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Oracleの「Android訴訟」についてひと言

 今日のこちら(米国西海岸)でのもっぱらの話題は、Oracleの「Android訴訟(詳細)」だが、これに関しては、私も含めて「やはり来たか」と見ている専門家は多い。

 そもそも、スマートフォン以前の携帯電話用のJavaがプラットフォームとして成功しなかった理由の一つは、J2MEが根っこのところで、NTTドコモ独自のDoJaとモトローラ主導のMIDPに分岐してしまったことにあるし、同じJ2ME間でも実装の差異が大きく "write once, run everywhere" が机上の空論になってしまったことにある。Sunがちゃんとリーダーシップを発揮できなかったためである。

 その意味では、J2ME/MIDPとコンパチビリティがなく、Sunから正式にJavaをライセンスしていないAndroidはけしからん、というのは(今はOracleの一部になった)Sunから見れば当然のこと。

 「J2MEの時に何もしなかったくせに、今さら何を言うんだ。モバイルにおけるSunの影響力なんてすでにゼロに近いのに」と思う人も多いだろうが、せっかくSunを買収したのだから「影響力がゼロになる前に何とかしておこう」というのが今回のOracleの思惑なことは明確。

 前にもここで述べたが、Googleの「オープンなスマートフォン用のOSを提供しよう」という発想そのものはすばらしいが、それがPalmのWeb OS(もしくはGoogle自身のChrome OS)のように「ウェブ・セントリック」なOSでない点がそもそもGoogle自身の戦略とマッチしていない点が筋が悪い。

 Androidを設計したAndy Rubinは、Danger Researchにいた時から「Java VMクローン」を作るのが専門で、当時も「Sunの知的所有権に触れずにJava VMを作った」「私が作ったVMの方が、SunのJava VMよりも遥かに実行効率が良い」と何度も自慢していた。小さなベンチャー企業がやっていたことだから、Sunも黙認していたようだが、今回はGoogleという大企業で、それも複数の携帯電話メーカーを巻き込んでの騒ぎだから簡単な話では済まされない。

 そもそもの問題は、Andyが作ったJavaベースのAndroidをGoogleがプラットフォームとして提供する、という戦略に出た(もしくは出させてしまった)点。明らかにGoogleの経営陣の大ミスである。Sunの知的所有権を侵害している可能性だけでなく、(AndyがGoogleに入る前にJava VMクローンを作っていた)Danger Researchを買収したMicrosoftの知的所有権を侵害している可能性も否定できない。このとばっちりを受けるのは、ここまでさんざんAndroidに開発投資をしてきたメーカー。Googleはいったいどう「オトシマエ」を付けるのだろう。

 今からでも遅くはないので、Androidに関わる人たちはJava VM上でのアプリの開発やAPIの実装からは手を引き、(Android上の)WebKit上のHTML5 Widget(参照)の開発にシフトすべきだと思う。HTML5 Widgetであれば、Androiddけでなく、iPhone OS/Palm のWeb OS上でも動くし、もちろんデスクトップ(Windows/OS-X/Chrome OS)との親和性も遥かに高い。Google自身の企業戦略ともマッチしている。

 そして、Google自身も、JavaVMを捨て、より Chrome OS に近い形のプラットフォームにAndroidを進化させるべき。もちろん、Andyは徹底的に抵抗するだろうが、この訴訟があろうと無かろうと、長期的に見ればモバイル版Java VMそのものにはあまり戦略的価値がない。開発投資をするなら、Java VMじゃなくてモバイル用のJavaScript エンジンだし、モバイル版のWebKit。Androidデバイス上のWebKitの実装がiPhoneと比べて大幅に劣る部分は早くなんとかした方が良い。

 もちろんWidgetは「これからの技術」だが、だからと言ってそれがプラットフォームとして充実するまで何もしないという消極的な戦略では、いつまで立ってもリーダーシップ・ポジションは取れない。

 ちなみに、既に、韓国のSamsungは HTML Widget をOSに依存しない次世代のプラットフォームとして真剣にとらえており、その戦略性は評価に値する。ちょうど良い宣伝の機会なので、UIEvolutionがSamsung向けに開発したWidget SDK(参照)に関するビデオをここで紹介させていただく。JavaベースのAndroidと違い、Widgetの開発はすべてJavaScript+CSS+HTMLで行うのが特徴。

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Comments

とりあえず

satoshiさんこそ、googleのアンドロイド担当CTOとしてピッタリだと思えるのですが、いかがなものでしょうか?

感想太郎

最初は全くその通りと思ってたんだけど、以下の文章から突然飛躍したポジショントークに見えた

> 今からでも遅くはないので、Androidに関わる人たちはJava VM上でのアプリの開発やAPIの実装からは手を引き、(Android上の)WebKit上のHTML5 Widget(参照)の開発にシフトすべきだと思う。

…実は、これ言いたかっただけ?
なんでこう、Webに入れ込んでる人たちは全てHTMLで作りたがるんだろう?

Shinichiroh Takezaki

「小さなベンチャー企業がやっていたことだから、Sunも黙認」とありますが、小さなベンチャー企業であれば、特許侵害は許されるのでしょうか。それとも、少なからず罪はあり、もし訴えられたら負けてしまうのでしょうか。

私はオープンソースの特許侵害は普通にあると思っています。
satoshiさんが過去作成されたソフトも気づかないだけで特許侵害の可能性は0ではないと思っています。(特にコレとはいえませんが・・)

実際のところ、ソフトウェアの特許侵害を言い出すと、とんでもないことになると思いますが、いかがでしょうか。

http://blog.virtual-tech.net/2010/08/java-oracle-vs-google.html

とおりすがり

>なんでこう、Webに入れ込んでる人たちは全てHTMLで作りたがるんだろう?
その人たちにプログラミングする能力がないからじゃね?

Web開発やってる人からすると、HTMLとかXMLとかJavaScriptって、バグの温床で厄介ごとだらけだから、できるかぎり回避するのがベストプラクティスなんだけどね。

Nico

宣伝かい!
というツッコミは置いといて、GoogleはWebMでも同様のミスを犯していると思うのだけれど、やはり戦略の強引さにほころびが見え始めてきたのだろうか。

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