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Google Map API で早速遊んでみた

 つい昨日、『私自身、もしLonghornのベータ版で遊ぶか、Googleの新しいウェブ・サービスのベータ版で遊ぶかの選択肢を迫られたら、迷うことなく後者を選ぶ』と書いたばかりだが、偶然とは恐ろしいもので、ちょうど Google が Map API のベータ版をリリースしたことを発見した。そこで早速、遊んでみた。

 会社の近所の地図を表示し、そのまわりの幾つかの場所にマーカーを付け、クリックすると説明が出るようにしたのだ。もちろん、マウスで地図をドラッグしてスクロールさせることも出来るし、Satelite ボタンを押して写真に切り替えることもできる。こんなウェブ・アプリケーションが30分ぐらい遊んだだけで出来てしまうのだから、すばらしい時代が来たものだ。

[追記]
 参考までにソースコードを添付。ただし、ソースコード中の "key=..." は、このブログのURL用に取得した専用の Maps API key なので、自分のサイトで試す場合には、そのURL専用の key をsignup ページより取得してそれを使う必要があるので注意。

<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Strict//EN"
"http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-strict.dtd">
<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
  <head>
    <script src="http://maps.google.com/maps?file=api&v=1&key=ABQIAAAAWNM0K96_0YCXI_9uPTt1TxRvijsxwSljX33hpQXojFRGnMlGhRTxm-NwOtjyJ58FgRFM2BeGY0WYxw" type="text/javascript"></script>
  </head>
  <body>
    <div id="map" style="width: 480px; height: 320px"></div>
    <script type="text/javascript">
    //<![CDATA[
    var map = new GMap(document.getElementById("map"));
    map.addControl(new GSmallMapControl());
    map.addControl(new GMapTypeControl());
    map.centerAndZoom(new GPoint(-122.1960, 47.6104), 3);

    // Creates a marker whose info window displays the given number
    function addMarker(map, lat, lng, html) {
      var point = new GPoint(lat, lng);
      var marker = new GMarker(point);

      // Show this marker's index in the info window when it is clicked
      GEvent.addListener(marker, "click", function() {
        marker.openInfoWindowHtml(html);
     });
      map.addOverlay(marker);
    }

    addMarker(map, -122.1902, 47.6039, "<b>UIEvolution Inc.</b><br/>Our Office<br/>11245 SE 6th St<br/>Bellevue, WA 98004");
    addMarker(map, -122.2042, 47.6166, "<b>Bellevue Square</b><br/>Great Shopping Mall");
    addMarker(map, -122.1874, 47.6107, "<b>Extended Stay</b><br/>Good hotel for peole who stay longer than a week.");
    addMarker(map, -122.2005, 47.6184, "<b>Hyatt Hotel</b><br/>Upper class hotel.<br/>Great hotel for our guests.");
    addMarker(map, -122.2042, 47.6166, "<b>Bellevue Square</b><br/>Great Shopping Mall");
    addMarker(map, -122.1953, 47.6116, "<b>CompUSA</b><br/>A large computer retail store");
    addMarker(map, -122.1998, 47.6128, "<b>Starbucks</b><br/>A nearest starbucks from our office.");
    //]]>
    </script>
  </body>
</html>


アルファギークはLonghornの夢を見るか?

Sunset   Tim O'Reillyの定義によるとアルファギークとは、「産業を変化させる力を持つ新しい技術に早いうちに飛びつき、ああでもないこうでもないといじくっているうちに、技術が進むべき方向性を示し始める、先鋭的で飽きっぽいエンジニア(はてなの辞書より引用)」のことだそうである。そんなアルファギークたちが、マイクロソフトの次世代OSであるLonghornをそんな「産業を変化させる力を持つ新しい技術」とみなして、ああでもないこうでもないといじくり始めるような状況を作り出すことにマイクロソフトは成功するのだろうか、というのが今日のトピックである。

 結論を先に言ってしまうと、成功させるのはとても難しいと私は見ている。私自身、もしLonghornのベータ版で遊ぶか、Googleの新しいウェブ・サービスのベータ版で遊ぶかの選択肢を迫られたら、迷うことなく後者を選ぶ。アンケートをとったわけではないが、たぶんこのブログを読んでいる人たちの大半が後者を選ぶだろうことは簡単に予想できる。

 どうしてこんなことになってしまったのか、そしてそれが何を意味するのかを良く理解することが、今後の10年間を考えていく上では非常に重要である。

[どうしてこんなことになってしまったのか]
 単刀直入に言ってしまうと、「OSのイノベーションでは人々のライフスタイルを変えるほどの革新は起こせるとは思えなくなった」からである。エンジニアたちが、家族に文句を言われながらも仕事に没頭できるのは、「人々のライフスタイルを変えてしまうほどのインパクトを与える技術革新に寄与する」ことが何よりも楽しいからである。80年代後半から90年代にアップル、IBM、マイクロソフトが起こしたOS革命は、パソコンを我々の生活に無くてはならないデバイスの地位まで一気に押し上げ、人々のライフスタイルを変えた。そんな時代に、OSの開発やそんなOS向けのアプリケーションの開発に従事出来たエンジニア達は本当に幸せであった。

... しかし、Windows 95は、これ以上はないというほど良いタイミングでデビューしました。インターネットはまだ注目を集めておらず、すべての作業はクライアント上で行われていました。MS-DOSとWindowsを融合させたWin95は、それだけでも話題性のある製品でしたが、同時にその他のハードウェアメーカーやソフトウェアメーカーも新製品を発表しました。さまざまな出来事が同時に起こった結果、Windows 95のデビューは一製品の枠をはるかに超える騒ぎを引き起こしたのです。これらの出来事は他社によるもので、当社はその恩恵にあずかりました。... (CNet 「スティーブ・バルマーの楽観的未来予測」より引用)

 しかし、これからの10年を考えた時に、マイクロソフトがLonghornやそれに続くOSにどんな機能を入れてきたところで、OSのイノベーションに人々のライフスタイルが変わるほどのインパクトを与える力が持てるとは私にはどうしても思えないのだ(「PCのコモディティ化」参照)。それに比べると、GoogleやYahooが提供するウェブ・サービスやウェブ・アプリケーションには、明らかに「人々のライフスタイルを変えてしまうほどの」インパクトを持つ革命が潜んでいる匂いがする。現に、過去2~3年間で私自身が「ああでもないこうでもない」と遊んだ技術を列挙すれば、ブログ、RSS、skype、P2P、アマゾンのウェブ・サービス、Perl、AjaxGoogle MapFlickrはてな、となる。どれもウェブ・サービスの絡んだジャンルであり、OSまわりの新規技術で私の目を引いたものは一つも無い。

[これは何を意味するのか]
 この事態は、もちろんマイクロソフトにとって由々しき事態である。しかし、それは決してLonghornが遅れたからだとか、Longhornのプロモーションがうまくいっていないなどという小さな理由ではなく、そもそも「OSをイノベーションさせることそのものがエキサイティングではない」ことに根本的な原因があるので始末が悪い。多くのユーザーがマイクロソフトに期待しているのは、「ウィルスに犯されない」、「クラッシュしない」、「使っているうちに妙に遅くなったりしない」OSであり、それ以外のイノベーションはOSには求めていない、というのが一般的な見方ではないだろうか。

 しかし、だからといって看板商品であるOSのイノベーションを止めてしまうわけにはいかず、Longhornを出さざるおえないのがマイクロソフトの宿命である。まさに「イノベーションのジレンマ」に書かれているモデル・ケースのような道をたどっているのである。その辺りのジレンマはビル・ゲイツもスティーブ・バルマーも十分に承知の上で、ウィンドウズ・ビジネスで稼いだお金を利用してウェブ・サービス・ビジネスを立ち上げようと、MSNやXBox Liveに膨大な資金を投入しているのである。

 マイクロソフトで90年代にOSやブラウザーの革新を推し進めて来た「新しい技術が好きで飽きっぽい」エンジニア達が、2000年あたりを境にして流出し始め、ベンチャー企業を立ち上げたり、そういったウェブ・サービス・ビジネスの会社に移り始めたのも全く同じ理由である。Googleは最近、そんなエンジニア達の受け皿としてマイクロソフト本社のすぐそばにオフィスを開いた

 この厳しい状況に、マイクロソフトがどう対処するかは見ものである。莫大な資金と人材は明らかにプラスとしても、ウィンドウズとオフィスという二つの看板商品はプラスにもマイナスにもなりうる両刃の剣である。「新しい技術が好きで飽きっぽい」エンジニアの比率が減り、「安定して収入の得られる職が欲しくてマイクロソフトに入った」エンジニアの比率が増えてしまえば、例えマイクロソフト帝国であろうと崩壊は免れない。正念場である。


死ぬまでにしたいことベスト10

050619_095018 昨年の11月に企画した「自分が少数派になるだろう項目ベスト10」が大好評だったので(今でも時々と書く人が現れるのは嬉しい限りだ)、その第二弾である。今回の「お題」は、

 『死ぬまでにしたいことベスト10』

である。企画のヒントはmiyuさんのブログからいただいた。実現可能か不可能かは別として、「可能ならぜひしてみたい」ものをリストアップしていただきたい。やる気になりさえすればすぐ出来るものから、相当の努力や運の必要なものまで、あまり深く考えずに頭に浮かんだものを10個ぐらい書いていただければ良い。

 では、まずは私自身のベスト10から(とは言っても8つしか浮かばなかったが)。

1.「鯨」と泳ぐ、できれば「しろながす鯨」と
 その緊張感がたまらなさそう。
2.南極に行く
 ペンギンに会いに、かな。
3.宇宙旅行をして地球を見下ろす
 本当に「地球は青い」ってことを実感してみたい。
4.SFかミステリーの長編小説を書く
 宮部の初期作品(「龍は眠る」など)のようなやつを。
5.大学教授になる
 大学教授と乞食は3日やったらやめられないと聞いたので…。
6.クイズ番組のレギュラー解答者になる
 クイズダービーの篠沢教授のような役回りがしてみたい。
7.コンサートホールで満員の観客の前で歌う
 カラオケの何十倍も気持ちよさそう。
8.空を飛ぶ
 現実味が無いけど、一応書いてみた。

[企画者からのお願い]
 ブログをお持ちの方は、ぜひとも自分のブログにこの「お題」のベスト10を書き、後ろにこの『企画者からのお願い』を追加してから、このブログにトラックバックしてください。そうでない方も、コメント欄などを利用してぜひともご参加ください。「夢は口に出した方がかなう」とも言われますが(本当か?)、ブログに書いて沢山の人に読んでもらえば、より可能性が高まるかも知れません。

[ソシアル・ブックマーク利用者へのお願い]
 ソシアル・ブックマークをご利用の方には、ぜひともこのエントリーをブックマークして、この企画にご協力願いたい。その時に、企画そのものに対するご意見をブックマーク・コメントとして追加していただけると、もっと嬉しい。


欲しい!背面電子ペーパー付きノートパソコン

Dream_notepad 外出の際に、行き先までの地図、電車の乗り継ぎ情報、その日の予定表などをチョコっとプリント・アウトしてから出かけることは良くある(そして、時間が無い時に限って、紙切れだったりしてイライラさせられた経験は、多くの人が持っている)。

 その手の情報をノートパソコンにデータとして格納しておくことも、ページを開いて簡単に見れるようにしておくことも可能だが、移動中にパソコンをいちいち開いたり、立ち上げたりするのはあまりにも不便だ。そもそも、スケジュールとか住所録はパソコンで管理しているし、地図とか乗り換え情報もインターネットから入手するにも関わらず、相変わらず『紙』というメディアに頼らなければならない点がどうも納得できないと感じているのは私だけではないはずだ。そんなビジネス・マンの必須アイテムになりそうなのが、この「背面電子ペーパー付きパソコン」だ。

 仕組みはいたって簡単で、eink 社製の電子ペーパーがノートパソコンの背面に貼り付けてあるだけだ。特別なソフトウェアを使う必要はなく、紙にプリントするときと同じように、ブラウザーやワープロなどの任意のソフトから、『背面電子ペーパー』と名づけられた仮想プリンターにプリントするだけで良い。

 電子ペーパーのすばらしいところは、紙に匹敵するコントラストの高さと、無電源での画像保持能力。そのため、明るいところでも読みやすいし、パソコンの電源を立ち上げる必要もない。

【パソコン・メーカーの方へのお願い】
 添付の写真を見て、「Dell に先を越された!」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、安心してください。Photoshop で作った合成写真です(「写真はイメージ」というやつです)。ぜひともこんなノートブックを作っていただきたいと思う意味を込めて、この「でっちあげ記事」を書いてみました。いかがでしょうか?今からなら一番のりも可能です。特殊なアプリケーションは作る必要は全くありません。システムから送られてきたイメージを白黒(もしくはグレースケール)で電子ペーパーに、プリンター・ドライバーのみを作るだけで十分です。専用の電子ブックなんかよりずっと実用的だと思います。

 ところで、「雨の日はライトセーバー」、「生返事防止ツール」などの新商品のアイデア記事の評判が高いので、独立したカテゴリーとして、「こんな商品が欲しい!」シリーズとしてまとめることにした。ここで書くアイデアに関しては、クリエイティブ・コモンズの発想で公表しているので、どんどん商品化に役にたてていただきたい。


心温まる道路標識

050622_041232 私の家の近くに、見るだけで心が温かくなってしまう道路標識がある(写真)。他の場所で見たことがないので、たぶん自治体でオリジナルのものを作ってしまったのだと思う。シアトルの道路交通法のことは詳しくは知らないが、こういったユーモアに関してはおおらかな土地柄だ。

 そういえば、マイクロソフト本社の前の「歩行者注意」の標識の人はフロッピー・ディスクを片手に持っていることで有名だったが、アップル本社の前の「歩行者注意」の標識の人は iPod を聞いている人などだろうか(広告そのままだ)。

 ちなみに、英語ではアヒルも鴨もどちらも duck。どうしても区別したい場合には、"domestic duck" と "wild duck" とするが、普段の会話でそんな使い方をしている人に合ったことが無い。

 話は横にそれるが、"domestic duck" の "domestic" は「家畜化された」という意味。"domestic" という単語は、"domestic violence" (家庭内暴力)、"domestic flight" (国内便)、などと良く使われる単語なので覚えておくと良いが、一対一で対応する日本語の単語が無いために、後ろに付く名詞しだいで言い換えなければならないので要注意。「英会話は心の中で日本語に訳している限りはうまくなれない」と良く言われが、"domestic" はそのまま覚えた方が効率が良い見本みたいな単語だ。

 duck に話を戻すが、公園などで誰かが "duck!" と叫んだら、それは、「危ない、よけて!」という意味なので、頭を手でかばった方が良い(フリスビーとかボールが誤って人に向かって飛んだ場合などに使われる)。この場合の duck は、"頭を下げてすばやくよける" という意味の動詞である。

 ところで、なぜ duck が「頭を下げてすばやくよける」の意味になったかが良く理解できる場面に遭遇したことがある。川辺を歩いていると、私のすぐ横を鷹が急降下して行く。その先を見ると、小鴨を5匹ばかり連れた鴨が水に浮かんでいる。小鴨を狙っているのだ。どうなることかと見ていると、鷹がつめを伸ばしてを水面すれすれに近づいたタイミングに合わせて、小鴨たちが一斉に、それも一瞬だけ水に潜ったのだ(まだ、長くは潜れないらしい)。まさに、duck が duck する瞬間を目撃したのだ。その後、鷹は、さらに3回ほど急降下攻撃を繰り返したが小鴨たちは毎回じょうずに duck し、鷹の餌食にはならずに済んだ。


夜明けの訪問者

Wild_animal  今朝、いつものように早起きをしてメールのチェックをしていると、家のすぐ外で何やら小動物の動く気配がある。大きさは小型の猫ぐらいだが、妙に足が長い。どっちかというと、犬かキツネに近い。それも三匹もいて、楽しそうにじゃれあっている。明らかに子供である。

 あわてて窓ガラス越しに写真を撮りながら気が付いたのだが、裏の緑地帯に住むコヨーテに子供が生まれたに違いない。最近、どうもにぎやかだと思っていたが、子供が生まれていたのだ。

 この大きさのコヨーテが巣から遠く離れて歩き回るとは思えないので、たぶん巣が家のすぐ裏にあるのだろう。何かとっても得をした気分だ。これからもたぶん時々遊びに来てくれるだろう。早起きが楽しみになりそうだ。

 ちなみに、コヨーテが家の裏に住んでいると聞くとどんな田舎に住んでいるのかと思うかも知れないが、私の家はシアトルの中心から車で30分弱の距離にあるレドモンドという住宅地である。レドモンド市にはマイクロソフト本社があり、私の家からもわずか5分である。そんな所でありながらコヨーテが住める森が住宅地の真ん中にあるのがレドモンドの良いところだ。


Arestin - 歯周病の新しい治療法

Arestin  久しぶりに歯医者に行った。私の医者は、新しい治療法を積極的に取り入れるので、毎回どんな治療法を仕入れたのか聞くのが楽しみだ。今や「電動歯ブラシ」の代名詞になってしまった Sonicare を広く知られる前から紹介していたのもこの医者だ。

 今回、その医者が新しく導入したのが、歯周病の新しい治療法 Arestin。マイクロカプセルに詰めた抗生物質を歯と歯茎の間に注入することにより、歯周病の原因となっている菌を約21日間、集中的に抗生物質攻めにするという手法だ。内服では副作用が多すぎて使えず、塗り薬としても使えなかった抗生物質をマイクロカプセルを利用することにより口の中で使えることを可能にしたすぐれものだ。

 ただ一つだけ問題がある。今までは、「歯周病がひどくなると手術しなければいけないんですよ、ちゃんと磨いて下さいね」と言う医者の言葉に重みがあったので、その後は数週間だけでも懸命に歯を磨いていた私だが、この新しい治療法を知ってしまった私には、もうその言葉は通用しないのだ。


個室露天風呂気分で入浴

041004_073909 「個室露天風呂付きの部屋のあるホテルが好き」と言う事は以前にも書いたが、家族もシアトルに戻って来てしまったので、なかなか行く機会がない。

 そこで仕方がないので、家の風呂場の窓を開け放って入浴(シアトルの夏は9時過ぎまで明るい)。ちょうど向かい側に緑地帯があるので、眺望山荘ほどの絶景とはいかないが、結構楽しめる。

 ちなみに、この家は pre-sale (=「建築前の建売住宅」)で買ったのだが、風呂場だけにはこだわって改造してもらった。「肩までつかれる湯船が欲しい」とわがままを言って、建築事務所の人にずいぶん苦労をかけて探してもらったのだ。

 ちなみに、入浴剤は花王のバブ。アメリカ製の入浴剤(bath salt)を幾つか試したが、今ひとつだ。やはり入浴剤は日本製に限る。


恋の連立方程式、「パートナー探し」の最適化アルゴリズムに関する一考察

050619_094709 「自分にできるだけ相応(ふさわ)しいパートナー」を見つけることは、我々人間にとって、人生の最も重要なのテーマの一つでもある。しかし、そのプロセスである「恋愛」や「お見合い」に関して、なぜか今までシステマティックな考察がされて来なかったように思える。そこで、今回はその「パートナー探し」のプロセスをモデル化・数値化することにより、最適なアルゴリズムを見つけようと思う。

 まずは、「自分にできるだけ相応しいパートナーを探す」というあいまいな問題を、もう少し明確にモデル化された問題に単純化する。もちろん、単純化するとはいえ、あまり現実とかけ離れていては役に立たないので、現実味を壊さない程度の単純化を行う。

[モデル化された問題]
 結婚適齢期の女性が、これから10人の男性と順番にお見合いをして、その中から結婚相手を見つけることにしたとする。相手の意思は無視して良く、「この人と結婚したい」と宣言した時点で結婚できるものと仮定する。ただし、順番に一人づつしか合うことしかできず、今合っている人を「パス」しなければ次の人に合うことが出来ない(「ふたまた」禁止)。また、一度「パス」した人に戻ることも出来ない(「後戻り」禁止)。この条件でその10人のうちの誰かと必ず結婚しなければならないと想定した場合に、最適な戦術を求めよ。 

 これでかなり、問題として扱いやすくなった。次に、数値化のために、以下の条件を加える。

[数値化のための条件]
 お見合いで男の人に合うたびに、お見合いおよびその後のデートなどにより得られる容姿・性格・収入・家族構成・自分との相性などの情報を基にして、相手に100点満点で点数を付けることが可能だと想定する。その際、0点から100点まで、どの点数の人も同じような確率で現れるように採点する(均等分布)。この条件で先の「モデル化された問題」を与えられた時に、選ぶ結婚相手の点数の『期待値』を最大にすることこそが、最適な戦術であると規定する。 

 複雑な証明と計算式を後回しにして、この条件下での最適なアルゴリズム(手順)を書くとこうなる。

[最適なアルゴリズム]
・お見合い1回目→相手が85点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い2回目→相手が84点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い3回目→相手が82点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い4回目→相手が80点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い5回目→相手が78点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い6回目→相手が74点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い7回目→相手が70点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い8回目→相手が63点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い9回目→相手が51点以上なら結婚する、それ以下なら断る
・お見合い10回目→目をつぶって結婚する

 こうすることにより、期待値を約86点までに引き上げることができるのだ。

 このアルゴリズムは「ふたまた」と「後戻り」は禁止、かつ必ず結婚しなければならない、という条件下であれば恋愛結婚にも応用できる。その場合、最適なアルゴリズムは、

・たとえ今付き合っている人と別れたとしても、あと9回ぐらい恋愛する体力・気力・年齢的な余裕がある
 →今付き合っている相手が85点以上なら結婚する、そうでなければ別れる。
…(中略)…
・たとえ今付き合っている人と別れたとしても、あと2回ぐらい恋愛する体力・気力・年齢的な余裕がある
 →今付き合っている相手が63点以上なら結婚する、そうでなければ別れる。
・今付き合っている人と別れたとすると、年齢的に考えても、その次の恋が『最後の恋』だと思う
 →今付き合っている相手が平均点以上と思えるのなら結婚する、そうでなければ別れる。
・これが『最後の恋』→何がなんでもその人と結婚する。

となる。

 ちなみに、最適なアルゴリズムを使ったとしても、期待値を90点にするには15回の、期待値を95点にするには34回のお見合い(もしくは恋愛)をしなければならない。つまり、「あまり高望みはしない方が良い」と言う事が、初めて数学的に証明されたことになる。

 このアルゴリズムを思いついた時には、「これで何か商売が出来ないか」という邪悪な考えが一瞬心に浮かんだが、全人類の幸福を優先し、ここに公開することとした。ぜひとも、結婚適齢期の人たちにはこのアルゴリズムを活用して『最適なパートナー探し』に活用していただきたい。ただし、それによって「婚期を失う」などの結果になったとしても、私は一切責任を負わないので、そこだけは了承して自分なりに判断して行動していただきたい。

[参考文献]
浮気で生みたい女達 竹内久美子著
BC!な話―あなたの知らない精子競争 竹内久美子著
アルゴリズムの設計と解析 A.V.エイホ
東京ラブストーリー 柴門ふみ
パンツをはいたサル 栗本慎一郎

【付録:アルゴリズムの解説】
 これからk回のお見合いをする場合の最適なアルゴリズムが既に分かっていると場合、その期待値をF(k)とする(ただし満点を100ではなく1とする)。するとその一回前のお見合いにおいては、相手の点数がF(k)未満の場合には、「パス」することが(その場合の期待値はF(k))、そうでない場合は「その相手と結婚する」ことが最善の手である(その場合の期待値は(1+F(k))/2)。可能性は、それぞれF(k)、(1-F(k))なので、

 F(k+1)= F(k)*F(k) + (1+F(k))/2)*(1-F(k))

となり、これを整理すると

 F(k+1)=(1+F(k)*F(k))/2

となる。それに、「最後のお見合いではどんな相手でも必ず結婚しなければいけない」ので、その期待値はおのずと平均点の0.5点となる。

 F(0)=0.5

この二つ並べて書くと、

 F(0)=0.5
 F(k+1)=(1+F(k)*F(k))/2

となる。これを「恋の連立方程式」と呼ぶ。後は電卓を使い、F(k)を順番に求めて行けば良い。

 F(0)=0.5
 F(1)=0.625
 F(2)=0.695
 F(3)=0.742
 F(4)=0.775
 F(5)=0.800
 F(6)=0.820
 F(7)=0.836
 F(8)=0.849
 F(9)=0.861
 …

この0.5から始まる数字の列を、「恋愛数列」と呼ぶ。この数列は認知度も応用範囲はまだ「フィボナッチ数列」などにはまだまだかなわないが、今後研究が進むにつれ、そういったものもどんどん広がると期待されている。もしこのブログを読んだ方で動物行動学を専攻されている人がいたら、ぜひともこの数列が動物の生殖に関わる行動に現れているか、などの実験をしていただきたい。


Mr. & Mrs. Smith

Mr_and_mrs_smith  息子が中学の卒業パーティーに出かけてしまったので、久しぶりに夫婦で、先週末から公開が始まった「Mr. & Mrs. Smith」に行く。

 アクション映画好きのカップルのデート・ムービーとしては最高。若干設定に無理があるものの、そんなことは気にならないぐらいユーモアとアクションにあふれた、典型的な娯楽映画。とにかく楽しめた。

 映画に何を求めるかは、人それぞれ異なるが、私としては、この映画のように軽い娯楽作品が一番安心して楽しめる。現時点で、今年一番のお勧めだ。

 ちなみに、映画の筋とは関係ないが、こんな会話が夫婦の間で交わされる。

妻「カーテン取り替えたのに気が付いた?」
夫「え…」
妻「どう、いい色でしょ」
夫「いや、あの…」
妻「嫌いだったらはっきり言って、取り替えて来るから」
夫「…き、嫌いだ」
妻「毎日見てれば慣れるわよ」

 このシーンを見て「なんかこんな会話を最近したばかりだ」とデジャブ感覚を覚えた私であった。

[追記]
 ちなみに、世界各地での公開日を見ると、基本的には6・7月に全世界でほぼ同時公開だが、日本とイタリアだけが不思議なことに12月公開だ。私なりに理由を推理してみた。

『配給会社としては、かなり本気でヒットさせる気になっており、そのためには、主役二人(もしくはどちらか)が、公開前に日本に前宣伝のために来る必要がある。そこで二人のスケジュールに合わせて公開日を決めた。』

 この推理があたっているかどうかは、12月になって見れば分かる。