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「決断力のない人」に共通する残念な考え方

6月1日発売の拙著『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか?』からの引用です。

 ◇ ◇ ◇

「出勤前の服選び」で疲れてどうする

話が脱線しますが、効率化といえば、「世界の偉人はいつも同じ服を着ている」ということが一部で知られています。たとえばフェイスブックのマーク・ザッカーバーグはいつもグレーのTシャツにジーンズをはいています。アップルのスティーブ・ジョブズは黒のタートルネックにジーンズをはいていました。オバマ大統領はグレーかブルーのスーツを着ています。

彼らはなぜそういうことをしているのでしょうか。それは彼らが日常のささいな決断の数を減らそうとしているからだそうです。日々たくさんの人と会い、様々な意思決定を行う彼らは、普段から大きな決断を迫られています。そのため会社の経営や政治に関わる重大な決断をするときに脳が疲れないよう、無駄な決断をしないようにしているのだそうです。無駄な決断とは、ここでは服選びのことを指します。

心理学では、決断や意思決定をする際に減少する気力のようなものを「認知資源」という名前で呼んでいます。この言葉を使うと、つまり世界の偉人は、認知資源を経営や政治のために温存しているということになります。服選びなどのつまらない決断で疲れるのを避けようというわけです。

私は認知資源という言葉は最近まで知らなかったのですが、「決断疲れ」を避けようとする偉人たちの気持ちはとてもよくわかりました。

私は毎日服を着る際、いつも箪笥(たんす)を3センチだけ開けて、一番手前にある服を着ることにしています。服で何か仕事に影響があるとは思っていないからです。服装が仕事のパフォーマンスに影響するならともかく、そうでないことがはっきりしているのに、服にいちいち気を遣う必要はあまりないのではないでしょうか。

服選びならともかく、もっと時間を取るものがあります。それは表敬訪問です。とくに用事はないけれども、ご挨拶という触れ込みで訪ねる不思議な文化です。あれは無礼の表明になりこそすれ、敬意の表明にはなりません。

ビル・ゲイツは私よりももっと先鋭化させた考えを持っています。最初に私が驚いたのは、彼が何らかの説明を社員から聞くときに、直接その社員からは話を聞かないことです。彼は情報をかみくだき、彼にわかりやすく説明してくれる専門の社員を雇っていたのです。

私たち社員は、ビル・ゲイツに何か説明をするとき、その専門の社員に説明をします。するとその専門の社員がビル・ゲイツにわかりやすく説明をするのです。

一般のスタッフの中には、説明がうまい人もいれば下手な人もいます。そんな中でビル・ゲイツがいちいち顔を合わせて聞いていたら、膨大な時間がかかります。だから彼は、コストをかけてでも、説明を聞く時間を効率化するために専門のスタッフを雇っていたのです。当時ビルは、常時二人の説明専門家を雇っていました。

さらに、彼が参加するプレゼン会議では、発表者が発表をする時間は設けられません。彼のいうプレゼン会議とは、発表者との質疑応答の時間のことを指します。したがってスライドを動かしながら説明をするといったことはしません。資料は前もって送り、当日、質問を受けるだけです。これは究極の効率化です。

そこまで効率化を図りつつも、しっかりと会議をする目的は果たします。会議室に入っていきなり「3ページ目の開発は、ほかのグループがやってるけど、君は知らないのか」など鋭い突っ込みが入ります。そして会議は最長で 30 分という時間が決められています。ですのでちゃんと受け答えの準備ができていないと、うなだれて帰るのがオチになります。

ビル・ゲイツはとにかく仕事の効率化を図っている人です。私も彼ほどまでに厳しくはできませんが、ビル・ゲイツが世界一の大金持ちになった理由の一端は、彼の時間の使い方にあったのだと確信しています。

時間を制する者は、世界を制す

本章の最後に、結局時間を制するとどんなメリットがあるのかをおさらいしておきましょう。それは次の3点に集約されます。

①リスクを測定できる

②目に見える形のもの(プロトタイプ)を素早く作ることができる

③誤差に対応できる

まず、冒頭でリスクを測定できるというお話をしました。その仕事が締め切りまでに終わるかそうでないかを早期に判断することが、会社にとって非常に大事なのです。終わりそうにない、ということ自体は仕方のないことです。一番避けたいのは、締め切り間際になって「終わりそうにないです……」と言ってくることです。上司としては、早めに報告してくれればいくらでもリカバリーできるのに、ギリギリに報告されるのは正直困ります。でも前倒しで仕事の大半を終わらせるようにすれば、迷惑をかけることはありません。

次に、プロトタイプを作ることができるというお話をしました。プロトタイプとは、簡単に言えば 70 点でも 80 点でもいいので、仕事全体をいったん終わらせたもの(試作品)のことです。 Windows95はバグが3500個あったという話を思い出してください。細かいところは後から直せます。ですから細部は後に回して、まず大枠を作って全体を俯瞰できるようにすることが大事です。

バグの数は絶対に0にはできません。ですから、許容範囲を見極めて早めに形にしてしまうほうがいいのです。バグを消そうとして頑張っていては、いつまで経ってもゴールにたどり着きません。

「評価恐怖症」のところでお話ししたように、100点の出来を追求しすぎると、自分の中でどんどん勝手にハードルが上がっていき、上司や顧客からの期待に応えられないのではないかという不安が増幅していきます。これではいつまで経っても仕事は終わりません。

すべての仕事は必ずやり直しになります。ですから、 70 点でも 80 点でもいいから、まずは形にしてしまうことから始めましょう。スマホアプリが延々とアップデートを繰り返している理由を考えてみてください。100点の仕事など存在しないのです。それよりも最速でいったん形にしてしまってから、余った時間でゆっくりと100点を目指して改良を続けるのが正しいのではないでしょうか。

最後に誤差に対応できるというお話をしました。これは渋谷に 10 時に待ち合わせをするという比喩がわかりやすかったと思います。9時 55 分に渋谷に到着する計画では、遅れてしまう可能性が十分あります。そうではなく、 30 分前に近くのスターバックスにいることも含めて待ち合わせだと考えてください。私にとって、 10 時に渋谷で待ち合わせというのは、すなわち9時半にTSUTAYAのスターバックスにいることと同義なのです。

また、ビル・ゲイツがあなたに花を用意させる話もしました。花を用意するという任務を与えられた以上、あなたは花屋がいかなる理由で花を届けることができなくても、責任を持って花を準備しなくてはなりません。あなたの任務は花屋に花を注文することではなく、花を用意することなのです。待ち合わせの例でいえば、待ち合わせというのは 10 時前に到着する電車に乗ることではなく、 10 時に絶対に待ち合わせ場所に着くことなのです。

このように自分の中で何を守るべきなのか、何が任務なのかを再定義することが仕事でも重要です。責任感を持つことで自分のやるべき使命がはっきりします。

Comments

Tetsuo

早速、「なせ、あなたの仕事は終わらないのか」を購読させていただきました。
ひとつ、質問があるのですが、5章の「長期の仕事は縦に切る」(p188~192)の例で、書籍の中では本の編集者の仕事を例に挙げられていますが、たとえば、自分が1年かかる本の執筆者の仕事やまたは1年ほどかかるプログラムを受注した場合、ロケットスタートはどのようにきればいいのでしょうか?プログラムを受注した場合、まずはそれが本当に1年で終わるものなのかを見積もる必要があると思うのですが、その場合は最初の2割の2~3カ月で見積もりを出すというのでいいのでしょうか?(相手にもよりますが、ちょっと時間がかかり過ぎのような気もします。)また、この間全てを、20倍界王拳でやるというのも現実的には不可能のように思います。(そのことは、書籍にも書かれているようですが。)1年間ほどかかるプログラムを受注した場合の例で簡単に教えていただけないでしょうか?

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