初音ミクに感じた「それ」
ある商品とかサービスを見たとたんに、「その先にあるもの」がはっきりと見える時がある。それは、今まで頭の中に乱雑に積み上げられていたガラクタが、突然形のあるものに見える現象。一度見えてしまうと「なぜ今まで見えなかったんだろう」と不思議に思えるのが常だが、結局人間の頭の中はそんなものか、と。それはちょうど「既視感(デジャブ)」の逆のようなものだが良い名前は思いつかないので、今日のところは「それ」と呼んでおく。
今回「それ」を感じさせてくれたのは初音ミク。「CGMの時代」とは言いながら違法コピーされたテレビの映像で盛り上がっている限りは、YouTubeもニコ動もテレビキラー・放送局キラーにはなり得ない。素人ビデオにも限界がある。「でも必ずそこには答えがあるはず」との私の強い思いに、サクッと突破口を開いてくれたのがこの初音ミク。
既に今日の時点で、「Magic GarageBand+初音ミク+自分たちで操作するオンラインゲームのキャラクターたち」、の組み合わせでかなりのものが作れてしまう。あとは、そういった技術を上手に組み合わせて一つの商品・サービスとして提供し、音楽や映像の知識がないユーザーにでも簡単に著作権フリーの面白い動画がどんどんと作れるようにすれば良いだけ。本当の勝負はパッケージングとおもてなしだ。
一度「作るべきもの」の形見えたら世の中の進化は早い。3D動画生成機能付きの初音ミク(もしくはその類似品)が発売されるのはもう時間の問題だ。ノウハウ的に見たら、本来はここはゲーム会社の出番。ぜひともイノベーションのジレンマを乗り越えてそんなものを作ってほしいな、と。
【追記】ちなみに、このエントリーで言うところの「それ」を正しく表す表す言葉を募集中。コメント、ブックマークなどでぜひ。今まで見えてなかったものが、あることがきっかけで突然はっきりと見えるようになるような感覚のこと。
みっくみくにしてやんよ!
Posted by: つるれらひ~ | 2007.10.09 at 17:17
日本人はそういうものを会社抜きで作っちゃう人がいますねえ。
http://www.hirahira.net/products/ringo/
MediaPlayerビジュアルプラグインで曲にあわせて歌って踊ります。これがよくできてまして、同人市場ではずい分なヒットになってます。
あとはタイミングにあわせてカメラ位置やモーションライブラリを適応するソフトを作り、Poserあたりと連携すればイッキですか。
技術的にはほとんど完成してますねえ。
Posted by: nonbug | 2007.10.09 at 17:43
Vocaloid は数年前から、各種声質 version でリリースされていますが、なかなか売れるものではありませんでした。今回の初音ミクの盛り上がりは、一昔前に DTM が日本でだけ盛り上がった勢いを思い出させます。こういう「職人」的な作り込みは日本アニメ文化の特質なのかもしれません。US でも日本アニメ系で広がりが見られる事になるのでしょうか。Vocaloid には、英語版もありますが.......
Posted by: kuri | 2007.10.09 at 18:48
表現としては「結節点」などと言いたくなります。
さまざまな要素が絡み合って出現し、そこからまたさまざまに派生していくキーノードみたいなイメージです。
新しいものが表出するイメージではあまりないのですが…
Posted by: yocc | 2007.10.09 at 20:48
私の場合の「それ」は「声質エミュレータ」としての初音ミクの可能性です。既存のボイスチェンジャーなどが、発話者の声にエフェクトをかけた「その声なりの音声変換」であるのに対して、この「声質エミュレータ」は完全に別の人の声質をエミュレートします。アニメのキャラクターの声などもそっくりそのまま真似できるので、オンラインゲームのボイスチャットなどに使用すれば、よりキャラクターになりきってプレイが可能です。他には、サザエさんやドラエモンなどの長寿番組も、声優さんの交代によって声が変わることなく、オリジナルの声質を保つことができます。
そうなると声優さんの職が危ぶまれるわけですが、声質データのみを権利・商品化することがビジネスとなり、売れっ子の声優さんなどは、自分が出演しなくても使用料がガッポガッポ...とまぁ、この様なシナリオを以前から考えてはおりましたが、初音ミクの極めて自然な歌声を聞いて、現実になる日もそう遠くないと感じた次第です。
Posted by: Dyun | 2007.10.09 at 20:54
昔から「それ」の事を「目からウロコが落ちる」と言いますが。
もっと短くてカッチョイー呼び名が要りますか?
Posted by: 昭和人 | 2007.10.09 at 21:20
ジグソーパズルをやっていると、どうもこの辺り、という事で集めていたピースが、ある一つのピースをきっかけに、次々と嵌り、絵が見えてくることがあります。絵が見えてくると、周辺のピースを集めるのは、割と楽で、その部分は一段落というところまで進める事が出来ます。ということで、"Resolving Piece" というのは如何でしょう。
Posted by: kuri | 2007.10.09 at 21:41
「情報フレア」はどうでしょう。
今回の歴史的進歩は、状況的には、涼宮ハルヒ様がSOS団を作った時と似ています。
「何しやがる!」 「気がついた! どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのかしら!」 「何に気付いたんだ?」 「ないんだったら自分で作ればいいのよ!」 「何を」 「部活よ!」 「そうか。 ...のやりとりに似てる気が…。
>突然形のあるものに見える現象。一度見えてしまうと「なぜ今まで見えなかったんだろう」と不思議に思えるのが常
を読んでハッと「似てるんじゃ」と思いますた。
この現象を長門有希は確か「異常な情報フレア」或いは「時間震動」と表現しています。
Posted by: かまどねこ | 2007.10.09 at 21:45
それ:ちょっと固いですが「連鎖的洞察」なんて、いかがでしょう?
Posted by: Dyun | 2007.10.09 at 22:44
「ニュータイプ」でいいんじゃない?
Posted by: ken | 2007.10.09 at 23:15
茂木健一郎さんがオリジナルではないようですが彼らは「アハ」体験と呼んでいます。
http://aha.sega.jp/
Posted by: taki | 2007.10.09 at 23:19
図形問題で使う補助線というのはどうでしょう。
「初音ミクによって補助線が引かれて、テレビキラーの形がはっきりとうかびあがってきた」
という感じで。
Posted by: nttkyk | 2007.10.09 at 23:24
「それ」自体が、「それ」ですよね。
ピッタリの言葉がでてきたら、もう「それ」以外の呼び方が思いつかないという。
Posted by: からっぽ | 2007.10.09 at 23:53
「悟り」とか?
Posted by: no | 2007.10.10 at 00:09
世間ではそういった感覚を「おチャクラ全開」と言うのではないでしょうか。
Posted by: yoshifumi1975 | 2007.10.10 at 00:18
カッコよくはないですが「芋づる式」がそのまんまじゃないでしょうか。
Posted by: munegon | 2007.10.10 at 01:41
うちの宗派の開祖・道元さんの仰った、「現成公案」に似ている気がします。なんとなくですが。
Posted by: しゅら | 2007.10.10 at 02:42
はじめてコメントさせてもらいます。
個人的には、単に『きづき(気付き)』と呼んでいました。
これが生きてる中で1番難しいことだと、思っていたりします。
Posted by: gree | 2007.10.10 at 03:04
「それ」=「クモノイト」なんてどうでしょう?
そこにあるはずなのに、目を凝らさないと見えない。
ある角度から見ると急にキラリ☆と見える細い糸。
小説「蜘蛛の糸」でカンダタを極楽へと導こうとして、
沢山の人がワァッと集まると切れる無常の糸です。
※「芋づる式」や「悟り」を見て思いつきました。
Posted by: kazzen | 2007.10.10 at 03:56
専門用語では(というか社会科学)では「観察可能な含意(observable information)」といいます。
Posted by: Dr_Frunk | 2007.10.10 at 03:58
↑訂正 observable implication でした ボケてるな
Posted by: Dr_Frunk | 2007.10.10 at 03:59
先人の逸話から「ニュートンのリンゴ」というのはどうでしょうか。
Posted by: oberon | 2007.10.10 at 04:20
SF用語の「センスオブワンダー」とかどうですか。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sense_of_wonder
説明を見ると"conceptual breakthrough"とか書いてあってそれっぽい感じです。
Posted by: aike | 2007.10.10 at 04:30
各自違った言葉で同じ事を共有してるようですね。わたくしは"発火"です。
Posted by: 林檎園 | 2007.10.10 at 05:17
いろいろなご意見、ありがとうございます。
「気づき」という言葉を使っている文章は見たことがありますね。ニュアンスとしてはストレートなんですが、どうもいまいちしっくりときませんね。宗教色が強すぎるのかな?「悟り」「現世公案」「おチャクラ全開」もそうです。
「結節点」「補助線」という言葉を使いたい気持ちも分かります。Jobsのいう「connecting dots」ですね。その意味では「点と点が繋がった感」ですね。
「目からうろこ」は本来の意味はどうか分かりませんが、今はどちらかというと誰かに答えを教えてもらって目の前の曇りがはれるようなイメージで、ここで言うように自分の内部に答えが見つかる場合にはあまり使わないように思うんですがどうでしょう。
"conceptual breakthrough"は確かに近いですが、良い日本語役が思いつきませんね。
「観察可能な含意」「連鎖的な洞察」のどちらも社会心理学者が使いそうな言葉ですが、ちょっと普段使うには固い言葉ですね。
難しいですね...。
Posted by: satoshi | 2007.10.10 at 05:55