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服部真澄「エルドラド」書評。そして次回作の提案

060825_011512  ここのところしばらく面白い小説に出会っていなかったのだが、久々にヒットしたのが、服部真澄の「エル・ドラド」。遺伝子組み換え作物(GMO - Genetically Modified Organism)ビジネスに絡むサスペンス小説。科学うんちく好きの私にはテーマがピッタリだったし、サスペンスとしての構成もなかなか良くできていたので、一気に読めた。

 服部真澄の小説は最初に読んだのが「龍の契り」。これは香港の返還をテーマにしたサスペンス作品だが(ちなみに、これもお勧めの一品)、彼女の小説に共通するのは、ニュースや歴史上の事実から「本当にあったとしてもおかしくない」リアリティのある事件や陰謀を創り出している点。もし、彼女がジャーナリストとして同じテーマを書いていたら色々と物議をかもし出しそうなテーマだが、あくまで「フィクション」という形を採りながらも、そこにしっかりとしたメッセージを込めているあたりは、かなりの確信犯にも見える。

 私が服部真澄だったら、次に選ぶテーマはES細胞(胎児幹細胞)ビジネス。分裂し始めたばかりの人間の受精卵から、その受精卵を生かしたまま細胞を一つ取り出して、それから幹細胞を増殖させるというテクニックが開発されたと報道されたばかり(Yahoo!ニュース参照)だが、これをネタにした企業サスペンスだ。表向きは「奇形や病気の要因になる遺伝子が親から子供に受け継がれるのを避ける」という遺伝子治療ビジネスに従事する企業が、ごく一部の資産家や著名人向けに、秘密裏に「IQが高い遺伝子」「運動能力に優れた遺伝子」を持った子供を作り出すというサービスを始めたらしいことを探りだした女性ジャーナリストが、その企業に潜入するに従ってさまざまな危険に出会いながら、さらにすごい陰謀を暴いて行く、という小説だ。水野美紀を主人公にして映画化することを最初から前提にして、彼女を意識して書いていただけるとなお良いのだが…(と言いつつ、水野美紀のブログにTBしてみる実験。残念ながら服部真澄のブログは発見できず)。

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Comments

服部 真澄の小説は,鷲の驕りでバルクのダイヤモンドとDiamond like Carbonの製造技術の区別が付いていないとか,いろいろ技術的に恐ろしいものがあったので,その後避けていました。
もう一度読んでみようかなぁ…

 私も「鷲の驕り」を読みましたが、ここに上げた二作に比べるとイマイチでしたね(それよりも、題名が「今日はワシのおごりじゃ、ハッハッハ)」の「ワシのおごり」に読めてしかたがない^^)。
ちなみに、「技術的に」という意味では、この「エルドラド」でも、作者の頭の中で、虫の遺伝子と虫が媒介するウィルスの遺伝子の話が少しごっちゃになっているように思える記述を見つけました。まあ、この手の小説には良くある話なので、エンターテイメントと割り切って、そのあたりは寛容に見てあげるのも良いんじゃないかと思います。

「物議を醸し出す」→「物議を醸す」ではないかと。
非常に参考になるエントリが多いので楽しく読ませて頂いているのですが、こういった表現を見てしまうと、あらあらという感じになってしまいます。

釣られました・・。
水野美紀さんのBlogから飛んできました・・・。

>「物議を醸し出す」→「物議を醸す」ではないかと。

それは知りませんでした。辞書で引くと、確かに「物議を醸す」だけが載っています。たぶん、それが本来の使い方なのでしょうね。ご指摘ありがとうございます。

 しかし、これだけ「物議を醸し出す」という表現を使う人が増えたのですから、この使い方もそろそろ認めて欲しい所ですね。

体細胞からES細胞を作る研究もされているようです。

「皮膚から「万能細胞」 拒絶ない移植に道」
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060811ik03.htm

これもまた遺伝子導入の安全性などについて議論されそうですが。

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