーシップは久夛良木氏が取り続けるのだし、それに付随した莫大な半導体事業への投資も彼が始めたものであり、影響力は絶大である点が微妙である。

 そう考えると、余計なシナジーなど考えずに、いっそのこと、エンターテイメント(映画・音楽)、ゲーム、エレクトロニクスの三つの独立した事業体として株式を分割してしまった方が株主のためになるのではないかと思えるがどうだろうか。そうすると、エレクトロニクス事業はかなり急激に縮小せざるを得ないだろうが、今のまま他の二つの事業からの利益でささえ続けているよりはずっと良いのではないか。

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Comments

ソニー分割は大いに肯定されるべき打開策だと思いますね。
iPodと一連のブランド展開・イメージ戦略を見てよく感じたのは、「これはソニーこそが行うはずのものじゃないのか?」という違和感です。あれに踏み切れなかったのは、SMEやソニーピクチャーズがあるからなんですかねえ、やっぱり。

僕もSonyは分割した方が良いと思います。
個人的には、映画・音楽、ゲーム、IT、AV、金融の5分割が良いのでは無いかとおもうのですが。このうちのいくつかを他者に売り渡しても良いでしょうね。

 確かに「金融」もありましたよね。一時は、「金融のみスピンアウト」という話もあったようですが…。

私も著者の考えに賛成です。製造業とコンテンツ産業では、文化が違いすぎると思います。特に開発研究型製造業は、消費者のニーズに合った製品を作り出すために、地道に技術力を磨く必要があります。一方、コンテンツ産業は、個人の能力に依存する割合が高く、人材の引抜などに投資が必要です。そうすると、どうしてもマネジメントの仕方、投資の考え方に違いが出てきます。したがって、製造業とコンテンツ産業は、それぞれ独立したほうがより成長できると考えます。

コンテンツとハードの分割ですが、いいかどうかは別にして、今の会社の方向性からすると、実現しそうもないですね。
金融部門だけはIPOが計画されてますよね。でも、グループから独立されることはないでしょうが…。
トラックバックを付けさせていただきましたが、良かったでしょうか?

 TUさん、もちろんトラックバックは大歓迎です。私もストリンガーさんの基調講演は聞かせていただきました。トム・ハンクスを引っ張り出してきた辺りなど、楽しくて良く出来たプレゼンでしたが、「エレキのソニー」をどう復活させるかは見えて来ませんでした。

 ただし、エレクトロニクスの中でも、プロ用の撮影機器などでは相変わらず強いので、そういった所に集中さえ出来れば利益率の高い会社に変えることは可能だ彼が考えているという印象を受けました。ローエンドのコンシューマー機器からの一時完全撤退も考えているのではないでしょうか。しかし、それには既得権を持った幹部達が猛反対するでしょうから、一筋縄では行きませんね。少し前に、IBMが利益率の高くないパソコン部門を中国の会社に売却しましたが、ソニーもそれに近いことをすることが必要なのでしょう。

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