アップル vs. リアル
2004.08.05
アップルの iTune は、またたく間に、インターネットを利用した「オンライン音楽配信サービス」の代名詞になった。スティーブ・ジョブスの巧みなマーケティング戦略、アップルらしいセンスの良さ、そして、iPod という組み合わせが功をそうして、ソニーやマイクロソフトが喉から手が出るほど欲しかったオンライン・サービスビジネスを成功させてしまったのである。
ソニーやマイクロソフトが出来なかった事情は良く理解できるが(前にもこのブログで進めたが、「イノベーションのジレンマ」に答えが書いてある)、もう少しがんばって欲しいのはリアル・ネットワークスである。商品としては、iTune にならぶかそれ以上にすばらしいもの(ラプソディー)を持ちながら、マーケティング力の圧倒的な差で、メディアからほとんど相手にされていないのである。
ちなみに、ラプソディーは、iTune のように一曲ずつ買うシステムではなく、月々$9.95を払うことにより、膨大な数の曲が聞き放題になるサービスである。(ダウンロード方式ではなく)ストリーミング方式で音楽が提供されるため、iPod のようなポータブルプレーヤーで聞きたい人には適していないが、私のように音楽は家で聞く人には最適なサービスである。まるで、膨大な数のCDが入ったジュークボックスが家にあるようなものである。
私は、ラプロディーの存在を、去年末にリアルのCEOのボブ・グレーザー自身から直接聞いた(お互いにシアトルに住んでいるにも関わらず、初対面は麻布のすし屋であった)。試しに初めて見ると、少なくとも私には iTune よりも遥かに魅力的なサービスであり、それ以来、家でラプロディーの音楽を聞かない日が無いぐらいに楽しませてもらっている。それにも関わらず、ラプソディーのことを述べた記事を一度も見たことがない(iTune の記事なら数え切れないほど見ているのに)。
やっと最近になって、リアルとアップルの対決がメディアで取り上げられるようになったが、肝心の「ラプソディー vs. iTune」の話題ではなく、リアルが iTune のファイルフォーマットを不当にリバース・エンジニアリングしたかどうかという、リアルにとってマイナスのイメージに繋がる話題ばかりになってしまっている。
幾らメディアにたたかれようとも、ラプソディーのユーザー増に繋がるならプラスだが、私にはどうもそう思えない。ラプソディーの一ファンとして言うのだが、リアルのマーケティングの人にはもう少しがんばって欲しい。このままでは、せっかく良いものを作ったリアルの企画やエンジニアの人たちの努力が報われない。
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