エコノミー症候群
2004.05.07
時差ぼけ解消のために、東回りの便(例えば東京→シアトル便)では出来るだけ寝るようにしているのだが、飛行機の椅子で寝ていると、必ずといっていいほどどこか痺れてしまう。昔はそれほど気にしていなかったのだが、少し前の「エコノミー症候群」さわぎいらい、痺れた箇所は良くもみほぐしたり、意識的に姿勢を換えて、痺れを防止するようにしている。
「エコノミー症候群」とは、飛行機の椅子に長時間座っていることにより血流が滞り、その結果出来た血液の塊が脳などの血管に流れて行き血栓を起こす、といった症例を一まとめにしたもの(だから症候群)である。ビジネス・クラスの広い椅子より、エコノミー・クラスの狭い椅子で起こりやすいという見解から、そう呼ばれている。医学用語では、DVT(deep vein thrombosis)と呼ぶ。数年前から飛行機業界で意識するようになり、その防止のために「機内エアロビ」(といっても座ったままする簡単なもの)のビデオを流したり、水分を沢山飲むよう進めたりし始めた。それまでは因果関係があるとは認識されていなかったため、単に飛行機に乗った後にたまたま起こった血栓として見逃されてきた。ただし、今でも因果関係が科学的に証明されたわけではない。
しかし、考えてみると日本人が昔から何百年もしてきた、「正座で何時間も座る」だとか、「座禅を組む」という行動は、同じような症状を引き起こしそうなものだ。正座で30分も座れば確実に足は痺れる。つまりその段階から血流は滞っているわけで、それが原因で血液の塊が出来ても良いように思う。ひょっとしたら、何十年も飛行機業界が見逃してきたように、何百年も日本人は、正座や座禅の危険性を見逃してきたのではないだろうか。
出来れば、どこかの機関で統計をきちんと取り、長時間の正座や座禅の後に脳血栓を起こす可能性が統計上意味を持つぐらい高くなるのかどうか調べてほしいものである。その結果がポジティブであった場合には、「正座・座禅症候群」と呼ばれ、週刊誌が、「正座が危ない。あなたは自分の子供たちを危険にさらしていないか?」、「全国禅寺協会が正式コメント。『座禅と脳血栓の因果関係は科学的には証明されていない』」、「脳血栓で夫を失った妻が禅福寺を相手に訴訟。『夫は前の日までとても元気だった』」、などと騒ぎ立てるのだろうか…
Comments