恐竜絶滅の謎の答えは経堂にあり
2004.05.14
恐竜の絶滅した理由に関しては、「巨大隕石説」だとか、「氷河期説」などがあげられているが、そういった説は、単に表面上の「誘引」を議論しているのみであり、本当の「原因」に関しての議論が不足している。私なりの説を前々から頭の中で組み立てていたのだが、ちょうど経堂でラーメンを食べているときに思い出したので、この場を借りて述べてみようと思う。
ちなみに、「誘引」と「原因」の違いについて、はっきりと認識している人は非常に少ないと思うので、ここで解説しておこう。中学か高校の科学の時間に一度は教わるのだが、めったに普段の会話で使われることが無いので、ほとんどの人は期末試験の2週間後にはすっかりと忘れてしまう。覚えているのは、大学で勉強し直した専門家と、私のような(教育テレビの通信高校講座を見るのが楽しくてしょうがなかった子供時代を過ごした)「科学バカ」のみである。
風邪は、各種のウィルスやバイ菌が呼吸器上部で繁殖することにより起こる。その場合、ウィルス・バイ菌が風邪の「原因」である言う。それに対して、「外から帰ってきたときにうがいをしなかったから」、「風呂上りに髪を良く乾かさずにいつまでも起きていたので」、というような(本当の「原因」ではないものの)風邪をひきおこす要因となったものを(科学用語では)「誘引」と呼ぶ。ただし、日常会話では、どちらも「原因」と呼ぶので、ますますこの科学用語を覚えにくいものとしている。
恐竜の絶滅の本当の原因は、恐竜の特徴である巨大な体ゆえの「進化のスピードの低下」にある。地球上の生物は、「進化」を繰り返すことにより、環境の変化に対応したり、他の生物との競合関係に打ち勝ってきた。進化は、親から子に遺伝子が受け継がれる過程での遺伝子の(突然変異などによる)微妙な変化により引き起こされるため、進化のスピードはその生物の世代交代のスピードに比例する。つまり、20日で成体となり子供を生み始めるハツカネズミの方が、成体になるのに20年かかる人間よりも進化のスピードは365倍速いのである。
ただし、この「進化のスピード」は、環境に大きな変化が無い時期には大した差となっては現れない。そんな時代には、「進化のスピード」よりも、大きな体ゆえの「強さ」だとか「体積に対する表面積の小ささ」などが利点となり、成体になるのに時間がかかる巨大生物が繁栄することができるのである。恐竜の繁栄の時代はまさにこんな時代であった。今の人間の繁栄も、ここ200万年ほど続いている比較的安定した環境にささえられている。
しかし、地球の平均気温、太陽の日照時間、などの環境が何らかの原因で(例えば、地上に落ちた巨大隕石の影響で)急激に変化する時期には、「進化のスピード」の遅い巨大生物は環境の変化について行けず絶滅し、世代交代によってすばやい進化により環境に適応できる「進化のスピード」の速い昆虫や小動物などの小さな生物のみが生き残るのである。(ちなみに、実は鳥類が恐竜の子孫であることが最近の研究で明らかになってきたが、これも、小型の恐竜が環境の変化に対応してすばやく進化してできた結果と考えられる。)
私の家族の住む経堂には、「ラーメン激戦区」の名にふさわしく、幾つものラーメン店が激しい戦いを日夜繰り広げている。つい最近も「穂の国」がオープンしたばかりだ。さすがに激戦区だけあって、どのラーメン屋もとてもレベルが高い。それを見ていると、まさにラーメン屋は小動物だと思う。
経堂のラーメン屋のレベルがこれほど高く、景気が悪くなっても一向に減らないのは、ひとえに「進化のスピード」のおかげである。景気の後退とともに消費者の財布の紐が固くなっても、ニーズに応じた(つまり環境に適応した)「安いけれどうまい」ラーメン屋が数多く生まれ、我々の舌を楽しませてくれる。バブルの時代に繁盛した赤坂や麻布の料亭やフレンチ・レストランが、この環境の変化に適応できずグッと数が減ってしまったのとは大違いだ。
私はてっきり、この話の結論が、もっと一般的な「ベンチャー企業と巨大企業の対比」に来るのかと思って読んでいました。
でも日本の外食産業ほど、競争が激しい業界もないですし、その中でもラーメン屋はその代表格ですから、読むと納得ですね。
Posted by: nob seki | 2004.05.25 at 19:27