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誰も言いたがらない「Sony が Apple になれなかった本当の理由」

Sony や Panasonic が家電のコモディティ化で大赤字を出して苦しむ一方で、今や株価総額が日本の大手家電メーカー8社の株価総額の3倍以上にもなった Apple(参照)。

この差に関しては、私も含めて、リーダーシップの欠如だとか、ゼネコン型のソフトウェア開発スタイルが悪いとか、ソフトウェアの重要性を理解しない経営者、などのさまざまな考察がされているが、その根底にあるのは、「大企業は一度正社員になった人は会社が倒産の危機にでもさらされない限り解雇してはいけない」という日本特有の雇用スタイル。

家電業界の成り立ちは、日本の家電メーカーが業績をのばしていた高度経済成長期とは大きく変わってしまった。ソフトウェアがものすごく重要になったのはもちろんのこと、ハードウェアに関しても、中国を含む東南アジアが「世界の工場」となった今、「何を自分で作り何をアウトソースするか」がコスト削減の上でも差別化の面でもものすごく重要で、そこが最適化できない企業は世界で戦えない。

自社工場で作るよりも中国の工場に作らせた方が安くかつ、品質も同程度であるのであれば、自社工場は閉鎖し、中国にアウトソースした方が、当然安く作れる。

ハードウェア技術者よりもソフトウェア技術者が重要なのであれば、不要なハードウェア技術者は解雇し、優秀なソフトウェア技術者を雇うのは当然である。

待遇に関しても、優秀なソフトウェア技術者が引く手あまたであるのであれば、それなりの給料を払ってしかるべきである。40代の管理職よりも、20代のソフトウェア・エンジニアの方が会社にとっての価値が高いのであれば、20代のソフトウェア・エンジニアの方に高い給料を払うのが当然である。

アップルの強さは、単にデザインやジョブズの現実歪曲空間だけにあるのではない。柔軟な雇用関係のもとに、「いかに製造コストを下げるか」「どこまで在庫を減らせるか」「どうやって優秀なソフトウェア・エンジニアを雇うか」に常に目を光らせ、「魅力的な製品を安く」作る事に最適化している点にある。

日本の家電メーカーは、未だに終身雇用制の呪縛に縛られているため、工場の閉鎖も簡単にはできないし、技術者の入れ替えもままならない。それどころか、コスト削減のために新卒の採用を減らしているため、平均年齢が40才を超えている(参照)。今までソフトウェアを軽視してゼネコン・スタイルで開発をして来たために、社内にはソフトウェアが自分で書けるエンジニアはほとんどおらず、自分でソフトウェアも書けないくせに、給料だけは高い「自称エンジニア」が仕様書だけ書いて下請けに丸投げしているのが現状だ。

中国にアウトソースした方がはるかに安いハードウェアをコスト高な自社工場で作り、逆に、もっとも大切なソフトウェア開発は社内で作る事ができずにゼネコンスタイルで下請けに丸投げ。アップルとまともな戦いができないのは当然だ。

そろそろ、「会社は誰のためにあるか」という根本の部分から見直さないと日本の家電メーカーは世界で戦えない。TPP で市場を開放する前に、しておくべきことは沢山ある。

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Comments

jar

日本の家電メーカーでもこの約10年に相当リストラをやっています。ただし、主には一般社員ばかりで管理職や役員は加算金で自ら辞職する以外は他部門他部署に異動し事実上リストラされません。結果として技術があり能力を発揮できる社員は減り、高齢化に貢献しています。部長課長が何人もいるという高コストで頭でっかちな組織となり、新しいモノづくりは東南アジアに委託しなければならず、また新しいソフトウェア技術の習得も困難のため、自ら新しい製品を開発することはできなく、後追いにならざるを得ない状況に思います。

Junior

家電業界では無いですが、自動車業界で長年エンジニアとして働いている者です(情報系では無いです)。

自動車業界でも日本の企業はエンジニアリング能力は低いです。
仰る通り、実務は下請けに丸投げし、やるのは仕様書の作成のみ、の風習は一般的です。
下手をすると仕様書も書かず、簡単な内容のみ口頭で指示し、仕事が遅れたら下請けのせいにし、結果が素晴らしければ自分の手柄にする、っていうのが日本の大企業のやり方です。
設計が図面を描かない(描けない)、なんて当たり前ですし(下請け社内常駐オペレーターに描かせて自分は工程管理のみ、ってことです)。
そして社内はひたすら技術力の無い管理部門の様な部署が増えていきます。

しかし、黙って働いている分には素晴らしい環境です。
福利厚生は整っており、更にこの不況下でも給料は(年功序列に近い形で)上がっていきます。
組織はトップダウンで、名無しの兵隊として戦う社員が沢山居る為、組織としての耐久力は素晴らしい部分があります。

同業界の欧州外資系企業に籍をおいたこともありますが、業務の形態が根本的に違います。
スキルの無い人は社長・役員といえども捨てられます。
スキルの有る人は実績を積んで、もっと待遇の良い会社へ飛んでいきます。
ただ、待遇面では日本の企業に勝てる企業は北米・欧州の一部の企業を除いて少ないと思います。
もちろん、外資系にもヤバイことは沢山ありますが、『競争力』という面では、日本企業の出る幕は無い様に思えます。

こういう状況下では、本当にスキルの有る人は、日本の大企業には残り難いです。
当然、沢山お金を積む外資にガンガン流れています。
残るのは、組織の中で上手くやることに長けている人達や、兵隊として優れている人達だけです。

そしていずれ国内企業は緩慢に衰退していく、そんな気がします。

T. kubota

あほくさ。
今頃そんなこと言ってもどうしようもない。
初代のipodが世に出たとき、apple社自体はまさに潰れかけ。
昔からのMac信者がいたにもかかわらず、iMac以降は内にこもった井の中の蛙状態。
たまたまipodからiTuneの連携に一か八かで賭けたことがいい方向に出たって事でしょ。
当時iTuneで楽曲をダウンロードすることだって、違法性があるのないので議論されてたわけだから。
昔のことわざどおり、勝てば官軍で、あとから分析してごたくを並べるならITの普及した昨今、どのおっさんにも可能なわけで。

で、ふたを開けてみれば「日本固有の雇用スタイル」では、がっかりを通り越して、
なんか、せめてもっと斬新な切り口を考えてくれよーって思います。

よろしく。

詠み人知らず

安さが正義でなんでもアウトソースして行ったら、国内市場の購買力ががたがたになってしまうんですが、その辺はいかがお考えなんでしょう?
労働者=消費者という観点が完全に抜け落ちてるようですが

ちなみにアップルがどんなに儲ろうとも、アメリカの失業率は改善しません

modeelf

どうやらはてブコメントも荒れてるようですが、正にあなた達の話をしてるんですよ、著者は。

> 国内市場の購買力ががたがたになってしまうんですが、

国民の購買力増やすために、日本の主要企業を成長(復活)させようって話をしてるのに、目先の個人の給与のことなんて気にしてたら経済も会社も回復しないでしょ。

> ちなみにアップルがどんなに儲ろうとも、アメリカの失業率は改善しません

つまり、失業率上げる話をしてるんですよ。
一般職とか総合職とか言って、分野のプロでもなんでもないような、ただの一般人を雇ってスーツ着せてるからアマチュアが簡単に大企業の社員になれる国になっちゃったの。その結果、個人は成長しようともしないし、成長しても給与に反映されない社会になってしまったわけ。

もう一回文章よく読んで、筆者が本当に言いたいことを読み取って下さい。要するに、ここでウダウダ言ってるような人たちも含めて、一回全員切れってこと。

> なんか、せめてもっと斬新な切り口を考えてくれよーって思います。
ね、斬新でしょ。

tarosan9

国産大手IT企業から、競合とされる大手外資IT企業に転職したものです。主にITの運用系のビジネスに従事しています。転職して人材と技術の管理の違いについて痛感したことがあります。

国産ベンダー時代の仕事は、顧客と折衝していくらの価格で人を何人集めるかを調整して、あとは取引先の「協力会社」に必要なスキルセットと人数を伝え、費用は安く買いたたいて技術者を「仕入れてくる」ことでした。

今の会社では、競争力の源泉として、日本人だけで社内に人を揃えて仕事をまわし、人の出入りはあっても技術は残るような仕事の仕方を組み立てています。その中で各自が自分のキャリアプランに合わせて社内で部署を柔軟に変わって行く、どうしても仕事が合わない人は辞めていく、仕事ができる人は上がって行くもしくはより良い条件で外に出て行く、その分また新しい人が入ってくる、人材の循環の仕組みが出来上がっています。

今の日本は景気がこんな状態なので、社員数は絞り込む方向にありますが、それでも国産ベンダーよりも新陳代謝はうまく行っているように思います。

たった2社だけの経験ですが。

mm

>国民の購買力増やすために、日本の主要企業を成長(復活)させようって話をしてるのに、目先の個人の給与のことなんて気にしてたら経済も会社も回復しないでしょ。

それならApleをまねしろ!としか言えない老害達を切るほうが先でしょ。

会社は株主に配当を配るために存在するわけではないし。

通りすがり

>会社は株主に配当を配るために存在するわけではないし。

これは大きな誤解。
株式会社ってのは当に会社は株主に配当を配るために存在するんですよ。
でなきゃどうしてただの紙切れに大金払うんですか?

dd

根拠は無いけど、雇用慣行がSONYがダメな原因の本質じゃない気がするね。
多分、強力なリーダーシップを持った新しい会社が出てきていなくて、サラリーマン社長ばっかりだからじゃないかね。

日本電産とか楽天とか、ソフトバンクとか、ニトリとか、日本でも、創業者社長がブイブイ言わせている会社は、同じ雇用慣行の下でも上手くやっている。サムスンのイゴンヒは2代目だけど、実質的には創業者みたいなもんだし、台湾のTSMCやFOXCONNは全部創業者がまだバリバリの社長だし。

もともと大企業だったとしても、うまくいっていた会社もある。GEのジャック・ウェルチやIBMのガースナーなんかを見ていると、創業者かどうかが重要なのではないのかもしれない。要はリーダーシップの問題じゃないかね? 日本に解雇規制が無かったとしても、出井さんやストリンガーが社長じゃ、やっぱりダメだったと思うよ。

cts

アップルが一八でビジネスしてるとしか思えない人や、日本が内需では成り立たない国であることを理解していない人や会社は何のために存在しているかもわからない人(会社はすべてのステークホルダーのために存在しているんですよ)たちはどうでもいいとして。
この話は根本的な問題であり、当たり前の話。
日本には雇用の競争力がない。
新卒採用というわけのわからない制度がある限り、日本は変われない。
同じ仕事なら、より安いコストと考えるのが当たり前。
でも、日本は一度雇われればクビにならない。
サボってても金がもらえる仕事の安定は魅力かも知れないけれど、世界の競争の中では通用しない。(最近は変わりつつあるらしいが)大学に入りさえすれば勉強しなくても卒業ができる日本学校の仕組みと同じ。
卒業が厳しい方が強い人間ができる。努力を続けるから。
日本のサラリーマンも努力をしていない。
キャリア組もエリート商社マンもそう。35歳くらいまでは優秀かも知れないけれど、それからは安定した生活が待っているからそこからダメ。
人は常に競争環境にないといけない。
でも最低レベルの労働力、ブルーカラーとか単純事務職、営業のレベルがやたらと能力(信頼性)が高いから日本は強い部分があるんだと思う。
マネジメントや企画開発部門はダメなんじゃないかと思う。

247

社長が出井氏に替わってから、何か違う会社になっちゃったって、結構いい技術者が大量に辞めちゃってるんだよね。当時、儲かりそうだからと、損保だの全く関係ない事業領域に踏み出したりしたしね、彼は。
マーケティングやブランディングも微妙にブレてた気がする。ポルシェが軽自動車にも手を出したみたいな。その辺りが一番の問題で、工場とか労働者の問題はずっと小さいんじゃないだろうか。出井氏は自身ええ格好しいだったけど、超クールだった会社を逆にかっこ悪くしちゃったんだよ。労働者を首にできたら、Appleになれたかって言えば、そりゃ全く無理だろう。
常に経営者よりのノビーもソニーに関しては、経営者問題としてるみたいだけど、日本企業の問題は大概経営者にあるんだよ。労働生産性の問題も経営者が安売り競争しか出来ない無能だから。ノビーが言ってるように解雇規制を緩和しても、グローバルで勝てる企業にはなれないよ。

ぽぽぽ、ぽ~ん

2たんねるから来ました。
みんな、すっごいレベルたけ~

ぺぺぺ、ぺ~ん

よく分からないんですけどソニーも中国に工場持ってませんか?
それにハードウェア技術者というのは生産する人よりも開発や設計などの人を指すと思うのですが

通りすがりさん

日本でソフトウェア・エンジニアを優遇しようにも人材のプールが乏しいからねえ
ソニーの凋落の原因は日本を捨ててアメリカ企業にならなかったからだよ
まあ優秀な経営者なら迷うことなく捨てたんだろうけどまあ国を捨てるのは難しいわな

gabill

人材の流動性というと人を減らす側面ばかり目立ちますけど、外部の優秀な人材を受け入れる土壌があるか、という側面も重要ですね。
過去にはGoogleがMicrosoftの社員を引き抜きまくって話題にもなりましたし、ちょっと前にはfacebookがGoogleから引き抜くという因果応報。
勢いある後発企業は経験ある大企業からノウハウを盗み、老いた大企業は新興企業を買収することで環境の変化に対応する。そうすることで社会全体で若さを保つエコシステムが日本にもあれば、ここまで老朽化することもなかったかもしれません。

もしもSONYがまだ勢いがあった2000年頃にMicrosoftからOS開発者を引き抜いて独自OSの開発に乗り出していれば・・・という妄想も面白いですね。OSの開発経験がありユーザーインターフェイスの設計にも精通しWebにも強く日本の文化にも馴染みやすい調度その時期にMicrosoftを辞めたがった人・・・そんな都合の良い人材を探すのは大変そうですが。

VIPPERな名無しさん

>株式会社ってのは当に会社は株主に配当を配るために存在するんですよ。

誰かドラッカーとジョブズの経営哲学を教えてあげて。

yumeno_tocyu

「会社は誰の為にあるか」と言う問いは、Appleが配当もせずに8兆円も
溜め込んでいるのをみれば明らかでしょうね。

too

アップルが一八でビジネスしてないしか思えない人や、日本が内需では成り立つ国であることを理解していない人や会社は何のために存在しているかもわからない人(会社はすべてのステークホルダーのために存在しているんですよ)たちはどうでもいいとして。
この話は根本的な問題であり、当たり前の話。

こんなこともわからない人がいるとは・・・

人材が流動化すれば、社内教育が行われなくなるというデメリットもあるんだよ。
日本システムが全て悪いとか思っている人には、
「ぼくのかんがえたさいこうのろうどうかんきょう」
とか、あるんだろうなwww

busbytokyo

ソニーだけでなくパナソニックや他の業態も似たり寄ったり。日本の文化は出る杭を打つ。よって斬新なアイデアを持っている人材が活躍できない土壌を文化が作っている。失敗を許さない減点制度であるかぎりこのままでしょう。
海外で働くと世代を超えた柔軟でオープンな意見交換が多い。日本は敬語、そして最悪な先輩・後輩制度でオープンなアイデアの交換はできない。
先輩・後輩制度は昭和時代の老廃物。これは文化ではない。このあたりからひっくり返して壊すつもりの経営者が出てこないとダメでしょう。

gajamaru

>株式会社ってのは当に会社は株主に配当を配るために存在するんですよ。

そうなんですかね。あんなに稼いでるAppleは17年間、株主への配当がありませんよ。

sopgogo

初めて訪れましたが面白い議論ですね。

証券会社勤務なので、配当について整理しますと、配当せずに企業内に貯めて再投資していった方が高い利回りが期待できる場合には無配当であっても、内部留保することで株主に将来より大きなリターンを返すことができるので、株主にメリットがあります。現在の配当の有無だけで「会社は配当を配るために存在する」という議論を否定してはいけません。
いずれアップルも成長が止まれば配当をする時期が来るはずです。マイクロソフトが配当をはじめたように。

枝葉の議論から入ってしまいましたが、日本企業の雇用形態が競争力を阻害しているというのは事実でしょう。そこに安住している人たちが、いずれ企業がつぶれて解雇されるか、アジア新興国の企業に買収されることによって「働き方を変えざるを得なくなる」か、のどちらかで安住できなくなるのもそう遠くない将来だと思います。

安心して働ける環境、確かに悪くない言葉の響きですが、企業が世界中と競争する中で、自分の競争力を上げずに生き残ることは企業も個人もできない。

人を育てる正しい環境は、不安を抱えているが明るい未来を信じられる環境であると信じています。
あと仕事を楽しんでやること、これを実現したら世の中が変わる、と信じて仕事すればきっと楽しくなる。いかに組織の中でうまくやっていくか、を考えて仕事すれば当面は生き残れても、いつかは陳腐化する。

日経アカデミーというサイトで、過去の本田宗一郎の「私の履歴書」が連載されています。現在のホンダの社員には信じられないでしょうが、一か八かの賭けをしながら本田技研を世界企業に成長させた本田宗一郎の明るい未来を信じて働いた姿に触れることができます。

スティーブジョブスも歴史的な人物であることに間違いはないでしょう。しかし、本田宗一郎も盛田昭夫も歴史的な人物であることも間違いないです。決して日本がダメなのではなく、今の日本人の安住しているものがダメなんです。

どうすれば変わるか?
安住しているものを捨てるしかないです。
捨てて、次の新しいものに挑戦する。そういう意欲を持てる仕組みにすれば、人も企業も成長できます。

液晶テレビもプラズマも捨てて、ソニー・パナソニックは何に挑戦するのか。でも出来なければその歴史を閉じることになるのです。

higekuma3

Appleになれなかったというより、iPodを実現できなかったか?

で、書いたよ。

そのほうが、適格だし。

まじで、あそこが分岐点だからね。

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