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鳥インフルエンザ

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 「感染症とたたかう」 岡田晴恵・田代真人共著 岩波新書 

 なまじっかなホラー小説よりずっと背筋が寒くなる本であった。ちょうど読んでいる途中で、山口県で鳥インフルエンザが発生したのも、効果を倍増させた。少し抜粋してみよう、

 最近、中国南部においてトリ由来のインフルエンザウィウルスによるヒトへの感染事例が増加している。…感染症の専門家の間では、大流行の可能性が高まっている兆候であるとの緊張感が広まっている。(56ページ)
  …
 では、トリにおける強毒型と弱毒型ウィルスのちがいは何に起因するのであろうか。…したがって、弱毒型ウィルスは呼吸器や消化管の局所感染にとどまることとなる。それに対して強毒型ウィルスの…このため、強毒型ウィルスはすべての臓器で感染性のあるウィルスが生産され、その結果、全身感染を起こすことができるのである。(59ページ)
  …
 今、スペインかぜと同程度の伝播力と病原性をもつ新型インフルエンザが出現した場合には、地球全体で、同時かつ短期間に集中した大流行が起こり、全人口の25~40%(15~24億人)が感染・発病し、6000万人以上が死亡すると推定される。さらに、先に述べたトリ強毒型ウィルスの場合には致死率が30%を超えることから、最悪のシナリオとして、地球人口の10%近く(5~6億人)が死亡するとの試算もある。(64ページ)

 この本の著者(岡田晴恵氏と田代真人氏)は、それぞれ厚生省国立感染研究所、国立感染症研究所の研究者であるのだが、そんな立場の人たちが、こんなすごいことを淡々と書いているのである。この脅威は、テロの脅威なんかの比じゃない。そんな人類の存続にかかわるようなことを、インフルエンザの研究者たちや、WHOの人たちが背負っているとは、本当に驚きである。

 あまり素人が一般大衆の不安をあおることをこのブログに書いても誤解をまねくだけなので、このくらいにしておこう。もし少しでも興味のある人がいたら、この本を読むことをぜひお勧めする。

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