元MSエンジニア、ついにマックを買う
2005.06.13
つい先日、「私がWindows95に書いたコードは40年間も使われ続けるのだろうか?」とセンチなことを言ったばかりの舌の根も乾かないうちに、こんなことを言うのも気が引けるが、ついに Mac mini を買ってしまった。妻が主に使っていたキッチン・パソコンが壊れてしまったので、それの代わりである。
今まで、パソコンを買う段階で Windows パソコンにしようか、Mac にしようか悩んだことはなかった。マイクロソフトで働いていた時は当然だが、その後も、常に、疑問の余地無く「Windows パソコンが良いに決まって」いたのである。
しかし、今回の買い替えに際しては、初めて「Windows パソコンでも Mac でもどちらでも良く」思えたのである。理由を自分なりにまとめてみた。
1.キッチン・パソコンの主な役割はインターネット、メール、音楽、写真である。
2.パソコンの購入後にアプリケーションをインストールすることはまず無い。
3.周辺機器はプリンターしか使わない。
4.そんなパソコンのOSははっきり言って「ちゃんと動けさえすれば何でもOK」。
以前にも書いたことがあるが、パソコンがここまでコモディティ化してしまうと、オペレーティング・システムとかCPUとかは、ちゃんと動けさえすれば「何でもOK」になってしまうのである。そうなると、家電と同じく、消費者は値段とかデザインだけで決めるようになる。
そんな見方で、世の中にあるパソコンをすべて横に並べて考えた結果、「静かで、小さくて、かわいい」 Mac Mini が我が家のキッチンには一番合っているように思えたのだ。実際にキッチンのデスクにセットアップすると、場所も取らないし見栄えもとっても良い。使い勝手も Windows と大差ないので、妻もすぐ使えるようになった。
しかし、私にはなぜ Sony が出井さんの時代に Apple を買収しなかったかが理解できない。あの時期に、なまじ Vaio パソコンや Clie がそれなりに成功してしまったのが良くなかったのだろうか?今の Sony に必要なのは、パソコン・AV機器・インターネットの3つをうまく融合させる戦略しか無いと私は思っているが、キーとなるパソコンのOSをマイクロソフトに握られている限り主導権は取れない。
今からでも遅くないので、Apple を買収し、「Mac ユーザーには Sony のAV機器」、「Sony ファンには Mac」という徹底的な囲い込みブランド戦略に出て欲しい。iTune をソニーのデジタル・コンテンツ戦略の中心に置き、音楽だけでなく映画、ミュージック・ビデオ、カラオケなどの配信も始めるのである。Mac が Sony 製のAV機器とインターネットとの間を繋ぐゲートウェイとなり、Sony製のフラットTVがメディア・センターとなる、というシナリオである。
キッチンに据え置きマシンですか?
我が家(妻用)は、キッチンはノートPCにしています。理由はキッチンに常備してマッチするモニタが見つからなかったからです。LCD TV というオプションもかなり惹かれているのですが、値段が下がるのを待っている所です。
Posted by: shun | 2005.06.13 at 23:14
>キッチンに据え置きマシンですか?
するどい突っ込みですね。実は前のパソコンはノートだったのですが、すぐノートだと息子がどこかに持っていってしまうので、あえて据え置きにしました。「持ち運べない」というのもシナリオによっては利点なんです。
Posted by: satoshi | 2005.06.13 at 23:21
その囲い込みで幸せなのはMacとSonyだけでしょ。
ユーザーはいつものとおり蚊帳の外。
なんてゆーのは、定番の批判ですよね。
むしろ、囲い込みを望む声に新鮮さを感じました。
Posted by: 通りすがり | 2005.06.14 at 08:54
>むしろ、囲い込みを望む声に新鮮さを感じました。
コメントありがとうございます。確かに一般的には囲い込みはユーザーのためにならないと言われていますが、熱狂的なアップル・ファン、ソニー・ファンは、実はその囲い込みそのものに強い心地良さを感じているのではないか、と私は解釈しています。特に家電に関しては、オープンから来るメリットより、オープンさゆえの不便さや不安定さのデメリットの方が大きいのではないかと考えています。
Posted by: satoshi | 2005.06.14 at 09:26
確かに、SONYがAPPLEを買収するという戦略オプションはよい手ですね。ゼロサムゲームからプラスサムゲームになる可能性もありますしね。
出井氏時代にアップルを買収しなかったのは、ハードに対する思い入れでしょうか。ソフトに関しては買収しても、ハードは自前でやるという自負があったのかもしれません。それと、80年代前半の失敗を経てやっと立ち上げてきたので、現場ではVAIOに対するこだわりがあると思います。かつての失敗がトラウマになっているのか、一時の成功体験から抜けきれないのか、このどちらかか、あるいは両方の要素もあるように思います。
ソニーには大きな戦略を巧く描くトップと参謀が必要でしょうが、風通しは良くなったのでしょうか?
Posted by: asktaka | 2005.06.14 at 14:47
確かに「ハードは自前でやる」というカルチャーがソニースピリッツである、と言う見方をすれば、こんな買収は難しいのかもしれませんね。しかし、「同じカルチャーを持った人たちを仲間にする」という見方をすれば納得できるような気もしますが…
Posted by: satoshi | 2005.06.14 at 15:33
盛田さんが、89年にコロンビア・ピクチャーズ(現ソニー・ ピクチャーズエンタテイメント)の買収を強行しなければ Appleとの資本提携が決まるところだったという話は有名ですよね。
ただ買収ってどうなんでしょう。やっぱりAppleはSteve Jobsという強烈なカリスマがトップにいるからここまで躍進しているのだと思います。Jobs も Sony 好きみたいだし技術提携くらいが一番いいんじゃないでしょうか。
Posted by: うっちー | 2005.06.14 at 22:37
確かに、むりやり買収する必要もないですね。技術提携でも良いとは思います。ただし、単なる技術提携だと Apple に主導権を握られそうなので、資本提携付きの技術提携あたりが落としどころでしょうか。
Posted by: satoshi | 2005.06.15 at 05:33
これに関連して
↓
http://pcweb.mycom.co.jp/column/osx/138/
Posted by: AC | 2005.06.23 at 10:18