空中ブランコ (奥田英郎著)
2004.12.18
先月東京からシアトルに戻るときに、空港でたまたま見かけて、つい買ってしまったのがこの本である。ずいぶん前のことなので、どのブログで見たのかすら忘れてしまったが、この本の書評が出ていたのを覚えていたのだ。
「飛行機の中で退屈しのぎが出来ればいいか」ぐらいの軽い気持ちで手に取ったのだが、中々の秀作であった。一作ごとに異なる人物を主人公にし、その人たちが患者として接する精神科医、伊良部一郎(とFカップの美人看護婦)のハチャメチャさを描くという短編集の形をとっているところがとても読みやすく、一気に読んでしまった。
ユーモアを通して、「りっぱな社会人」であろうとするばかりにストレスをため込んでいる現代人の生き方に、ストレートに疑問を投げかけているところがとても良い。読者が、「ああ、私ももっと肩の力を抜いて生きて行こう」と少しでも思って日々のストレスから開放されてくれれば、著者も本望であろう。かく言う私も、そう感じたのだが、「あなたは十分自分勝手でストレスなんかないんだから、これ以上肩の力を抜く必要はないわよ」という妻の声が聞こえて来そうである。
ちなみに、日本に戻ってから、実はこの「空中ブランコ」は、「伊良部シリーズ」の第二作であることを発見し、第一作の「イン・ザ・プール」を読み始めたが、作品としてのキレは第二作の「空中ブランコ」の方が良い、というのが正直な感想である。ちなみに、それぞれ独立した短編を集めた作品なので、読む順番はどうでもかまわない。これから読む人は、第二作の「空中ブランコ」から読み始めることをお勧めする。
[著者、奥田英郎さんへのメッセージ] 奥田さん、「伊良部シリーズ」第三作、楽しみにしています。絶対読みますので、ぜひ書いてください。ちなみに、たぶん、映画化・ドラマ化の話が来る・来ていると思いますが、キャスト選びは私たちファンのイメージを壊さないように、プロデューサーや監督まかせにせずに、慎重に願います。看護婦は、もちろん小池栄子に決まりですが、伊良部医師は難しいですね。雰囲気としては小日向文世さんに演じて欲しいところですが、太っていないのが残念です。太っているからといって、西田敏行だけはやめてくださいね。
こんにちは。今日「空中ブランコ」金曜エンターテイメントでやりますよ。残念ながらSatoshiさんのご希望どおりのキャスティングにはなりませんでした。看護婦さんが釈由美子で、伊良部医師は阿部寛です。イメージ壊れましたか?私は本を読んでおりませんが、主人公は全然違うイメージみたいですね。
Posted by: naomi | 2005.05.27 at 00:07
だいぶ私のイメージとは違いますね。釈由美子はゆずれるとしても、安部寛はかなり遠いですね。「無邪気」なイメージが大切なのに、安部寛がそのイメージを出せるとはどうも思えないですね。
Posted by: satoshi | 2005.05.27 at 06:19
プログを拝見して、興味がでて読みました。
適切な感想で、感心しました。
安部 寛は納得できませんね。
Posted by: みわ | 2007.08.31 at 15:21
プログを拝見して、興味がでて読みました。
適切な感想で、感心しました。
安部 寛は納得できませんね。
Posted by: みわ | 2007.08.31 at 16:04