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恐竜絶滅の謎の答えは経堂にあり

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 恐竜の絶滅した理由に関しては、「巨大隕石説」だとか、「氷河期説」などがあげられているが、そういった説は、単に表面上の「誘引」を議論しているのみであり、本当の「原因」に関しての議論が不足している。私なりの説を前々から頭の中で組み立てていたのだが、ちょうど経堂でラーメンを食べているときに思い出したので、この場を借りて述べてみようと思う。

 ちなみに、「誘引」と「原因」の違いについて、はっきりと認識している人は非常に少ないと思うので、ここで解説しておこう。中学か高校の科学の時間に一度は教わるのだが、めったに普段の会話で使われることが無いので、ほとんどの人は期末試験の2週間後にはすっかりと忘れてしまう。覚えているのは、大学で勉強し直した専門家と、私のような(教育テレビの通信高校講座を見るのが楽しくてしょうがなかった子供時代を過ごした)「科学バカ」のみである。

 風邪は、各種のウィルスやバイ菌が呼吸器上部で繁殖することにより起こる。その場合、ウィルス・バイ菌が風邪の「原因」である言う。それに対して、「外から帰ってきたときにうがいをしなかったから」、「風呂上りに髪を良く乾かさずにいつまでも起きていたので」、というような(本当の「原因」ではないものの)風邪をひきおこす要因となったものを(科学用語では)「誘引」と呼ぶ。ただし、日常会話では、どちらも「原因」と呼ぶので、ますますこの科学用語を覚えにくいものとしている。

 恐竜の絶滅の本当の原因は、恐竜の特徴である巨大な体ゆえの「進化のスピードの低下」にある。地球上の生物は、「進化」を繰り返すことにより、環境の変化に対応したり、他の生物との競合関係に打ち勝ってきた。進化は、親から子に遺伝子が受け継がれる過程での遺伝子の(突然変異などによる)微妙な変化により引き起こされるため、進化のスピードはその生物の世代交代のスピードに比例する。つまり、20日で成体となり子供を生み始めるハツカネズミの方が、成体になるのに20年かかる人間よりも進化のスピードは365倍速いのである。

 ただし、この「進化のスピード」は、環境に大きな変化が無い時期には大した差となっては現れない。そんな時代には、「進化のスピード」よりも、大きな体ゆえの「強さ」だとか「体積に対する表面積の小ささ」などが利点となり、成体になるのに時間がかかる巨大生物が繁栄することができるのである。恐竜の繁栄の時代はまさにこんな時代であった。今の人間の繁栄も、ここ200万年ほど続いている比較的安定した環境にささえられている。

 しかし、地球の平均気温、太陽の日照時間、などの環境が何らかの原因で(例えば、地上に落ちた巨大隕石の影響で)急激に変化する時期には、「進化のスピード」の遅い巨大生物は環境の変化について行けず絶滅し、世代交代によってすばやい進化により環境に適応できる「進化のスピード」の速い昆虫や小動物などの小さな生物のみが生き残るのである。(ちなみに、実は鳥類が恐竜の子孫であることが最近の研究で明らかになってきたが、これも、小型の恐竜が環境の変化に対応してすばやく進化してできた結果と考えられる。)

 私の家族の住む経堂には、「ラーメン激戦区」の名にふさわしく、幾つものラーメン店が激しい戦いを日夜繰り広げている。つい最近も「穂の国」がオープンしたばかりだ。さすがに激戦区だけあって、どのラーメン屋もとてもレベルが高い。それを見ていると、まさにラーメン屋は小動物だと思う。

 経堂のラーメン屋のレベルがこれほど高く、景気が悪くなっても一向に減らないのは、ひとえに「進化のスピード」のおかげである。景気の後退とともに消費者の財布の紐が固くなっても、ニーズに応じた(つまり環境に適応した)「安いけれどうまい」ラーメン屋が数多く生まれ、我々の舌を楽しませてくれる。バブルの時代に繁盛した赤坂や麻布の料亭やフレンチ・レストランが、この環境の変化に適応できずグッと数が減ってしまったのとは大違いだ。


E3

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 今まで、コムデックス、(盛んなころの)ビジネス・ショー、CTIA など色々なイベントに行ったことはあったが、E3は始めてである。会場そのものはそれほど大きくはないが、とにかく各ブースの飾り付けが派手で、人が多い。こんな状況をアメリカ人は、"E3 is a zoo" (直訳:E3は動物園だ)と表現する。たぶん、あまり他に娯楽がなく、動物園に行くと「人が多すぎて動物がろくに見れない」ころに出来たイディオムだろう。"E3 is a Disney Land" と言った方が、現代人の感覚にはマッチしていると思う。

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 E3の名物と言えば、ゲームのキャラクターのコスチュームを着て各社のゲームコンテンツを宣伝する booth babe たち。昔私が日本にいたときは、こういうイベントで雇われる女性のことを「コンパニオン・ガール」と呼んでいたが、その呼び名も温泉旅館の宴会に来てくれるお酌役の女性に使われるようになり廃れてしまった。今は日本語では何と呼ぶのだろう。

 ちなみに、Sony の新しい携帯ゲーム端末PSPは、どちらかというとビデオや音楽を楽しむための総合エンターテイメント携帯端末として位置づけられており、任天堂の新しい端末Nintendo DSの「ゲーム一筋」路線とは一線を引いているように思える。これを見る限り、今のゲームボーイ・アドバンストのマーケットはやはり任天堂自身が継承し、ソニーがその少し上の世代に新しい市場を切り開く、というシナリオになると予想できる。こうなると、ソニーの Clie が、コクーンと同じ運命をたどるのは時間の問題に思える。


ロサンジェルス出張

040513_035257 今週は、ゲーム業界で世界最大のイベント、E3(Electronic Entertainment Expo)のためにLA(ロス・アンジェルス)に来ている。コンファレンスは水曜日からだが、スクエニ(スクウェア・エニックス)のプレス・コンファレンスに参加するために月曜日にLAに入る。

 米国で行っているプレス・コンファレンスにもかかわらず、日本の記者の数の方が圧倒的に多いのに妙に違和感を感じる。イチローや佐々木の出るシアトル・マリナーズの試合に、日本の記者が圧倒的に多いのと同じ感覚だ。

 スクエニによるプレス・コンファレンスはとても楽しませてもらった。FF-XII、Kingdom Hearts II、Final Fantasy Advanced Children などの新ゲームタイトルのラインナップの充実度は圧巻。それに加えて「鋼の錬金術師」の米国でのアニメ放映、FF-VII のその後のストーリーの映画化、Ever Quest II の日本でのコミュニティー運営など、従来のコンソール向けゲームから一歩踏み出したビジネスに着実に種をまいている所は注目に値する。

 火曜日は、スクエニのモバイル開発の人たちと今後の商品企画に関して終日ミーティング。午前中はホテルのスイート・ルームでミーティングを行ったが、お昼は UCLA の学食に食べに行こうということになり、タクシー3台で移動。

 午後は、そのまま UCLA のキャンパス内のピクニックテーブルを借りてミーティングを続行。とても充実した時間を過ごす。ただし、帰りのタクシーを拾うのに一苦労してしまい、2時間ばかり時間を無駄にする。UCLA近辺は流しのタクシーがいないし、無線タクシーが全くあてにならない。15分で来るはずのタクシーが30分待っても来ないので、催促すると、「後10分」と言う。その後15分待っても来ないので、再度催促すると、「後5分」と言う。多分、顧客対応マニュアルに、一度目の催促の時は「後10分」、二度目の催促の時には「後5分」と返事をするように書いてあるのだろう。結局読んだタクシーは来ず、別のタクシーでなんとか帰る。

 続いてサンタモニカのLa Serenata de Garibaldi (1416 Fourth St.、(310) 656-7017)というメキシカン・レストランで夕食。選んだメイン・ディッシュは、「Giant Shrimp のガーリック風味」。私は一般にメキシコ料理は嫌いなのだが、ここは珍しくとてもおいしい。ひょっとしたら、なにもかも豆とチーズと一緒くたに一皿に盛って同じような味付けにしてしまう、シアトル近辺のメキシカン・レストランが全然駄目なだけなのかもしれない。

 続いて、サンタモニカの海岸まで歩き夜風にあたっている。アメリカ人3人、日本人9人の団体で夜道を歩くのは結構恥ずかしい。少しして、「昼間の話の続きをしよう」ということになり、ホテルのバーに移動し、ミーティングの続き。文字通り、「終日ミーティング」になってしまった。


ファイナルファンタジー XI

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 ブロードバンド対応のプレステの上で私が走らせるソフトは、もちろん、FF-XI(ファイナルファンタジー XI)である。前々から、インスパイアの成毛さんたちに薦められてはいたのだが、思いっきりハマってしまいそうな予感がしてあえて避けていたのである。仕事は忙しいし、ゴルフの腕も磨きたい。健康のためにスポーツジムにも通いたいし、このブログも書き続けたい。単身赴任中とは言え、三度の飯はきちっと食べたい。ここでネットゲームにハマってしまうと、一気に他のことが何もできない「廃人化」してしまうのではないかと心配だったのである。今までも、何回もゲームにハマってしまったことはあるが、いずれもオンライン・ゲームではなかったので、ある程度遊びつくした段階で「卒業」することができた。終わりの無いオンライン・ゲームにハマってしまうと、どうなるのかが不安だったのである。

 しかし、今回のスクエニによる買収により、今後のモバイル・オンライン戦略を見ていかなければいけない立場になった以上、「FF-XI はしたことはありません」では通じない。ここは、恐れずに一度はしっかりと経験して見ようという覚悟である。仕事だと割り切って始めれば、それほどひどくハマることは無かろうという、はかない期待もある。

 どうなるか楽しみである。仕事に役に立つものを見つけられるか、はたまた、「廃人」になってしまい、このブログもストップしてしまうか。ワクワク、ドキドキ、…


プレステ+BBキット

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 仕事の都合上オンラインゲームを理解する必要が出来たため(ただしこれは表向きの理由で、実は私が遊びたいだけと誤解している人は沢山いる)、急遽プレーステーションとBBキット(ブロードバンド・キット)を購入した。数年前から、「ファミリールーム(日本語では「茶の間」)を制するのはパソコンか、ゲームマシンか、セットトップボックスか、それともネットワーク家電か?」というテーマで、業界では大騒ぎをしてきたが、やっとその本当の戦いが、ハードウェア環境、ブロードバンドの普及、コンテンツの充実ととともに始まったのである。

 現時点では、ソニーのプレステ、マイクロソフトのXBox が、ブロードバンド・ゲーム端末として真っ向から戦っているが、家電メーカーがこぞって進化させているハードディスク・レコーダーがしっかりとブロードバンド対応をしてくると面白くなってくる。ソニーが区多良木さんのリーダーシップの下で、どのくらいのスピードで社内の家電ビジネスに変革を起こせるかが大きな鍵を握っている。「すご録」の成功は短期的には良かったのかも知れないが、戦略的にはPSX の一人勝ちに持って行きたかったはずである。

 がんばってほしいのがブロードバンド戦略を打ち出せずにいる任天堂と、いつまでもニッチにとどまっているアップルである。ピピン(数年前にアップルとバンダイが共同開発したマックベースのネットワーク・ゲーム端末)の失敗で懲りてしまっているのかも知れないが、アップルは絶対にこの戦いに参入すべきである。ゲームやブラウザーを意識せず、今のデジカメ・iPod路線をきちっと踏襲し、マルチメディア・コンテンツのネットワーク配信と、ハードディスク・レコーダーの機能を持った iMac を作れば、プレステ、Xbox に対抗する第三勢力になれる。パナソニックあたりがアップルへの資本注入と同時に iMac ベースのハードディスク・レコーダーを出してくれるとすごく面白くなる。

 伏兵はヤフーBBである。ADSLから、IP電話への横展開はアナログ電話がそのまま繋げるのADSLモデムという画期的な戦略で大成功を収めたが、テレビ・ビデオのネット配信ビジネスへの横展開はまだまだである。その際、IP電話戦略と同じく、TVに繋ぐだけで簡単に動くブロードバンド・セットトップボックスが鍵を握るのは明白である。先日、第一世代のセットトップ・ボックスのデモを見せてもらったが、全然駄目である。安っぽいユーザーインターフェイスは、プレステやXbox よりは、任天堂の初期の8ビットファミコンに近い。ゲーム機とビジネスモデルが違うために端末のコストを抑えなければならないとのことだが、これでは売れない。日本の放送・通信ビジネスに大変革をもたらすべく立ち上がったヤフーBBなのだから、そこは孫さんのウルトラCでなんとかしてほしい。レンタル・ビデオビジネスまでも視野に入れれば、ゲーム端末に匹敵する端末を作ってもビジネスが成り立ちそうな気がするのだが…


エコノミー症候群

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 時差ぼけ解消のために、東回りの便(例えば東京→シアトル便)では出来るだけ寝るようにしているのだが、飛行機の椅子で寝ていると、必ずといっていいほどどこか痺れてしまう。昔はそれほど気にしていなかったのだが、少し前の「エコノミー症候群」さわぎいらい、痺れた箇所は良くもみほぐしたり、意識的に姿勢を換えて、痺れを防止するようにしている。

 「エコノミー症候群」とは、飛行機の椅子に長時間座っていることにより血流が滞り、その結果出来た血液の塊が脳などの血管に流れて行き血栓を起こす、といった症例を一まとめにしたもの(だから症候群)である。ビジネス・クラスの広い椅子より、エコノミー・クラスの狭い椅子で起こりやすいという見解から、そう呼ばれている。医学用語では、DVT(deep vein thrombosis)と呼ぶ。数年前から飛行機業界で意識するようになり、その防止のために「機内エアロビ」(といっても座ったままする簡単なもの)のビデオを流したり、水分を沢山飲むよう進めたりし始めた。それまでは因果関係があるとは認識されていなかったため、単に飛行機に乗った後にたまたま起こった血栓として見逃されてきた。ただし、今でも因果関係が科学的に証明されたわけではない。

 しかし、考えてみると日本人が昔から何百年もしてきた、「正座で何時間も座る」だとか、「座禅を組む」という行動は、同じような症状を引き起こしそうなものだ。正座で30分も座れば確実に足は痺れる。つまりその段階から血流は滞っているわけで、それが原因で血液の塊が出来ても良いように思う。ひょっとしたら、何十年も飛行機業界が見逃してきたように、何百年も日本人は、正座や座禅の危険性を見逃してきたのではないだろうか。

 出来れば、どこかの機関で統計をきちんと取り、長時間の正座や座禅の後に脳血栓を起こす可能性が統計上意味を持つぐらい高くなるのかどうか調べてほしいものである。その結果がポジティブであった場合には、「正座・座禅症候群」と呼ばれ、週刊誌が、「正座が危ない。あなたは自分の子供たちを危険にさらしていないか?」、「全国禅寺協会が正式コメント。『座禅と脳血栓の因果関係は科学的には証明されていない』」、「脳血栓で夫を失った妻が禅福寺を相手に訴訟。『夫は前の日までとても元気だった』」、などと騒ぎ立てるのだろうか…