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右脳と左脳の連携

Yomichi 最近、一緒に仕事をしているエンジニアの一人が面白いことを彼のブログに書いているのを見つけた(プライバシーを好むかもしれないのでリンクはあえて張らないで置く)。彼は、自分は「右脳人間」だが、右脳がある結論に達した時には、どうやってその結論に達したかのロジックを説明してくれないので人に説明出来なくて困る、と言うのだ。そのまま結論だけを周りの人に伝えても、単なる「直感」で結論に達したとしか思ってもらえないので、一生懸命に左脳を働かして、なぜ右脳がそんな結論に達したのかを「後付け」で説明しなければならない、と言う。

 これは今まで耳にした右脳・左脳に関する説の中でもとても面白い方の考え方だと思う。このブログの「科学うんちく」コーナーには絶好のテーマだ。

 一般的には、右脳は芸術だとか感性だとかを担当し、左脳は論理思考を担当する、と言われている。そのままストレートに考えると、芸術家は主に右脳を使って仕事をしており、エンジニアは左脳を使って仕事をしている、という解釈となる。しかし、彼の説によると、エンジニアでも右脳を使って仕事をする(もしくはする人がいる)というのだ。

 自分の仕事の仕方を考えて見ると、彼の言う説も最もだと思う。ソフトウェアを作っていて、ある「命題」が与えられたときに、あまり深く考える前に、いきなり「答えらしきもの」が見えることがある。それを人によっては「直感」と読んだりもするのだろうが、それは決して「第六感」のような超能力的なものではなく、過去に解いた似たような問題に照らし合わせて、脳が短絡的に「もっともそれらしい答え」をはじき出しているのだと思う。その手法は、全然ロジックの積み重ねでは無くて、どちらか言うと「パターン・マッチング」のような処理を行っているのだと思う。

 もちろん、それは「答えらしきもの」でしかなく、実行に移す前に、それが「正しい答」であるかどうかをロジックを使って「検証」しなければならない。そのステップを飛ばしてしまうと、他の人に「直感で行動している」と言われたり、「思わぬ思い込み」で痛い目にあったりする。ただし、優秀なエンジニアであるばあるほど、その「答えらしきもの」が実際に「正しい答」であったり「正しい答に近いもの」であったりする可能性が高いので、全てをロジックの積み重ねで解決するより、遥かに時間の節約ができるのだ。それは囲碁の名人が、考えられうる全ての手を読まずに、わずかな時間で「最適に近い手」を見つけることが出来るのと似ている。

 コンピューターの能力が飛躍的に進歩したにも関わらず、相変わらず人間の脳の方が圧倒的に優れている理由は、この「瞬時に答らしきものを見つけてしまう能力」にある。与えられたプログラムに従って、一つ一つのロジックを順番にしか実行することのできない今のアーキテクチャーのコンピューター(これを「ノイマン型コンピューター」と呼ぶ)は、人間の左脳的な作業は得意だが、右脳的な作業は全く不得意なのだ。

 ちなみに、私はソフトウェアを作っていて行き詰った時には、「寝る」ことにしている。なぜなら、行き詰ったときには頭を幾ら振り絞ってもあまり良い効果は得られず、逆に、さっさと寝てしまって頭を休めた方が、良い結果が得られることが多いからだ。これも考えて見ると右脳の働きと関係しているような気がする。行き詰った状態とは、「答らしきもの」が見えなくなっている状態を指し、そんな状態になったときには、どんなに左脳をやみくもにフル回転させても正しい答は見つからない。そんな時は、「寝る」ことによって左脳がストップし、右脳が活躍し始めるからではないだろうか。だからこそ、夜に(左脳を使って)どんなに考えても見つからなかった答が、朝になるとすっきりと見えていたりすることがあるのではないだろうか。

Comments

Cyberoptic

確かに。

「考える脳 考えるコンピューター」(J.ホーキンス著)でも語られていますが、認識とは
"感覚と脳の記憶から引き出された予測が組み合わさったもの"であり、
その引き出す作業においては、パターン・マッチング処理が行われているようですね。

そうなると、情報を蓄積・記憶する際に、いかに後々マッチングがしやすいように
INDEXをつけて格納するかが重要な気がします。海馬の働きが気になるところです。

satoshi

情報をどう格納するか、に関しては左脳が重要な働きをしているように思えますね。一度理解したことを、人に説明するとより理解が深まるのも、関係がありそうです。脳の話は奥が深くて、うんちくのネタには困りませんね。

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