Longhorn は Cairo か?
「日米双方向テレビ視聴」プロジェクト

ギックリ腰と人間の進化

050204_004427_1  久しぶりに「ギックリ腰」になってしまった。会社の連中と2年ぶりのボーリングをしている最中に腰が痛くなったのだが、家に帰って2時間ほど仕事をしてから立ち上がろうとすると腰が固まってしまっていて立ち上がれない。そのまま椅子からはいずり落ちるがそのときにますます痛みが激しくなり動けなくなってしまった。30分ほど奮闘して何とか「つかまり立ち」をするが、腰が伸ばせないのでまともに歩くことができない。

 座るのもままならないので、しばらくベッドに横になることにするが、あいにくベッドは二階だ。階段を休み休み30分ほどかけて登り、なんとかベッドにはたどり着くが、横になろうとすると色々なところに痛みが走るのでうまく行かない。ここでさらに30分ほどかけていかに痛くないようにベッドに這い上がるかを試行錯誤するがうまく行かない。仕方が無いので、最後は痛みを覚悟で走り高跳びの抱え込み飛びのようなスタイルで体を投げ出す。激痛が走るが、何とかベッドに横になることはできた。

 そのまま痛みの引くのをまって天井を見つめ、今回の「ぎっくり腰」の反省をしてみる。シアトルに戻って、運動どころかろくに歩きもせずに丸二週間ほどずっと働きづめだったし、腰に良いはずのバランス・チェアも使っていなかった。その疲労しきった腰に2年ぶりのボーリングがとどめをさしたようだ。

 ちなみに、「ギックリ腰」は、2足歩行をするようになった人間特有の病気であり、それは本来四足動物のために進化してきた骨盤の構造が2足歩行には向いていないからだ、という説を読んだことがある。一見もっともな説にも思えるが、「科学うんちく」好きの私は、この説は怪しいと思っている。人間が2足歩行をするように経ってから骨盤が2足歩行に合わせて進化するだけの十分の時間はあったはずだ。特に有史以前は、「ぎっくり腰」は致命的だったはずで(狩りの最中に「ぎっくり腰」になるような男が子孫を残せたとは思えない)、「進化圧」は十分である(ちなみに、「進化圧」とは自然淘汰による進化を促すような環境からの圧力のこと)。そんな説が正しいのであれば、キリンの持病は「むち打ち症」だろうし、ナマケモノはみな運動不足で不健康なはずだ。

 それよりも、「現代人に特有の『ほとんど一日中座って過ごす』という生活スタイルに合わせて人間の骨盤が(まだ)進化できていない」、と言った方がより正確な表現であろう。現代人の生活スタイルが確立されてからまだわずかだし、私のような「ガラスの腰」(この表現は、あだち充の「H2」より拝借)を持った人間が堂々と子孫を残せるものだから、人間の腰の構造がこの生活スタイルに合わせて進化するには、まだしばらくかかりそうだ。それよりは、椅子の構造が進化する方が早いかもしれない。

 ちなみに、この私の危機を救いに正義の見方(=妻)が日本から急遽駆けつけてくれたのだが、私をphysical therapy(=物理療法)のクリニックに送りがてら、「私も肩が痛いからついでに治療してもらう」と同じ時間に予約を入れてマッサージをしてもらっている彼女の合理性には本当に関心してしまう。クリニック側も心得たもので、「次の治療も同じ時間に予約入れておきますか?」という気の使いようだ。

 それで思い出したのが、中学生のときに足を捻挫して通った整形外科だ。つねに待合室は老人たちであふれており、

 「鈴木さん、今日来てないねえ」
 「具合が悪んじゃないといいね」

などと冗談のような会話が平気で交わされていたのを覚えている。今考えてみると、老人医療制度を悪用して、保険を適用させてマッサージを提供している悪徳クリニックだったようだ。あそこは今でもあるのだろうか… 

Comments

うみ

こんにちは。
私も整形外科のお世話になっていますが、「腰痛は二足歩行を始めた人間の宿命」なるパンフレットが病院の待合室に置いてありました。

私などは深く考えずに「そうなのか〜」と思っていましたが、おっしゃるようにキリンやナマケモノの例を考えれば変な話ですね。

そして、すわりっぱなしの現代人の生活スタイルに腰が対応できていないというほうが、的を得ていると思います。

最後になりましたが、腰をお大事に。

kazuyon

初めましてよろしくですw
いつも楽しみに訪問させてもらっています。
今回のキリン&ナマケモノの箇所では大爆笑でした。
ガラスの腰…お大事にぃ。

Satoshi

うみさんも腰痛なのですね、お互いがんばりましょう。腰痛は良くなった後も生活を改めないとすぐぶり返すので要注意です(経験者は語る)。

kazuyon さん、初めまして。コメントありがとうございます。kazuyon さんの「雑記長」もときどき訪問させていただきますね。

meigara

Satoshiさんの『キリンの持病は「むち打ち症」』発言で思いつきまして、Googleで「キリン 血圧」で検索してみました。
案の定、「キリンの血圧はなぜ高い―血液学最前線」という本がひっかかりました。
あれだけ高い位置にある脳まで血液を送り続けるのですからキリンの心臓もさぞかし大変な思いをしているのでしょうね。

ちなみに、バランスチェアは私も使っていましたが、どうにもこうにも馴染むことができずに捨ててしまいました。
あの椅子の最大の欠点は気持ちよく後ろに背筋を伸ばすことができないところですよね。

satoshi

meigara さん、私もキリンの血圧については聞いたことがあります。確かに、あれだけの高いところに血を送らなければならないのですから大変ですよね。

私も3つバランス・チェアを持っているのですが(シアトルのオフィス、シアトルの自宅、東京の自宅)、気持ち良く使えているのはそのうち一つだけです。微妙な角度が大切ならしく、体に合わないものだと妙に疲れます。

@ぱお

なるほど・・・。もろもろ、頷きながら読ませて頂きました。僕は、この週末に雪山に行って遊んで来たのですが、ちょっと前なら何ともなかったようなコブを滑っただけで、後から、膝が曲げられない程に痛み(恐らく、コブを吸収した衝撃だと思います。)、われながら、「?」と言う感じです。が、まず、このところの自分は、運動不足だったと思い反省し、同時に、膝ってのは、ゆっくり歩くだけでも相当に使ってるものなんだなぁ、と実感しておりました。そのタイミングで、腰のお話を読んで、いや、凄いんだろうなぁ、と想像力豊かに拝読致しましたです。椅子・・・も、考えなくてはいけないですが、なかなか・・・って、これじゃ、変化なし、ですなぁ。

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