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書評:Fortune Favors the BOLD(知識資本主義)

 少し前のエントリーでも引用したが、Lester Thurowの「Fortun Favors The BOLD (邦訳:知識資本主義←ちなみに、この邦題はすごくセンスが悪い)」は非常に面白い。世界中のさまさまな経済の動きが分かりやすく解説してある本だが、特に目を引くのは日本の「失われた10年」に関する部分。

 驚くべきなのは、日本がバブルの崩壊で経験したメルトダウンそのものではない。どの国であれバブルの後には遅かれ早かれメルトダウンを経験するものだ。特筆すべきは、日本にバブル崩壊が残したさまざまな問題をさっさときれいにする能力が欠如している点にある

 ...

 バブル崩壊の結果、日本の不動産ローンを抱えている人の40%は借金の残高の方がその担保である持ち家の価格より高いという債務超過の状態に陥っている。...米国であれば、そんな人はさっさと持ち家の鍵を銀行に渡して新しい人生をやり直すことができるが、日本ではそうは行かない。...日本では、実質的にその人の生涯賃金が(場合によってはその人の子供の生涯賃金までが)担保になってしまっているのだ。

 ...

 債務超過に陥っている企業を倒産させる代わりに、日本政府はそんな会社の株式を買い支えるという行動に出たが、それは何の役にも立たなかった。...結局のところ、政府による株の購入は、そういった企業の株を持っていた人の損失の補填に国民の税金を費やす、ということなっただけだ。

 ...

 バブルを防止することは不可能だ。バブルの崩壊を防止することも不可能だ。ただ一つだけ出来ることは、バブル崩壊後の(不良債権などの)問題点をすばやくきれいにすることだけだ。政治家の能力が本当に問われるのはまさなそんな時。日本の政府はまさにそのテストに失敗してしまったのだ。その結果、国際社会における日本政府の信用は地に落ちた。

 外から見ていてなんとなく感じていたことだが、ここまで単刀直入に言ってくれる人は少ない。

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Comments

shigeki

民間の金融機関が不良債権を隠していた(簿外処理した)のに、日本政府や議会がどう処理できたんだ?隠している→何とかなると彼らが思っていたから、政府は好きにさせただけ。むしろ責められるべきは元々の民間部門(企業・個人)であって、公的部門(政府)ではない。地上げ屋や簿外処理は一体誰が利用したのですか?購入者は強制的に高値で住宅購入させられたのですか?いつまでも自分以外の誰かが責任の尻拭いをするお上意識や考えは止めた方が良いのではないですか。
民間人のレベルが低いから政治家(選挙選出)のレベルが低いのであって、その逆ではありません。企業の倒産は政府の関知する事ではないし、国の安全保障についての強い政策がないのなら、社会の安全や個人の生活の保障について政策を打ち出せる訳が無い。「国は国民のレベルを超えることは無い」とはよく言ったものだが…。

pong

おっしゃる通りなのですが、破綻したベアスターンズの救済で、FRBがやったことは
日本の"救済"と全く同じことなのですよね。
FRBが債務保証で、損失が出たら、
それは米連邦政府の負担になります。
今後、米国民は、"血税"で、ベアスターンズを間接的に救うことになるかもしれません。
この厳しい現実に、今の米国民もマスコミも無自覚です。


しかもその判断は、国民の投票によって信任された大統領や議院ではなく、
FRBの委員という、非常にあやふやな基盤の下で選任された人たちの判断に基づくわけです。
結局、アメリカも、バブルが弾ければ、日本と同じ、もしくは、日本以上に醜い対処をしてしまいました。
本来ならば、ベアスターンズは破産すべきだったのです。


今、最大の焦点となっているリーマンブラザーズも、"アメリカ流"の判断からは、早期に破綻処理すべきなのです。
同じく危機を囁かれる、GMもシティも破綻処理すべきです。
しかし、FRBも米政府も財務省もそれをやろうとしない。
結局、日本のバブル崩壊後に日本に求めた"ハードランディング"を、
アメリカは、いざ自分が同じ問題に対峙すると、できなかった。
アメリカは二枚舌です。


私個人の意見では、ベアスターンズの救済も、死に体のリーマンとGMに温情の延命措置を施し続けるのも
正しい判断だと思いますけど。
ハードランディングは、個人レベルにおいて、あまりに代償が大きい。
正論ではあるんですが。

m

>民間の金融機関が不良債権を隠していた(簿外処理した)のに、日本政府や議会がどう処理できたんだ?
日本の大蔵省は民間金融機関の決算までコントロールしていたでしょ。
簿外処理は、明らかに大蔵官僚の指示です。
官僚組織が責任逃れのために、民間金融機関に責任を押しつけているだけです。

アメリカは、ECの損失確定待ちと思われ。

humu

>>この邦題はすごくセンスが悪い

ちなみにどういう題名をつけられますか?

shigeki

民間金融機関の不良債権→民間金融機関の責任じゃないの?
民間金融機関の正常債権は民間金融機関の責任で、不良債権のみ政府機関の責任とするのは虫が良すぎるでしょ!払うことの出来るローンは個人の責任で、割高で払えなくなったら政府機関の責任とするのは都合が良すぎるでしょ!!債権の扱いはいつからそのような役割分担ができたのですか?


 政府や官僚のせいにして、民間機関(企業・個人)が自己の経営責任を誤魔化し続けたのが日本の「失われた10年」の正体だと、個人的に思っています。地上げ屋や簿外処理から偽装処理までバブル崩壊よりもモラル崩壊と言った方が適切でしょう。選挙の度に民意(景気対策)に従って国民を甘やかし(国民もそれを望んだ)続けたのが政府の責任であっても、不良債権の責任を政府に負わせるのは市場原理に反することは明らかで、土台無理な不合理極まりない結論に過ぎないのは文章の最初にも述べた通り。


 これでも多くの日本人は新聞や外国人の意見に迎合し、政府や官僚(自分以外の誰か)の責任であることを信じ続ける。日本には、考えのない人間が多いのかそれとも卑屈なまでに根付いた船来信仰好の強さのゆえか?失われた20年でも失われた30年でも真剣に自分と向き合い殻(思い込みや常識)を打ち破らない限り何年でもこうした状態は続きます。

Hiro-p

バブルへGo!っていう映画みられましたか?なかなかよく出来てます。お勧めです。


snowbees

レスター・サローは、“knowledge-based economy”という表現を使っても、“knowledge-based capitalism”という表現を使わない。彼は、資本主義に否定的なイメージを持っているからだ [Lester C. Thurow:The Future of Capitalism] 。

<ちなみにどういう題名をつけられますか?
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/nagai/thurow.html
QUOTEマックス・ウェーバーが指摘したように、資本主義の精神とは、合理的な手段を用いて堅実に資本を蓄積する禁欲主義であり、博打的な方法で一攫千金を狙う冒険主義の対極にある。だから、“Fortune Favors the Bold”というのは、資本主義的ではないのである。そこで、「知識資本主義」という言葉の代わりに、「知識依拠型経済」という言葉を使うことにしよう。UNQUOTE

CoolMoment

>>米国であれば、そんな人はさっさと持ち家の鍵を銀行に渡して
>>新しい人生をやり直すことができるが、日本ではそうは行かない。

この本を読んでないんで文脈が不明ではあるんですが、、、

日本の住宅ローンで残高より家の価格が下がった場合に簡単に清算できないのは、
ウィズ・リコースローン方式が前提となっているためです。
欧米ではノンリコースローン方式であり、責任財産以上の返済は求められないそうです。
これは日本の商法が債権者保護を前提に構成されているためで、
元々ドイツの法律を参考にした際に、債権の意味を取り違えてしまい、
債務者保護の考え方が逆転してしまった事によると聞いたことがあります。

原著者はこういった事情を知らないとは思いますが、
いずれにせよ、再チャレンジを促進するために早期の法基盤改正が必要だと考えます。

shigeki

「ただ一つだけ出来ることは、バブル崩壊後の(不良債権などの)問題点をすばやくきれいにすることだけだ。政治家の能力が本当に問われるのはまさなそんな時。」って、米国の政治家でこれを今実行している人はいるの?

会計処理の基準を変更したり、民間企業を国有化・公的資金投入したり、グリーン・ニューディール発表したり、どれも景気・選挙・雇用対策ばかりで、不良債権処理については先送りじゃない。この文章書いて1年4ヶ月過ぎたけど、「さっさと持ち家の鍵を銀行に渡して新しい人生をやり直すことができる」を米国社会は実践しているのですか?銀行に差し押さえをヤメさせたのは現オバマ大統領でしょ。チェンジってこんな意味だったのですか?

日本を外から見ていてなんとなく感じていたななら、今米国を内から見て何を感じているのですか?

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