BMW 645 のまゆ毛
2004.04.12
最近、愛車(BMW 323Ci、1999年モデル)の調子が良くない。オイル漏れがあったし、タイヤもパンクしたし、ハンドルの皮カバーを止めている糸がほつれ始めた。それも、偶然にも製造元保障が切れてわずか3・4ヶ月後に待っていましたとばかりに集中して始まった。そろそろ買い替え時かも知れない。
ちょうどそう思っていると、先週、うちの社員の一人が、「サトシにぴったりの車が出た。買うしかない!」と言って、BMWのディーラーに私を無理やり連れて行った。BMW 645 である。出たばかりで、とても Hot らしい(Hot = 「人気があって、手に入れるのが難しいほど良く売れている」の意)。幸いにも、ちょうどその時にはまだ入荷しておらず、無理やり買わされずに済んだ。
そろそろ入荷するはずだと聞いていたので、今日はこっそりと一人で見に行った。誰かと一緒では、自分のペースで買い物が出来ない(ちなみに、英語では、"I can't do ~ if somebody is looking over my shoulder" と言う。口語では良く使うので、覚えておくと良い表現である。これを聞くたびに、右の耳のあたりがゾッとする)。セールスマンは、私が 645 と言ったとたん、目を輝かせた。まるでネギをしょったカモの気分だ。既に買い手が付いて引き取るばかりの1台と、まだ展示場に飾ってある一台を見せながら、丁寧に説明してくれる。このモデルは、まだ発売したばかりで、このディーラーにもまだその2台しか入荷しておらず、「偶然にも」まだ1台残っているの所にちょうど来た私は、とても幸運だそうである。たぶん、あまりにも幸運で、私の背中にはネギが輝いていたことだろう。
確かに、今の車よりは、ふた回り大きいし、馬力もスピードも格段に優れている。後ろの座席もたっぷりしており、家族4人でゆったりとドライブが出来そうだ。
しかし、一つだけ大きな欠点がある。正面から見た顔つきが良くない(写真参照)。323Ci の属する「3シリーズ」とは違い、645の属する「6シリーズ」は、ヘッドライトの上に横に「まゆげ」のような細長いライトが付いており、それがこの車の顔を妙に攻撃的な、「ファインディング・ニモ」に出てくるサメのような顔にしているのだ。毎日付き合う車の顔が気に入らなくては、どうしようもない。
馬力がどうの、インテリジェント・ステアリングがどうのと、一生懸命にセールストークを繰り返し、懸命に試乗を進めるセールスマンに、「いい車だけど、んー…顔が気に食わない」と言う。「まゆげ」のことを言うと、「高速で前の車をあおる時に、このライトだけ付けると効果があるんです。すごく威圧感があって」と、まったく逆効果なことを言うセールスマン。
「ということで、645は買うのはやめた。でも、新しい車は欲しいから、3シリーズの新しいモデルを見せて。」と言う。この時点で、主導権は私に移る。「これ試乗させて」と店頭にある一台を指定して試乗すると、さすがに運転し心地は今の車とまったく同じだ。ただ5年もたっただけのことはあり、各所に細かな改良が加えられている。面白みは無いけど、ほとんど同じ車を買うことになりそうだ(新しいモデルは、325Ci)。ちなみに、今履いている靴は、まったく同じものを7-8足続けて買っているが、それと同じだ。
試乗の後、一気に売り込みにかかるセールスマンに(試乗した客には帰る前に売りつけるのがセールスの鉄則)、今の車の引き取り査定だけしてもらい、「後はメールで値段交渉しよう」と言って店を出る。私は結構扱いにくい客かもしれない…
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