ビルゲイツの面接試験-ビジネス編

Snowbus ここのところ、正解が一つだけの数学パズルばかり出してきたので、今回は少し趣向を変えて答えが一つとは限らないビジネスの問題。

 まずは、下の二つの文章を読んで欲しい。

【1】 チープ革命の波は企業だけでなく個人にまで押し寄せている。個人が会社に属さずにウェブでビジネスをして十分に食って行くことができる時代が来ようとしている。

【2】 クレジット・カード詐欺やフィッシング詐欺が増えた結果、消費者がオンラインで個人情報を与えることにとても慎重になっている。その結果、Amazon、Walmartなどの「信頼できる大手e-コマースサイトでしかオンライン・ショッピングをしない」消費者が増えている。

 この一見矛盾する二つの情報をあなたならどう解釈するか、そして、そこに何らかのビジネスチャンスを見出すことができるか、というのが今回の問題である。

 数学の問題と違って答えが一つだけではないところがこの手の問題の面白さ。面接試験の予行練習だと思って、色々と考えてみていただきたい。


ビルゲイツの面接試験―ドラゴン桜編、解答

 大晦日に出題した「ビルゲイツの面接試験―ドラゴン桜編」。「4つ」という典型的な誤答から、「8つ(図付き)」という正解まで寄せられた。

 やみくもに探しても注意深い人であれば8つ全部を見つけることは可能かもしれないが、そんな解き方は再現性・信頼性の意味でもあまり好ましくない。ソフトウェア・エンジニアとしては、やみくもに探すのではなく、きちんと筋道立てて考えて、抜かりなくすべてのケースを見つけ出すように考える習慣を身につけて欲しい。

 そこで、私が解いた手順を参考までに下に示す。

 まず、円と円との接し方には外接と内接があることに着目する。すると、平面上に二つの円があるのだから、それぞれに外接・内接をする組み合わせを考えれば、「外接・外接」「内接・外接」「外接・内接」「内接・内接」の4通りがあることが分かる。

 そこでまず、ひとまず直線のことは無視して、両方の円に外接する円にはどんなものがあるかを考えてみると、下の図のようになる。

Dragon_base

 灰色の円が、両方の円に接する円の中で一番小さいもの。両方の円に接したままで半径を大きくした円をいくつか赤で表示してみたが、実際には連続した大きさで無限個の円が存在する。注目すべき点は、画面の右下と左上に二つの円のグループが存在すること。

 これらの円の中で、さらに直線とも接する円を探すために、直線を再び描き入れてみると、右下・左上のグループにそれぞれ一個づつそんな円が存在することが分かる(下図の太線で描かれた円)。

Dragon_000

 これと同じことを、「内接・外接」、「外接・内接」、「内接・内接」の場合それぞれについて行うと、下図のようになる。

Dragon_10Dragon_01Dragon_11

 つまり、4通りの接し方それぞれに2つの円のグループがあり、各グループに直線と接する円が一つづつ存在するので、「トータルで8つの円が描ける」、というのが正解である。こんな解き方をすれば見逃す心配もないし、ちゃんと「8個が最大である」ことも証明できる(最初の二つの円の配置と大きさによっては、8個未満の場合もあるがそれに関してはここでは省略。余裕のある人は、応用問題として「どんな場合に答えが8個より小さくなるか」を考えてみると良い)。

 ちなみに、出題の際にも述べたが、この手の問題はこの世の中には数え切れないほど存在するし、新しい問題は次々に作られてくるし生じてもくるので、それぞれの問題の解き方を丸暗記して知識として蓄えようとしても決して追いつかない。そんな「知識の習得」よりも、どんな新しい問題に出会ったときにも自分なりに筋道立った解き方を見つけ出すことが出来る「力」と、常に筋道を立てて考えようとする「習慣」を持つ方が何倍も大切で、それこそがソフトウェア・エンジニアにもっとも要求される素養である。

【このブログに初めて来た人へ】
 この問題の他にも、「ビルゲイツの面接試験シリーズ」として過去に色々な問題を出題している。下にリンクを張っておくので、ぜひとも楽しんでいただきたい。

クイズ編(金貨問題) → 模範解答 → 追記問題の解答
ミネラルウォーターの謎 → 解答 → 追記問題の解答
亀の子算 → 解答
株取引編 → 解答


ビルゲイツの面接試験―ドラゴン桜編

Dragon1 今年のしめくくりのエントリーは、久しぶりの頭の体操。今回は、mixiの「幾何学おもちゃ」コミュニティーから仕入れた図形問題。先週の「ドラゴン桜」で紹介された問題だそうだ。

  問題はいたってシンプル。平面上に大きさの異なる二つの円と直線が左の図ような関係に配置されているときに、二つの円と直線のいずれにも接する円はいくつかけるか、という問題である。

 「ソフトウェア・エンジニアにとってもっとも大切なことは知識ではなく考える力」と言いつづけている私としては、この手の「中学生にも解ける問題でありながら、しっかりと問題を把握した上で論理的に考えなければ正しい答えにはたどりつけない問題」は大歓迎。「ビルゲイツの面接問題シリーズ」に取り上げる価値のある良問だ。

 ソフトウェアのバグの原因は色々とあるが、その一つが、設計者が想定していなかった状況でプログラムが実行されてしまうこと。しかし、後になって考えてみれば、設計時にちゃんと考えておけば十分に予想できはずだったと後悔することもしばしばである。そんな事故を未然に予防するには、常日頃から与えられた問題をしっかりと把握した上で、筋道立ててどんな可能性があるのかをきちんと洗い出しておく、という習慣を身につけることが一番。この問題は、その意味でもとても良い予行練習だ。

【追記】 模範解答を別エントリーとして書いたので、そちらもご覧ください。


株取引問題、解答編

 先日の頭の体操「株取引問題」。かなり手ごたえのある問題だったようだが、たくさんの正解が寄せられた。何よりも私にとって収穫だったのは、この問題には「ランダムウォーク問題」という名前が付いていることをコメント欄で教わったこと(感謝、感謝)。統計学の学者たちはすでにこの問題の面白さに気が付いて、色々と研究を重ねてきたらしい。

 しかし、このコーナーの趣旨に基づき、あくまで中学生レベルの数学のみを使った模範解答をしめさなければならない。

 この問題を解く時に、まず最初にしっかりと認識すべき点は、ある時点での(株の将来価格の)期待値は、その日の株価だけで決まる、という点である(問題中の「過去の株価の推移からは一切未来のことは予想できない」という言葉に注目)。つまり、期待値Eは、現時点の株価kの関数、E(k)として表すことが出来るのである。

 次に着目すべき点は、株価がkだった次の日は、必ず株価はk-1またはk+1になり、それぞれの確率は1/2であること。つまり、1/2の確率でE(k-1)の状態に、1/2の確率でE(k+1)の状態に推移するのである。すなわち、

 E(k) = (E(k-1) + E(k+1))/2

が成り立つのである。「コインを一枚投げて、表だったら期待値100円の宝くじを、裏だったら期待値200円の宝くじをもらえる」という条件が与えられた時の期待値がその平均の150円になるのと同じ理屈である。この式を少し変更すると。

 E(k+1)-E(k) = E(k)-E(k-1)

となる。つまり、kを1つ動かした時のE(k)の変化は、kの値によらず一定なのである。E(k)をkを横軸にEを縦軸にグラフを書くと、E(k)は傾きが一定の直線状に並ぶことになる。

 ここで、問題の条件にある通り、株価が上限のPになったときにも、下限のQになったときにも売却することが決まっているので、

  E(P)=P、E(Q)=Q

である。E(k)はこの2点を通る直線上にあるので、

  E(k)=k

これに初期値のNを代入すると、

 E(N)=N

となる。これを図にすると、こんな感じになる。

Kabuka

 これならば中学生にも理解してもらえるはずだ(とは、言っても、このブログを読んでいる中学生はまずいないだろうが…)。


ビルゲイツの面接試験―株取引編

060716_114316 先日私が出した「亀の子算」に刺激されてUIEJのメンバーたちが幾つか問題を作ってくれたのだが、そこに一つとても面白いものがあったので、まずはそれを紹介する。

 棒人間君が図のような(リンク先にある図のこと)魔の7段階段の5段目にいます。棒人間君は毎回コインを投げて、表が出れば上に一段登り、裏が出れば下に一段下がります。7段目にたどり着けばクリア、生きて帰れます。逆に1段目まで降りてしまったらゲームオーバー、死にます。さて、この棒人間君が生還できる確率は? もちろんコインの裏表は1/2の確率で等しく出るものとし、階段の途中でやめることはできないものとします。(ビルゲイツの面接試験ネタに便乗より引用)。

 この問題には結構苦労してしまった。「暗算で解けるに違いない」と思った私は、夜になって布団に入ってから解こうとしたのだが、どうしても解けずに寝入ってしまったのだ。そこで翌日にノートとペンを持って昼食に行ってやっと解いたのだ。無限級数を使って解く事も可能なのだが、あえてそれを使わずに中学生程度の数学を使って解くところがミソだ。ぜひとも試していただきたい。

 そして、あまりにこの問題が面白いので、発展問題を作ってみた。

 必ず1日に1ドル上下する株があります(つまり、必ず1ドル上がるか、1ドル下がるかする)。その会社の業績や、過去の株価の推移からは一切未来のことは予想できないと仮定し、ある一日を見たときには、1ドル上がる確率も1ドル下がる確率もまったく同じだと仮定します。ある人が、その会社の株を現在の価格Nドル(たとえば83ドル)で何株か株買い、証券会社の人に、「もしこの会社の株が上昇してPドル(たとえば120ドル)になったらその日に売って。でも、もし逆にQドル(たとえば40ドル)まで下がったらやはりその日に売って。」と指示を出したとします(当然だが、P>N>Q>0)。この条件のまま、売れるまで(つまり、この例で言えば、120ドルに上がるか40ドルに下がるまで)株を保有すると仮定したとき、株の売却金額の期待値は買った時の値段と同じNドル(この例では83ドル)になることを数学的に証明してください。ただし、金利、配当、売買手数料、一ドル未満の株価の変動などは無視して良いこととします。

 亀の子算と同じく、無限級数など使わずに、中学生で教わる程度の数学だけを使って解く事ができる問題ではあるが、かなり難しいので心して取り掛かるように。


子供の塾の教師に学んだ「考える力」を養うことの重要性

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 先日、ここで公開した「亀の子算」。ほとんどの人が正しい答(65匹)にたどり着いたようだが、さまざまな解き方が寄せられたのが興味深い。何通りもの解き方があるからこそ楽しいので、「正しい解き方」など存在しないのだが、そのままではちょっと無責任だと叱られそうなので、参考までに私がどうやって解いたかを書いておく。

 最初にこの問題を出された時、まずは直感的に「この問題には何か仕掛けがあるに違いない。方程式を立ててまじめに解こうとすると苦労するに違いない」と感じた。なぜかはうまく説明できないが、ものすごく強くそう感じ、そして、同時にものすごくワクワクした(これを行動心理学では、「強い相手に出会った時の孫悟空状態」と呼ぶ;-)。そしてすぐに考えたのは、「子亀を1セット(6匹)親亀に乗せた時に、背中に何も乗っていない亀の数はどう変化するのだろう」である。もちろん、その答えは「(6-1)5匹増える」である。そしてすぐに「これって、孫亀を1セット子亀に乗せた時も同じことが言える」と気が付く。ここまで来れば、「この問題って子亀や孫亀の数を正確に求めずに解けるはず」という考えに至るのは時間の問題だ。

 次に、観察された状況(背中に何も乗っていない亀の数が56匹)と、親亀11匹だけの初期状態(その11匹の背中には何も乗っていない)との差、(56-11=)45がちょうど5で割り切れることを確認したところで、この解き方が間違っていないことに自身を深めた。つまり、観察された状態とは、初期状態に子亀もしくは孫亀を9セット追加した状態なのである。後は11+(6*9)を計算して65匹という答が導かれる。

 ちなみに、この問題のことを書いていて、数年前に、当時小学5~6年だった私の上の息子に、塾から出された鶴亀算の解き方を教えた時のことを思い出した。「これは息子に方程式を使った問題の解き方を教える良い機会」と思った私は、xとyを使った鶴亀算の解き方を彼に教えてしまったのだが、それに気が付いた塾の教師に叱られてしまったのである。彼女によると、その時期に方程式を使わずにさまざまな問題を解く訓練をさせることが子供達に「考える力」をつける意味でとても重要なのだという。

 言われてみるとつくづく納得できることなので、本当に反省してしまったことを良く覚えている。確かに方程式は便利ではあるが、あまり早い時期に教えてしまうと、問題の本質を直感的に捉える力などを養う機会を逸してしまう可能性があるのだ。

 例えば鶴亀算に関して言えば、戦後の教育を受けたほとんどの日本人が一度は解いたことがあるとは思うが、その解き方は大まかに分けて、

1.方程式を使わずに解く
2.方程式を自分で導いて解く
3.暗記してある方程式を使って解く

の3種類がある。単純に効率という意味では、3が一番良いのかも知れないが、考える力を必要とするのは1や2である。当然、応用力に関しては、1とか2の方法で問題を解いてきた子供達の方が強い。特に方程式を使わずにさまざまな問題を解く訓練を受けた経験のある子供たちは、問題の本質を直感的に捉える力に優れ、全く未知なる問題に取り組む力に優れている、というのが彼女の考え方だ。

 そんな彼女に叱られてしまった私だが、今では、この考え方は社会人にもそのまま適用できると考えている。日々の仕事を、暗記した方程式を使って解く様に単なる「作業」としてこなすだけの人生を送る人も入れば、常に新しい問題にチャレンジし「考える力」「ものごとの本質を直感的に理解する力」を養い続ける人もいる。どちらの人生を歩むのも自由だが、どう考えても楽しいのは後者の方だと私には思える。


ビルゲイツの面接試験―亀の子算編

060721_000614 一年ほど前に、幾つかの頭の体操問題を「ビルゲイツの面接試験」としてシリーズ化して書いたのだが(参照)、ひさびさにそれにピッタリの問題を仕入れたのでここで公開。題して『亀の子算』。

 基本ルールはいたってシンプルである。

ルール1.亀には、親亀、子亀、孫亀の三種類がある
ルール2.地面に直接立つ(?)ことができるのは親亀だけ
ルール3.子亀は親亀の上にだけ乗ることができる
ルール4.孫亀は子亀の上にだけのることができる
ルール5.親亀の上に載っている子亀の数は0または6
ルール6.子亀の上に載っている孫亀の数は0または6
ルール7.親亀は他の亀の上に乗ることはできない

 この基本ルールを元にすると、いろいろと面白い問題が作れるのである。

【例題1】親亀が11匹います。その上に何匹かの子亀、そしてさらにその上に何匹かの孫亀がいます。上に他の亀を乗せていない亀の数を数えた所、56匹でした。さて、亀は全部で何匹いるでしょう?

 まずは、この例題を解いてみていただきたい。頭の柔らかい人であれば暗算でも解けてしまうかも知れないが、以外と苦労してしまう人もいるのではないかと思う。それで面白いと思ったら、今度は自分で例題を作ってみることをおすすめする。答えが一つしかない問題をきちんと作るのには結構工夫が必要なので、そのプロセスそのものが良い頭の柔軟体操になるはずだ。

【追記】誤解を招かないようにルール7を追加しました。


正解は一つとは限らない―だから面白い

060610_025953  昨日の「ミネラルウォーターの謎、謎解き編」で宿題として出した「線分重なり判定問題」だが、さまざまな答えをいただいた。単なる「生姜焼き定食」でも料理人によってさまざまな調理方法があるのと同じで、こんなに単純な問題にも何通りも解答方法があるところが楽しくてしかたがない。

 実際の社会では、複数の正解が存在するケースが多々あるのに、今の日本の教育システムは、一つの問題には正解が一つしかないという前提で作られている様に思えてしかたがない。もっと、一つの答えが見つかっただけで満足しない探求心の深さだとか、他人がたどり着いた自分と異なる解答にきちんと耳を傾ける謙虚さ、みたいなものを身につける機会を子供達に与えるべきではないかと思う。

 その意味でも、こうやってたくさんの人からそれぞれの個性にあふれた解答を集めるだけで、私自身にとっても、とても良い勉強になる。自分と違うものの見方をする人、私が想定もしていなかった解き方を見つけてしまう人。こんなに楽しいのなら、一度は教職についてみるのも悪くないと思ってしまう今日このごろである。

 さて、ここで宿題の正解の発表だが、集まった解答の中から合格点を与えるに値するパターンを三つ見つけることができたので、それぞれ紹介する。

【正解例1】

 図は省略させていただくが、線分AとBの関係を図に描いてみると6通りある。そのうち4通りが重なるケースで、2通りが重ならないケースである。重なるケースを式にしてみるとかなり複雑になってしまうので、重ならないケースを式にして、それを反転させる。

重ならない条件は、

  A1<B0 or B1<A0

重なる条件は、その反対なので、

  not(A1<B0 or B1<A0)

これを簡略化すると、

  A1>=B0 and B1>=A0

となる。

 これが最も一般的な解き方。ある条件が成立するかどうかをチェックする条件式を作る場合に、成立しない条件の方が簡単であれば、それを求めて反転する、というテクニックは実際にプログラムを書いているとけっこう良く使う。

【正解例2】

 それぞれの線分を正弦として含む円を書く。その二つの円が接するか交わっていれば、二つの線分は重なる。線分A、線分Bの中心はそれぞれ、

  (A0+A1)/2、(B0+B1)/2

である。それぞれの半径は、

  (A1-A0)/2、(B1-B0)/2

となるので、その二つの円が接するか交わる条件は、二つの円の中心の距離がそれぞれの半径の合計と同じか小さいときである。すなわち、

  |(A0+A1)/2 - (B0+B1)/2)| <= (A1-A0)/2 + (B1-B0)/2

となる(|...|は絶対値の意味)。各項を2倍しても大小関係に変化はないので、

  |(A0+A1) - (B0+B1)| <= (A1-A0) + (B1-B0)

となる。

 二人ほどこの解法で答えを出してきたが、こんな答えを出してくる人は、一般的な解法を知った上で、「常識的な方法だけに囚われず、あえて他人とは違う方法も考えてみる」ことを習慣にしているタイプではないかと思う。とても良い習慣だ。

【正解例3】

 図は省略するが、A0→B1をベクトルV、A1->B0をベクトルWとした時に、VとWの向きが同じであれば重なっていない、異なっていれば重なっている、どちらかが0であれば接していることに注目する。

 直線上の二つのベクトルの方向が一致しているかどうかは、内積の正負で判別できるので、ベクトルの方向が異なる(どちらか一方、もしくは両方が0である場合も含む)条件は、

 (A0-B1)(A1-B0)<=0

で表せ、すなわちこれが二つの線分が少なくとも一点で重なる条件となる。

 この解法を提示してきた人が二人いるが、ベクトルの概念を持ち出したところが鋭い。この二つのベクトルの方向が一致するかどうかで、二つの線分が重なっているかどうかを判断できるというところに気づいた点は高く評価できる。ただし、それが誰にでも直感的に分かりやすいか、というと必ずしもそうではない点がやや難点ではある。

 ちなみに、この様に三つの解法を用いて、

  A1>=B0 and B1>=A0 … *1
  |(A0+A1) - (B0+B1)| <= (A1-A0) + (B1-B0) … *2
  (A0-B1)(A1-B0)<=0  … *3

と三つの異なる答が導かれたわけだが、ここで「解法が複数あることは分かるが、どうして同じ問題に三つの異なる答があるのだろう?」と疑問を持たれる方もいると思う。もっともである。

 実は、この三つの式、全く同じ条件を別の形で表現しただけのものなのである。この問題をきちんと理解していれば、*1を*3に、*2を*3に変換することはそれほど難しくない。これもまた、中学生卒業レベルの数学で可能なので、腕に自身のある人はぜひともチャレンジして欲しい。 


ミネラルウォーターの謎、謎解き編

Tsu  昨日のエントリー「ミネラルウォーターの謎」、答えは「すぐに私が飲んでいる水だと分かるように色をつけた」である。

 ヒントは問題の「私の家では、『ミネラルウォーターをたくさん飲む』という健康法が流行っている」という部分にある。つまり、私以外にも同じようにミネラルウォーターを飲んでいる人たち(妻と子供)がいるのである。

 『ミネラルウォーターをたくさん飲む』とはいっても、一度にはたくさん飲めないので、家族全員がそれぞれペットボトルを抱えてそこから直接ちびちびと飲むことになる。するとだらしない私とか息子とかは飲みかけのペットボトルをパソコンの横だとか、テレビの前だとかに置いたままどこかへ行ってしまうことがしょっちゅうあるのだ。そんなことをしていると、置いてあるペットボトルを見ても自分のものかどうかすぐに分からなくなってしまい、誰かのを飲んでしまったり、すでに飲みかけのボトルがあるのにもう一本空けてしまったりするのだ。

 ペットボトルのラベルに名前を書いておくという方法もあるが、書きにくいし、分かりにくい。それならいっそのこと「色のつく何か」を混ぜておけばよかろうと白羽の矢を立てたのが、一度だけゼリーを作る時に使ったまま何年間も放置されていたペパーミント(リキュール酒)である。

 ペパーミントの色はとても強いので、数滴まぜただけで十分に色がつく。こうすることにより、「緑色の水の入ったペットボトルは私の」ということが私自身にも家族にも一目で分かるようになったのである。「ミネラルウォーターに混ぜて飲むのなら摂取するのが目的であるはず」という常識に囚われている限りこの答えにはたどりつけない。

そこで、またまたもう一問、今度はプログラマーになりたい人向きの頭の柔軟体操。

【問題】ある直線上に線分AとBがあります。線分Aの両端の座標はそれぞれA0とA1(ただしA0<A1)、線分Bの端の座標はそれぞれB0とB1(ただしB0<B1)とします。そのとき、線分Aと線分Bが一部でも重なる(一点だけで接している場合も重なっているとみなす)ための条件を出来るだけ簡単な式で書いてください。式は純粋な数式でも良いし、プログラム言語の一つを使ってもOK。

 「式を書け」と言われてもとまどってしまう人もいるだろうから、簡単な例題とその解答例を書いておく。

【簡単な例題】ある直線上に線分Aと点Pがあります。線分Aの両端の座標はそれぞれA0とA1(ただしA0<A1)、点Pの座標はP0とします。そのとき、点Pが線分Aの上にある(PがAのどちらかの端点にある場合も含む)ための条件を出来るだけ簡単な式で書いてください。
【解答例】
例1.(A0<=P0 && P0<=A1)
  例2.(A0<=P0 and P0<=A1)
    例3.P0はA0以上でA1以下

 大切なことは「出来るだけ簡単な式で書く」という部分。妙に複雑になり始めたら「何かおかしい」と思った方が良いかも知れない。

【追記】 この手のエントリーが増えてきたので、「頭の柔軟体操」として独立したカテゴリーに。「ビルゲイツの面接試験シリーズ」4部作もこちらに移した。一気に読む場合は、下から上に読まないと、先に解答を見ることになってしまうので注意。


ミネラルウォーターの謎

060603_104648  昨日のエントリー「できるかぎりエレガントな解法を見つけて『うっかりミス』をなくす」、さまざまな解答や反響をいただいたが、大切なことは「いかに最もシンプルな答えを見つけるか」という姿勢であり努力である。

 その意味で言えば、昨日の例題には、「これが正解」などというものは存在せず、それぞれの人が自分にとって最もシンプルでミスが少ない解法を見つけることができればそれで良いのである。

 しかし、そうは言っても、せっかくのいただいた解答に何もコメントしないのも申し訳ないので、簡単にまとめてみる。

・一番乗りはバリケンさんのHaskell日記の解答。私が想定していた通りのすっきりとした模範解答。
諸悪の根源は物理的のエントリーの「対象性」に関するコメントは出題者の意図を読んだするどい指摘。
・レビログさんのエントリーにある「1日に11回交差するから11で割ってという教科書的な答えで本当にミスか少なくできるの?」という疑問。こんな風に模範解答を出した上で、「それでいいの?」とチャレンジする姿勢が評価できる。新聞や教科書に書いてあることが全部正しいと思ったら大間違いだ。
・私が個人的に一番好きな解答は、平々毎日さんのエントリーの「なぜ答えが12/11になるのか」の説明。この方が、「短針が一周するあいだに11回出会うから」という模範解答よりも分かりやすいし、間違えにくい。
・コメント欄にある「つ」さんの「正六面体に固定せずに考えて解いてからX=6、Y=6を入れたら」という指摘は解答ではないが、姿勢としては花マル。私が数学の教師だったら、こんな生徒とは放課後にじっくりと議論を交わしたい。

 さて、頭が柔らかくなったところでもう一問。私の家では、「ミネラルウォーターをたくさん飲む」という健康法が流行っているが、写真を見て分かる通り、私はボトルの中にあるものをまぜて飲んでいる。さて、私は何のためにまぜものをしているのだろう?

 答えはトラックバック、コメント、ブクマコメントなどで寄せられるとは思うが、ぜひとも他の人の答えを見る前に、自分でじっくりと考えて欲しい。頭を十分に柔らかくできれば分かるはずだ。