記念すべき本ブログ初のエントリーで紹介するのは、元Apple社員のBuzz Andersenさんの「Three Weeks with the iPhone」。iPhoneを三週間使ったAndersenさんの感想は、優れた点・欠点の両方を良くカバーしており、iPhoneに興味にある方はぜひとも全文を読んでいただきたい。
今日の英語うんちくはの対象は、最初の段落のこの文章。
Apple may have a reputation for being a bit of a cult, but in my experience, most insiders are only too willing to call a spade a spade when the company's products fall short, and it's nice to finally be able to do so publicly again without worrying about violating the PR code.
私なりに意訳するとこうなる。
Appleは「Apple教」の狂信者の集まりとの評判もあるが、私が知っている限り内部にいる人たちはちゃんと「だめなものはだめ」とはっきりものを言う。会社のPR規則に違反せずに公に発言できるようになったことはうれしいばかりだ。
少し工夫したのが、"cult"の訳。"cult"とは、オーム心理教に代表されるような異常なまでに信仰心が高い信者の集まる振興宗教のことを指すが、それを一言で「Appleはすこし新興宗教がかっているとの評判があるが」と書いても日本語としてすっきりしない。そこで、筆者が言いたいこと(つまり、「自社製品の悪口は誰も言わないんじゃないか」と誤解されている点)が明確になるように「『Apple教』の狂信者の集まりとの評判もあるが」と意訳した。
ちなみに、筆者はこの評判に関して、"Apple may have a reputation for being..."と"may"をつけることによって断定的な表現を避けている。これを直訳すると、「Appleは…との評判があるかも知れないが」となるが、こんな文章はいかにも翻訳的である。そこで、「Appleは…との評判もあるが」とすることにより、"may"の絶妙なニュアンスを日本語の「も」で表現してみた。
イディオムとして注目すべきなのは、"call a spade a spade"という表現。「本心をかくさず、遠慮せずにはっきりとものを言う」意味だ。日本語では、「白いものを白と言い、黒いものを黒と言う」という表現があるが、それに近い。この部分を直訳すると、「自社製品がだめなときはそれをはっきりと指摘する」となるが、そのままだと妙に堅苦しいので「ちゃんと『だめなものはだめ』とはっきりものを言う」と意訳してみた。