Yahoo Music はダスキンのモップ
2005.05.12
「これからは、CDやDVDの形でコンテンツを売るのではなく、月額課金でサービスとして提供する時代だ」とどこへ行っても呪文のように繰り返している私だが、やはり強烈な『実例』がないと説得力がない。今回 Yahoo が始めた 「Yahoo Music サービス」はその意味でも大歓迎である。
これで、RealNetworks の Rhapsody、Napster、Yahoo Music と三つの「固定額で音楽聞き放題サービス」が始まったわけで、そろそろ Apple も Microsoft も無視できずに思い腰を上げてくれると期待している。
ソニーなどの日本の企業は、iPod+iTune に刺激されてやっと音楽配信サービスを始めたが、iTune ばかり気にして、「Apple に追い付け追い越せ」と躍起になっているのが心配だ。目の前にいるAppleだけでなく、半歩先にいる Rhapsody を見るべきなのに、どうしてこう近視眼的なのだろう。願わくばこの Yahoo のアナウンスメントで目を覚ましてくれると良いのだが。
両者の違いは、「スーパーで安売りされるモップ」と、「サービスとして提供されるダスキンのモップ」ぐらいの違いがあるのだが、そもその2つのモップが根本的に違うビジネス・モデルの上で提供されていることに注目すらしていない人には、iTune と Rhapsody の根本的な違いを説明しようとしても無理かもしれない。
ちなみに、日本では有線放送で既にサービス型の音楽サービスを提供している USEN が圧倒的に有利だと思っていたのだが、なかなか始めてくれないのが不思議だ。音楽業界との交渉に手間がかかっているのだろうか?ユーザーが聞いた回数に応じて著作権元に使用料を払えば良いので、有線放送と全く同じビジネス・モデルが適用できるはずだ。
米国では、「ベンチャー企業がこの手のビジネスをすばやく立ち上げ、それを大手が買収する」という形で一気にビジネス・モデルの革新が起こるのだが、日本の場合、さまざまな理由でそういったベンチャー企業を立ち上げる土壌がないので、ビジネス・モデルの革新が起こりにくいのかもしれない。
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