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アルファ・ブロガーはなぜ本を書くことになるのか?

 新しくなった月刊asciiには創刊号からコラムを書いて来たし対談もいくつかしてきたのだが、今回、それに大きく加筆した上で一冊の本として出版することになったのでここに報告させていただく(タイトルは「おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由」)。

 この本の内容に関しては別途紹介(=宣伝)するとして、今日のテーマは、なぜブログという最新のコミュニケーション・ツールを持つブロガーが、書籍という古い媒体でのコミュニケーションをはかるのか、という話である。

 ブロガー側の事情としては、副収入になる(それどころか、梅田さんのようにベストセラーを書けば充分に食っていける)、ブログだけでは到達できない読者に読んでもらえる(かも知れない)、「アルファブロガーに選ばれた」と報告しても全く理解してくれない親に「うちの子が本を出すほどに出世した!」と喜んでもらえる、などのメリットがあるわけだが、実はもっと大きなメリットを受けるのは出版社側である。

 たいていのビジネスと同じく、本の出版には固定費と変動費がある。編集・版組・装丁のデザイン・広告宣伝などは固定費で、紙・印刷・著者へのロイヤリティーなどは変動費である。固定費を無視して計算した一冊あたりの粗利を貢献利益(UCM=Unit Contribution Margin)というが、この貢献利益*部数が固定費を超えなければ赤字、超えたところからが出版社の儲けとなる。言い換えれば、固定費を一冊あたりの貢献利益で割った部数「N」が儲かるかどうかの境目、ということである。

 すると出版社としては、「この部数『N』を超える数が売れる本を書ける著者」の発掘に積極的なのは当然で、(1)人を引きつける文章を書く能力があることが証明されており、かつ、(2)そのまま著書の購入者になってくれそうなブログの読者を抱える、ブロガーたちは絶好の「潜在著者」なのである。

 それに加えて、出版と同時に著者自身が自分のブログで宣伝のしてくれるし、ブロガー同士の横の繋がりのバイラル・マーケティング効果まであるので(梅田望夫さんと渡辺千賀さんの本はたくさん販売させていただきました^^)、一石二鳥である。

 別の言い方をすれば、それなりの読者を抱えるブロガーの本を出版するということは、出版社にとっての「固定費を回収できない」リスクを大きく減らす、ということに繋がるのである。

 ちなみに、この「ブロガーが本を出版する」という流れはまだまだ始まったばかりだが、成功例が増えるにつれて、「ブログによって『人に読まれる文章』を書く力があることを証明」してからでないと、出版社から相手にしてもらえない、という時代すら来るかも知れないと思う私である。

 ということで、将来何か本を出したいと思っている人は、ひとまずはブログから始めてみることを強くお薦めする。「ブログで自分の持ちネタを全部書いてしまったから、本に書くことはなくなってしまった」なんて心配はすることはない。自分から情報を発信すればするほど、より多くの情報が集まってくるのがネットの特徴なのだから。

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Comments

Michi

なんだ、中嶋さんも書くんですね~。

takao

本を読んでいるときの感覚とブログを読む感覚って違うんですよね。

moro

(2)そのまま著書の購入者になってくれそうなブログの読者を抱える、
という条件は、ブログの読者による「タダで読めるブログのコンテンツとほぼ同じ内容の本を、わざわざお金を払って購入する」という行動に支えられているわけですよね。出版社ブロガーに本を書かせるというビジネスが成立するということは、そういう一見合理的でないブログ読者の行動が、ほぼ確実に起こる、ということだと思うのですが、どうしてそういう行動がとられるんでしょうかね。

ファン心理のようなものなのか、それとも上記の takaoさんのコメントにある、「本を読んでいるときの感覚とブログを読む感覚って違う」ことが関係しているのか。あるいは、実はブログ読者と本の購入者はそれほど重複していない(=ブログの読者数は「人を引きつける文章を書く能力がある」ことの証拠のひとつである)という可能性もあるんじゃないでしょうか。

humu

あくまで私個人の場合ですが,ブログの情報が

・もしかしたら時間が経つと削除されるかもしれない
・本として手元において置いて何気なくパラパラ読みたい

こういうことがありそうだなと思うブログの本は買ったりします
それと可搬性では本の手軽さは捨てがたいものがあります

b4u

webも雑誌もβ版なんですかね?

個人的には書籍の形になっている方が有難いです。
プロが校正した書籍の方が読みやすいです。
文庫本か新書のサイズであれば片手で読めるのでなおいいですね。


wa-ren

Blog内容をまとめただけでも本として成立してしまいますから、Blogに書いてしまったら本に書くことが無くなるってことがないのは確かですね。

紙の持つ解像度や保存性,一覧性,携帯性(バッテリーがいらないなどの意味で)の高さはまだまだ健在ですし。

Kj

ニール・ガーシェンフェルドも昔書いてましたが、書籍はパラパラとめくることで情報をいつでも簡単に取り出せますし、パソコンを開いてネットにつながないとみれないWebにはまだまだ遠く及ばないかなと思います。また情報自体も書籍という形になる段階で一定の方向付けがされてまとめられるので、色々な情報が雑多に散らばるblogという状態よりも、読者にとっては受け入れやすいのかなという気もします。

ファン心理というのもあると思いますが、そういう意味で、書籍という形で出版されたものを買うんじゃないかなと個人的には思います。

楽天 中村晃一

秀逸な御見解に唸らせられました。
トラックバック記事を書かせていただければと思います。
もしご迷惑でしたらご指摘ください。
どうぞよろしくお願いいたします。

sori

確かにそのBlogの読者が、「同じ内容が書いてある本が欲しい。」と思い買うというのもあると思いますが。単純に。
「本と言う形をとればブログの内容を、ネット環境の無い方でも手に入れることが出来るようになるから。」では無いでしょうか?
(逆にその本の内容がネットを介してじゃないと、楽しみが見出せないような内容ならもっと話は違ってくるのだと思いますが。。。)

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