101回目の開眼
Cellの真価を引き出すソフトウェア実行環境を開発

奥田英雄のサウスバウンド

050725_095145  前回日本に行ったときに発売されたばかりの初版本を買い求めてきた奥田英雄の「サウスバウンド」。「寝る前に数ページ読んでは沈没」方式ではなかなか進まないので、週末を利用して一気読み。

 直木賞受賞作の「空中ブランコ」に伊良部一郎というハチャメチャな精神科医を搭乗させて楽しませてくれた奥田氏だが、この作品にも、期待を裏切らずに、元過激派の上原一郎という一味違うハチャメチャさを持つ主人公を搭乗させてくれた奥田氏には脱帽である。

 原則として小説はSFとミステリーしか読まない私がなぜ岡田氏の小説を好きかなのかを自分なりに解釈してみると、やはりその主人公の魅力に尽きると思う。私自身、まわりの人たちには、マイペースだとか、過激な発言をする奴だと思われているようだが、彼の小説の主人公と比べればかわいいものだ。伊良部一郎や上原一郎の奇行を描いた小説を読みながら、「私ももっと暴れていいのかも知れない」と結構本気で思ってしまう私である。

 技術にしろビジネスにしろ、常識だとか他人の目だとかを気にして行動していては、決して新しいものは生まれない。むしろ、常識をうたがってかかって、他人からは「奇行」と言われるぐらいのことをしてこそ、ブレークスルーが起こるのだ。しかし、実際に「奇行」をするにはそれなりの勇気とエネルギーが必要であり、そんな時に良い糧になってくれるのが奥田氏の小説である。

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