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知的労働者には「組織を移る力」がある

060313_102047  前回のエントリーに、Doraさんという方から「次回エントリー『こうすれば日本のSEは救われる!』を楽しみにしております!?」とのコメントをいただき、少し悩んでしまった。日本のSIer(少し前までは「SI屋」だと思っていた)の階層構造の問題を指摘しておきながら、何も提案しないのはあまりにも無責任かも知れない。

 だからと言って、「日本のIT産業はこうあるべきだ」などと部外者である私が本当の意味で影響力のある発言をするのはあまりにも難しい。特に、IT業界に限らず、一旦こういった階層構造が出来てしまうと、業界で力を持つ上位レイヤーの会社や人たちにとって、改革は自己否定にもつながりかねないので良いと分かってはいても自分からわざわざ着手できない、というジレンマがあるのが一層解決を困難にしている。

 では、現時点でIT業界で苦しむSEやプログラマーの人たちは何をしたら良いのだろうか。

 とても難しい問題ではあるが、まず第一に考えるべきは自分のキャリアパスだと思う。5年後、10年後に自分がどんな仕事をしていたいか、どこで勝負をしたいか、どのくらいの価値のある人間になりたいのか、どんなスキルや知識を身につけていたいか、などなどである。

 それが見えてきたら、自分の日々の仕事と、自分の立てたキャリアパスを出来るだけシンクロさせるように努力すべきだ。終身雇用という雇用形態が破壊しつつある今、上司の言うことを何もかも聞く必要はない。「そんなやり方では良いものは作れない」、「そんな仕事ばかりしていては自分の目指す所に行けない」と思うのであれば、どうどうとそう言うべきである。

 下の人たちが「こうした方が良いと思う」と真剣に提案するのに耳を傾けてくれない上司はろくな上司ではない。下の人たちのキャリアパスを全く考えてくれない上司も、やはりろくな上司ではない。そんな上司に付いていっても良いことはない。もし、会社がそんな上司をいつまでものさばらせておくとしたら、そこはろくな会社ではない。その時は、真剣に転職を考えるべきだ。

 ピータードラッカーの「明日を支配するもの(ダイヤモンド社)」にとても意味深い文章がある。

 つまるところ、フルタイムの従業員さえ、これからはボランティアのようにマネジメントしなければならない。彼らは有給ではあるが、彼らには組織を移る力がある。実際に辞められる。知識という生産手段を持っている(第一章3節、23ページ)。

 この言葉の持つ意味をかみ締めて、強く生きて欲しいと思う。知的労働者としての自分の価値を常に高めるという努力さえ惜しまなければ、もの分りの悪い上司の言うことなど聞かなくても、必ず道は開けると信じて。

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Comments

Maki

ピーターF.ドラッカーは、現在を生きるわれわれに多くのメッセージを残してくれた。同氏は次のように述べている。『情報化が進展する新時代の世界経済のもとで、最も苦労する国は日本である』と。なぜか・・・・・。ドラッカー氏によれば、現在、日本は大きな「時代の変わり目」にある。また、日本は労働市場における「労働の質」と「労働を担う世代」に変化が見られるという。『現代の国際競争において意味を持つのは唯一、知識労働における生産性のみである。最も重要なことは、個人個人が自ら未来を切り拓くことだ』と。未来は、自分で獲得しなければならない時代がきているのかもしれない。まさに、『(個人が)PullからPushへ』・・・。

Dora

あららら。コメントしたDoraです。

「無理言ってすみませんでしたっ!」
「当記事の内容に賛成ですっ!」

さまざまなブログを読んでいると、現状を上手に例えたり、批評したり、愚痴ったりで終わっているものが多いので(僕のブログはその最たるものですが・・)、このままこの話題が終わって欲しくないなと思って書きました。

日本のソフト業界も、個の力で生きていける人には、だんだんとよい世界になってきてると思います。私も何度か転職して、今は竹槍大作戦から解放されています。

回答ありがとうございました。

蛇足:
ピータードラッカーさんのこの言葉がとても好きです。
「多くの人にとって最初の仕事は宝くじと同じである。」

Satoshi

>さまざまなブログを読んでいると、現状を上手に例えたり、批評したり、愚痴ったりで終わっているものが多いので(僕のブログはその最たるものですが・・)、このままこの話題が終わって欲しくないなと思って書きました。

 Doraさんのコメントを見たとき、一瞬たじろぎましたが、逆に良い刺激となりこのエントリーを書くエネルギーを出すことができました。確かに、問題点を指摘しただけ終えてしまうのはいけませんよね。ありがとうございました。

Satoshi

 しかし、Makiさんの指摘するようにピーター・ドラッカーさんの書物は本当に中身が濃く、噛み締めなければならない言葉が沢山詰まっていますね。本当に考えされられます。

もけけ

Satoshiさんの、自分の発言に対する責任感に、感激しました。
私も「どうやったらみんなが幸せにシステム開発をできるか」について、考えてみます。
ありがとうございました。

Dora

Satoshi さま、ありがとうございました。

日記で言及したので、もし問題あれば指摘願います。

「Blog communication is beautiful!!!」
http://dorablue.blog51.fc2.com/blog-entry-168.html

ではでは。

iseeker

Satoshiさんの「少し悩んでしまった」と言う一言を読んで「あぁなんて(真摯で)いい人なんだろう」と思ってしまいました。なぜかと言うと、自分としてはプログラマにせよSEにせよ「やっと普通の職業になったんだ」ぐらいにしか思わなかったからです。

例えば流通業のセールスマンを考えてみると、時給800円のコンビニ店員から年商数億円のカリスマセールス(家電量販店員でも訪問販売セールスでもいいです)までいるわけです。同じ流通業で働いているのに収入にして10倍(下手すりゃ100倍)の違いがあるのです。そう考えるとIT業界にもそのぐらいの差があっても当たり前ではないかと思うのです。

もちろんコンビニのビジネスモデルが宜しくないなんて言う気もありません。そのようなお店も必要とされますし、そこで働きたい人もいるわけです。ただ「ビジネスとしては全然OKだが、コンビニ店員で年収1000万オーバーは難しかろう」と言うだけです。

今回の話の大前提に「プログラマやSEは知的労働者で特別」みたいな話があるように思うのですが「これって本当?」ってところを疑う必要はないのでしょうか?プログラマやSEと言う職業は、ここ数十年でできた職業ですが「ここにきてやっと普通の職業になった」というのが私の見方なのですがいかがでしょう?

結論としては「日本のIT業界はコンビ二(ファミレスでもいいです)ばっかりになってしまった。ちゃんとした専門店(シェフがいるレストランでもいいです)があってもいいんじゃない?」という話であるのならば同意であります。日本の強みは「(現場で働く)職人の志」のようなところにあると思うからです。

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