ギックリ腰と人間の進化
ハリウッド版「シャル・ウィ・ダンス?」

「日米双方向テレビ視聴」プロジェクト

050207_212937_2  ついに光ファイバーでのブロードバンドが東京の我が家にも来た(とは言っても、引越し先のマンションに付いてきただけのことだが)。これで去年から計画していた、「日米のテレビを東京とシアトルの両方で見れるようにする」という我が家の「日米双方向テレビ視聴」プロジェクトに着手できる。プロジェクトのあらましはこうだ。

 東京とシアトルのそれぞれの家にビデオ・サーバー機能のあるハードディスク・レコーダーを設置し、それをインターネット経由で東京にあるものにはシアトルから、シアトルにあるものには東京から「予約設定」と「視聴」を自由に出来るように設定するのである。これが実現すれば、普段シアトルにいる私は、大好きなトレンディ・ドラマをほぼリアルタイムで見ることが出来るし、東京にいる家族は Joey などの最新の sit-com (situation comedy の略)を見ることが出来るのである。

 日本のドラマはシアトルのレンタルビデオ屋で借りることは出来るのだが、どうしても2週間ほど遅れてしか入荷しないので、日本に出張したときに家族と一緒に見ようとすると、ちょうど2週分飛ばして見ることになってしまうのだ。そのおかげか、去年の「ラスト・クリスマス」はどうも十分に楽しむことが出来なかった。

 まずは今回の出張中に日本側のビデオ・サーバーを設置することにしたのだが、綿密な機器選定の結果SHARP の Galileo が最適であることが分かり、ヨドバシで買い求め(新宿西口店は「売り場スペースの関係上」置いておらず、東口店に一つだけ在庫があった)早速設置する。DHCPの設定だの、専用アプリのダウンロードだの、通常の「家電」の粋を遥かに越える複雑さで、ヨドバシがなぜ力を入れて売らないかが良く分かる。

 設定を終えて、幾つかリモートで予約録画して視聴してみると、使い勝手は悪いが、それなりに動いているようだ。シアトルの家から視聴できるかどうかは実際に試してみないと分からないが、登りの帯域は十分出ているようだ。マニュアルには、インターネット経由の視聴にはMPEG4の高圧縮モードでの視聴を進めているが、ひょっとするとそこまで圧縮しなくともVHSテープ程度の品質では視聴できるかも知れない。15日にはシアトルに戻るので、とても楽しみである。

 ちなみに、この Galileo であるが、とても先進的なデバイスでありながら、すごくマニアックな作りで洗練されていないところが、いかにも SHARP らしく憎めない。古くは MZ シリーズのパソコンからザウルスまで、エンジニアが自分たちのために作ったようなデバイスをそのまま市場に出してしまうところが、SHARPの良さでもあり弱点でもある。この Galileo は家庭向けメディア・サーバーという全く新しい分野を切り開いている、という意味ではとても大きな意味を持つデバイスである。ソニーがPS2とBBキットで実現するはずだった、そしてマイクロソフトが Media Center PC プロジェクトで実現しようとしている、「家庭用メディア・サーバー」という商品をパソコンではなく、「AV機器」として発売したSHARPにはエールを送りたい。

 ただ一つ残念なのが、使い勝手の悪さと野暮ったさであり、それが同じく先進的なデバイスでありながらマス・マーケットに受け入れられた Sony の Walkman や、Apple の iPod のような存在になりえなくしているのである。数年後にメディア・サーバーの市場が本格的に立ち上がり、いつものようにソニーやパナソニック(ひょっとするとマイクロソフトかアップルかも知れない)がその市場の覇者になったときに、「最初に家庭用メディア・サーバーを市場に出したのは俺たちだったんだよな」とSHARPのエンジニアたちがビールを飲みながら残念会をする姿は見たくないな、と思う私である。

Comments

shun

私も、似たようなことをやっているのですが、一番のボトルネックは、シアトル側の down stream の帯域ですね。(シアトルから日本へ送るには、up stream の帯域があまりにも低いので試していません)
それから、録画マシンから直接見る場合は、録画時と重なるとサーバー側のパフォーマンスに不安が残るので、私は一旦 ftp でファイルを落としてから視聴という原始的なやり方をしています。

ソニーのロケーションフリーTVなどは、どうなのでしょうか?(興味はあるのですが、試していません)

Satoshi

 シアトル側の down stream は CNET のテストでは 1.5Mbps ぐらい出ているので十分であろうと期待しているのですが、実際試してみるまでは分かりませんね。確かに、一度ファイルを落としてから視聴というのも試してみる価値があるかも知れません。

 ソニーのエアボードも考慮はしたのですが、視聴するデバイスに自由度がないので今回は却下しました。せめて視聴側の液晶にビデオアウトが付いていればもう少し自由度が広がるのに残念です。

ぢ

私も同様のことをやっております。私もストリームではなく、ftpで落としていますね。
僕が見たいのは大抵、日本の夜の番組です。すなわちUSでは深夜から明け方。僕がこの時間にリアルタイムで日本の番組を見ることはまずありません。ということで、録画することになります。
アメリカの僕が、会社に行く前に、ダウンロードを仕掛けておくと、夜、帰ってきたときにはすべてダウンロードが終わっています。
ストリームで流すには1時間の番組を1時間でダウンロードできるサイズに圧縮する必要がありますが、このように時間差を使えば、もっとダウンロードに時間をかけることができます。すなわち、より高画質にすることができます。
私の場合は、PCを自前で組んでやっていますので、かなり自由度があるという条件ですが、ご参考までに。

@ぱお

すごい・・・ですね! こんな事が可能だなんて、ちっとも知りませんでした。勉強になる、と言えるほど、自分の頭脳コンピュータが俊敏でないので、ただただ驚くばかりでしたが、とても興味深いお話でした!

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