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米国の近代経営工学の手本になった日本の製造業

 昨日も紹介させていただいた海部美知さんの「パラダイス鎖国」、草稿をアスキー出版から入手して読ませていただいているのだがとても面白い。最近の日本の「自主的鎖国」状況を彼女なりの考察を加えて解説した本だが、同じく「外から日本を見る」という立場にいるせいか共感できる部分も多くあり、楽しく読ませていただいている。

 彼女の本にも、私と梅田氏との対談(「おもてなしの経営学」に収録...宣伝、宣伝^^)にも出て来る一つの共通する大きなテーマは、「なぜ高度成長経済の時期に、自動車だとかエレクトロニクスなどのハードを作る企業がこれほどグローバルな経済で成功出来たのに、時代がソフトやネットに以降した時に日本企業は世界の波に乗り遅れてしまったのか」という疑問。簡単に解答が見つかる話ではないが、海部氏の「パラダイス鎖国」論はその難しい質問に一つの光を差しかける。

 ちなみに、MBAのクラスを取り始めてつくづく認識したのは、高度成長経済時期の日本企業が本当にすごかったこと。こと製造業のオペレーションの効率化に関して言えば、トヨタを筆頭とする日本の会社が圧倒的な強さを持って世界を席巻し、80年代に米国で書かれた経営工学関係の論文はほとんどすべてが「日本の製造業の効率の良さ・品質の高さをいかにノウハウとして定式化して米国企業に持ち込むか」に費やされていることがそのインパクトの強さを物語っている。

 昨日も1988年に書かれた"Setting Quality Goal"という品質管理に関する論文(ここからダウンロード可能)を読んだのだが、これにも「私が品質管理をする上で理想のモデルを探している時に、たまたま手に入れた横河ヒューレットパッカードのデータをグラフにプロットしたところ、ある特殊な曲線に乗ることを発見し」との記述があり、(故障ばかりしている米国製品と比べて)なぜ日本のメーカーの製品の品質があれほど良いかの秘密を探り出そうと、米国の経営者たち・学者たちが必死になって日本企業を研究していたことがうかがえる。

 そう考えてみると、その国の力というのは、こんな風に世界の経営者たち・学者たちが危機感をもってその強さの秘密を探り出そうとする「研究対象リスト」に新しく加わる企業をその国が毎年いくつ生み出すことが出来るか、ではかれる様に思える。トヨタだってソニーだって昔はベンチャー企業だったわけで、ベンチャー企業こそがどんどんと世界に出て行くべきだ、とつくづくと思ったしだいである。

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Comments

すずき

アスキー出版,というのは創業時の社名で,現在は株式会社アスキーです。
出版部門を「アスキー出版局」と呼ぶことはあるようですが。
ちょっと気になったので。

Maki

日本の高度経済成長時代、日本企業の差別化とは、工場などの労働者を中心としたプロセス改善が『差別化』となり、このカイゼンを通して、高い品質と低価格を達成することができたと思われます。
現在、その企業競争とは、個人の斬新なアイデアや、それが新しいテクノロジーと結びつき、新しいエクスペリエンス提供するといった創造性(組織/集団/個人)へと変化しつつあるのではないかと.....個人的には、従来から進んできた産業のモジュール構造に加え、「The World is Flat」が加速装置となり、日本のビジネスモデルへの影響力が予想以上に大きくなりつつあるかと......

*「グローバルに向けた日本発イノベーションについて・・・・」:
http://prewire.blogspot.com/2008/02/blog-post_13.html

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