「おまかせ」文化論
宮崎アニメを飼い殺しにしている米国ディズニー

「人間の証明」 特別出演・友情出演

Yujoshutsuen

 ビデオ・シティ(近所の日本人向けのビデオ・レンタル屋)で、テレビドラマ「人間の証明」のビデオを6本借りてきて、週末に一気に見た。原作を読んでから見たので、意図的に原作と変えている部分などが楽しめたが、「小説の方が楽しめた」というのが正直な気持ちである。ベストセラーものがテレビになったり映画になることはよくあるが、ほとんどの場合小説の方が出来が良く、映像を先に見てしまって「もったいないことをした」と思うことが良くある。このケースも、危うくテレビを先に見るところであった。成田空港の本屋でたまたま文庫本を見つけたのが幸いした。

 ちなみに、出演者の名前を見ていて気が付いたことが一つある。風間杜夫が「特別出演」で、緒方拳が「友情出演」なのである。

 今が旬で視聴率も期待できる竹野内豊を主役に置き、旬は過ぎたとは言え、まだ芸能界ではずっと格が上な風間杜夫と緒方拳に脇を固めてもらう、という配役は確かにうなずける。しかし、そういった格が上の人に必ず「特別出演」とか「友情出演」などの「形だけの礼儀」を払う風習は、どうも好きになれない。特に、「友情出演」というのは、「監督と親しい有名な俳優が、ほとんどノーギャラで本来なら絶対にやらないような『チョイ役』で出演することにより、スパイスを効かす」という意味だったはずだ。しかし、この例では、緒方拳は捜査本部の責任者で竹之内の上司というとても重要な役回りで、せりふも多く、本来の「友情出演」の定義からは大きくはずれている役どころであった。

 私の想像するに、まず風間杜夫の「特別出演」が決まり、風間杜夫よりさらに格が上の緒方拳の出演交渉の際に、同格の「特別出演」では緒方拳に申し訳ないという配慮のもとに、緒方兼は「友情出演」という線に収まったのではないかと思う。

 今度からドラマを見るときは、「特別出演」や「友情出演」の「冠」をもらう俳優は誰かを注意して見てみようと思う。そこに、「主人公より格が上の俳優に脇役での出演交渉をしなければならないプロデューサーの苦労」というもう一つのドラマが見て取れるはずだ。

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