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まじめに働いているのに仕事が終わらない人の特徴

6月1日に発売したなぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器であるですが、編集者の方によると「書店での動きが特徴的に良い」ので、重版が決まったそうです。これまで数冊の本を書きましたが、発売二日目で重版が決まったのは初のケースです。

ここまで、表立った宣伝は、このブログ上での告知しかしていないので、アマゾンでの売り上げが良いのは分かりますが(現時点で、ビジネス書として2位、総合 18位)、実書店での売り上げが良いというのは少し意外です。

今回も、書籍の内容を一部公開します。頑張っている割には仕事を期日内に終わらせることができない人の仕事に対する姿勢を若干誇張して書いています。

私はこれまで大勢のエンジニアと仕事をして来ましたが、大半の人が「追い詰められないと頑張れない」という「ラストスパート型」のエンジニアです。彼らは「いつ頑張るか」の違いでしかないと思っていますが、それは大きな勘違いです。ラストスパート型で仕事をすると、余裕がないために、痛みを伴う変更ができず、抜本的な問題を先送りして、その場しのぎだけをすることになり、結果的に良い仕事が出来ないのです。

良い仕事をしたければ、スタートダッシュ型で働き、余裕のあるうちに難しい問題、根本的な問題から先に解決して行くしかないのです。

◇ ◇ ◇

金曜日

「これ、1週間でよろしく」

あなたはたった今、上司から新たな仕事を任されました。今日は金曜日。締め切りは1週間後の来週金曜日です。7日あればその仕事は確実に終わるでしょう。

しかしあなたは、ほかにも来週の月曜日締め切りの仕事を抱えています。優先順位を考えれば、3日後が締め切りの仕事を先にやらなければいけません。あなたは頑張って、3日後が締め切りの仕事を今日中に終わらせました。お疲れ様でした。週末2日間、ゆっくり休んでください。

月曜日

さて、月曜日がやってきました。先週の金曜日に頼まれた新規の仕事に取り掛かります。締め切りまで5日あるわけですから、たぶん終わるでしょう。

「まあ、でもほかにも仕事はあるしな」

あなたは新規の仕事はいったん脇に置き、メールの返信や長期で抱えているほかのプロジェクトを進めていきました。もちろんそのあいだに、新規の仕事をどう終わらせるかというスケジュールも考えていました。

水曜日

期限まであと2日……。

「これじゃ終わらないかもしれない……」

スケジュールを考えていたとはいえ、頭の中でやるのと実際にやるのとは違います。なんとなく終わらなそう、と予感したあなたは、ほかの仕事を放棄して、あと2日しかない仕事に本格的に取り組むことにしました。

木曜日

締め切り前日、木曜日の夜のことです。メールの返信やほかの緊急の打合せなどで時間を取られたあなたは、ついに徹夜で仕事をしなくてはならなくなりました。締め切りまであと数時間。あなたは必死に仕事を進めていきます。

金曜日

「例の件、終わった?」

翌日の金曜日、あなたは上司から仕事について尋ねられました。背筋に寒気が走り、冷や汗が額を伝います。あなたは徹夜で赤くなった目を瞬きしながらこう言いました。

「すみません、ほかの仕事もありまして、徹夜もしたのですが……もう1日いただけないでしょうか……」

その後の顛末はみなさんの想像にお任せします。

じつはこの話、実際にいた私の部下であるAくんが、知り合った当初にやったことでした。Aくんは従順な部下に見えました。仕事を頼むと、彼はいつも「はい! やります!」「かしこまりました!」「承知しました!」と言います。いつも文句を言わずに仕事を引き受けてくれます。上司としてこんなにありがたい部下はいません。

けれどもAくんは、仕事にどのくらい時間がかかるのかという見積もりを甘く見ていました。いつも仕事を与えられた際に、ぺろっと仕様書を見ただけで、理想の完成日時を予告してしまうのです。

Aくんの仕事は、上司である私の側から見るとこう見えています。

締め切りが1週間後の仕事をお願いした後、Aくんは毎日まじめに仕事をしていました。途中、ほかのこまごまとした仕事を任されることもありましたが、頼んだ仕事もちゃんとやっているようでした。土日も体を休め、余裕を持って仕事をしているようでした。このような姿を見ると上司としても安心です。

ところがある日のこと。会社に行くと、Aくんがオフィスで一人寝ていました。どうしたのかと聞くと、どうやら徹夜で仕事をしていたようです。「大丈夫?  ちゃんと終わる?」と私が聞くと、「大丈夫です! 頑張ります」と答えました。締め切り前日の木曜日のことです。

私は不安になってきました。とはいえ、大丈夫と言われたからには手出しはできません。Aくんはまじめな部下です。仕事で手を抜いたり、適当な完成度で放り投げたりはしません。だからきっと、任せた仕事はほとんどもう終わっていて、クオリティを上げるために時間を費やしているのだろうと思っていました。そして締め切りの金曜日、Aくんは私にこう言いました。

「すみません、ほかの仕事もありまして、徹夜もしたのですが……もう1日いただけない

でしょうか……」

Aくんは毎回毎回適当に仕事をしているわけではありませんでした。もちろん規定どおりの仕事を、ちゃんと納期ぴったりに出してくることもありました。しかし、ほかの案件や、メールの返信などのこまごました仕事にも意外と時間がかかることを織り込んでいないため、仕事を終わらせることができなくなるのです。

その後もAくんは毎回締め切りギリギリになって「すみません、終わりませんでした」と謝ってきました。それも、眉を下げ、本当に申し訳なさそうに言うのです。Aくんは毎度徹夜で仕事を頑張るので、目を赤くして私のところに来ます。

「徹夜したのですが……」

それが何回も何回も続いたのです。

3か月ほど経ったころ、これはさすがに注意しないといけない、ということで私はAくんを厳しく叱りました。仕事が遅いからちゃんとやってくれと。反省しているのかと。遅れるなら仕方がないけど、間に合わないと思った段階で早く報告してくれと。

私のほうでも、Aくんがしっかり仕事できるように様々な工夫を試みました。たとえば、その会社では基本的に2週間単位の仕事を割り振っていたのですが、彼には3日単位の小さな仕事を割り振ってみたりしました。あるいは単に仕事の量を半分にしたりもしました。しかし結果は変わらず、Aくんはいつも最後には「終わりませんでした」と言ってきました。

Aくんは、仕事自体はデキるのです。そこそこ優秀なプログラマーだったといえるでしょう。けれども彼は時間を使うのがとても苦手でした。仕事の量をいくら減らしても終わらないというのは、そういうことなのでしょう。

Aくんはその後、会社から幾度も勧告を受けたにもかかわらず、まったく改善が見られないため、残念ながら、1年後に私のチームにいてもらえなくなってしまいました。私も上司として力不足でした。

Aくんのように、締め切り間際にラストスパートで仕事を終わらせようとする人の態度を「ラストスパート志向」といいます。のちにお話ししていきますが、ラストスパート志向は、仕事をするうえで最も避けるべきことです。

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