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会社のカルチャー作りの大切さ

 University Washington で Executive MBA のコースを受けることにした理由の一つは、成功する企業とそうでない企業を分ける要因を私なりにちゃんと理解したかったからである。

 Microsoft 時代に Bill Gates の下で働くことにより、業界の流れを読んだり、それに基づいた企業戦略を立てることに関しては、それほど不自由を感じなくなった。しかし、いざ自分で起業をしてみて強く感じたのは、企業戦略を立てることは「初めの一歩」でしかなく、その戦略に基づいてちゃんと利益を生み出す組織を作りあげる方がその何倍も何十倍も難しいということ。

 色々と反省する点はあるのだが、あえて一番反省している部分を上げるのであれば、会社のカルチャー作りに十分な注意を払って来なかったこと。戦略に関わる mission statement や vision に関しては常にはっきりと語り続けるように注意してきた私だが、カルチャー面で重要な value (価値観)や norm (行動規範)の部分に関してはほとんど何もしてこなかったのだ。

 もちろん、私なりに「おもてなし」を重視しているし(value)、「人がやらないことをあえてやる」、「ごちゃごちゃ話しているよりもまずは作る」、「スタートダッシュで勝負する」などの行動規範 (norm) を持ってはいる。そして、それを従業員にも共有してもらうことをそれとなく期待してはいるのだが、それをちゃんと明文化して会社全体のカルチャーにしようという努力はしてこなかったし、カルチャーを重視した人の採用などもして来なかった。そもそもカルチャーなどというものは自然にできるもので、「明文化」したりするべきものではないと考えていたのだと思う。

 しかし、MBAクラスの前準備のために与えられた膨大な数の資料(例えば右に紹介した本)を読まされているうちに一つ明らかになってきたことは、このカルチャー作りの大切さ。IDEO, Southwest Airline, NuCor などの企業の強さは、従業員それぞれの力を合わせた以上の力を出すことができる組織とそれをささえるカルチャーを持っている点にある。人の採用の際にも、仕事に必要なスキル以上に「会社カルチャーへの適合性」を重視するのが、これらの企業に共通する特徴である。

 企業カルチャーの大切さを理解するのに一番良い例がIDEOにおける「イノベーションを重視するカルチャー作り」の話である。

 イノベーションはハイテク企業に限らずどんな企業にも大切なもの。そして、新しいアイデアは経営者だけが考えるものではなく、従業員全員が考えるべきものである。しかし、新しいアイデアを口に出すというのは多くの人にとってかなり勇気のいること。斬新なものであればあるほど、「それはないだろう」と全面否定されるのがこわくなるのだ。

 誰かが新しいアイデアを出すと、すかさず「それは○○が過去にやって失敗したよ」「それはあまりにも常識はずれだ」「もう少し良く考えてから提案すれば」と水を差すような発言ばかりする人がいる。経営者として意識すべきなのは、その手の発言がどのくらい企業カルチャーにダメージを与えるかを強く意識することである。そんなネガティブな発言ばかりを言う人が大きな顔をしていられる会社ではイノベーションは起こらない。

 イノベーションを重視するIDEOでは、ブレストのときはもちろん、普段から「新しいアイデアはどんなに斬新なものでも歓迎」というカルチャーを、経営陣だけでなく社員全員が共有している。「ミーティング中に水を差すような発言をした人にはボールを投げつけて良い」(IDEOの会議室には柔らかいボールが置いてある)というルールは、冗談のようだが実はカルチャー作りの上でとても重要な役割を果たしている。

 そんな意味で、次にベンチャー企業をゼロから立ち上げ機会があるとしたら、カルチャー作りだけはきちんとやろうと考えている私である。自分たちの価値観(value)とそれに基づく行動規範(norm)を会社立ち上げ時に明文化し、常にそれを意識しながら仕事をし、人の採用もする。どんなにすばらしい企業戦略を持っていようと、それを実現するのにふさわしいカルチャーを持った組織を作ることができなければ宝のもちぐされである。

Comments

心は萌え

A『牛肉の期限なんて偽装しちゃえば良いんだよ。』

B『それは法律的にマズイと思います』

A『ネガティブな意見なんていらない』

招く結果::操業停止

個人的にはネガティブな意見に負けてしまうアイデアはどこか弱いのだと思います。
きちんと全てのネガティブな要素を事前に抽出してそれへの策を練った上で進むべきだと考えます。

ネガティブな意見というのは必ずしも、ネガティブなのではなく、
XXという否定要素があるが、それはどうやって乗り越えるの?
という質問であることの方が多いです。

A『**というアイデアをやってみたい』
B『過去にXXがやって失敗した』
A『それはXXが理由でそれに対してZZという対策を取ります』
B『だったらやってみても良いんじゃない』

という流れが当然だと考えますが

B『過去にXXがやって失敗した』
A『理由はないけど今度は成功する。ネガティブな意見は言うな』

という事でしょうか?


satoshi

 誤解があるようですね。この話は決して「何も疑問を持たずに突き進め」という話ではないんです。あくまで、「イノベーションを歓迎する空気」、「斬新なアイデアを出して来た人の勇気を褒めたたえる態度」の話なんです。このあたりの雰囲気のようなものが、実はイノベーションを起こすべき会社のカルチャーとしてはとても大切、という話なんです。

とおりすがり

> 心は萌えさん

B『過去にXXがやって失敗した』
A『理由はないけど今度は成功する。ネガティブな意見は言うな』

ではなくて、

B『過去にXXがやって失敗したけど、それに対する回避策はあるの?』

というポジティブな意見を出すようにしてはどうか?
ということではないでしょうか。

加えて、Aに対しても、過去の例を調べておくくらいの調査を促すこともできるし、それらを複合的に自分の視野に入れることが、企業のカルチャーを作るときに必要なのではないか、という記事なのかなと思いました。

humu

>>B『過去にXXがやって失敗したけど、それに対する回避策はあるの?』

もっと言えば
「では**というアイデアで事態を進めたと仮定しよう,そのときリスクになりえる条件は?
もしくはその段階でもっと効果が大きくなる手段はないだろうか?」

と全て含めてその人に考えるきっかけを与えるのはどうでしょう?
いきなり「XXが問題」と問題点を突きつけてもいいですが,それも考えてもらう


わたしが感じたのは
>> IDEOの会議室には柔らかいボールが置いてある

という,これ事態がすでにカルチャーでありユーモアなんでしょうね

わたしの知り合いの会社では年に一度の忘年会で,自分の会社,上司,社長のどれでも良いので
皮肉ったジョークや気の利いた悪口を忘年会で発表するというのがあります・・

社長曰く「自分の会社を社員が批判できないのは不健全だから」だそうで

hg

ポジティブ:先進的
ネガティブ:保守的

って感じ?

心は燃え

雰囲気っていうのはあとから生まれてくるもんですよ?
結果なんです。

あなたの言ってることは、
木を植えることもせずに果実が実るのを待ってるようなもんです。

インセンティブがなければ人は積極的には動きません。

「人がやらないことをあえてやる」って言っても、
成功も失敗もやった人の責任とされては、誰も人がやらないことをやりません。リスクを考えるからです。

「成功はやった人の手柄、失敗しても責めない」と言う状態になって初めて、進んで行動を起こす人が増えるのです。

カルチャーとか空気みたいなものに期待するよりも、
インセンティブ作りから始めてみてはいかがでしょう。

satoshi

 はい、インセンティブ作りはもちろん大切です。私もインセンティブに関しては書きたいことがたくさんあるので、それはまた別途。

hidetox

IT業界では(あるいは「日本では」かも)新しいアイデアを潰したがる人が多い。だから、ご指摘は有意義だと思いますよ。

アイデア出すのは勇気が要るし、人のアイデアを否定すれば利口っぽく見えますからね。

人の賢さは「どれだけ多くのアイデアを否定したか」ではなく、
「どれだけ多くのアイデアを生み出したか」で決まる。

カルチャーは大事ですよねー。
https://www.amazon.co.jp/dp/4062120569
https://www.amazon.co.jp/dp/4822740315

myu

通りすがりです。

B『過去にXXがやって失敗した』
A『理由はないけど今度は成功する。ネガティブな意見は言うな』
ではなくて、
B『過去にXXがやって失敗したけど、それに対する回避策はあるの?』
というポジティブな意見を出すようにしてはどうか?
ということではないでしょうか。

私の認識ではどちらも違うという認識です。
違うというと誤解があるかも知れないの補足しますと、このエントリーでの議論は場違いなのではないかとという認識です。

「過去にXXがやって失敗した」というストーリーは例えばの話で、注目すべきはどんなアイディア意見でも発言し易い環境を作ることが会社のカルチャー作りには重要だということではないのでしょうか?

そのアイディア・意見に対してどうこうという話しはまた別次元にあるのだと思いますがいかがでしょうか?

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