二重虹(ダブルレインボウ)
2005.08.15
シアトルはここのところさわやかな快晴続きでとても気持ちが良い。昼間の気温は30度近くになるのだが、湿度がとても低いし、朝晩は冷え込むのでとても過ごしやすいのだ。亜熱帯と呼びたくなるような気候の日本から戻ったばかりなので、その差が際立って感じられる。
左の写真は週末に偶然撮影した二重虹。庭に水を撒きながら、「どうやったら虹が見えるのかしら」と見当違いの方向に水を撒いている妻に、「太陽を背にして水を撒くと、自分の頭の影を中心に虹ができるんだよ」などと得意の理科系うんちくを展開しながら、ポケットに入っていた(シアトルではデジカメの役目しか果たさない日本の)携帯電話で撮ったのがこの写真。撮影中には気がつかなかったが、写真には外側の虹(副虹)が写っている。狙って撮影したわけでもないので、何か儲けた気分だ。
ちなみに、内側の明るい方の虹を主虹(しゅこう)と呼び、赤が外側で紫が内側である。一方、外側の暗い方の虹は副虹(ふくこう)と呼ばれ、赤が内側で紫が外側である。色の順番が逆になるのは、主虹の光が外から内側に向かって曲がりならが水滴の中で一回だけ全反射して目にとどくのに対して、副二次の光が水滴の中で入射光とクロスする形で二回全反射して目にとどくため屈折の方向が逆になるためである。
ところで、写真でもはっきり分かるが、二つの虹の間が他の部分より若干暗く見える。これは、屈折と反射の関係で光の粒から反射してくる光が全く無い部分で、「アレキサンダーの暗帯(Dark Alexander Band)」というりっぱな名前が付いている。Alexander of Aphrodisias というアリストテレス学派の哲学者が最初にこの現象を指摘したため(科学的な説明が付いたのはずっと後のこと)、こう呼ばれるそうである。「彼の生きていた時代(紀元2~3世紀)には、肉眼で見える身近な現象を『指摘』するだけで、自分の名前を付けられたのか~」などと少しうらやましく思ってしまった私である。
[参考文献]
Y.AYA's Garden
The Rainbow and the dark Alexander Band
[追記]
読み直しをしている時に気がついたのだが、Google AdSense がこの記事に合わせて見つけてきたのが、「日焼けした畳が蘇る」という畳クリーナーと、「太陽光発電表示装置」の広告。「虹」というキーワードだけで、引っ張ってきたのだろうか、なかなかするどい。
とても綺麗に撮れた画像ですね!
子供の頃、夏休みになると意味もなく庭に水を撒いて母にしかられていたMeigaraです。
久米島から沖縄本島への飛行機に乗っているとき、海を見下ろしていたら完全に円形な虹が見えたのを思い出しました。局所的に雨が降っていたのが原因で見えたらしく、妻に「完璧な虹が見える」とみせてあげようとしたらもう消えていました。はかなさがいいですよね。
そんな私が一生かかっても見れそうもないのはブロッケン現象でしょうか…
Posted by: Meigara | 2005.08.16 at 05:43
ブロッケン現象について、少し調べてしまいました。
http://www.geocities.jp/kockspages/kouzan/phenomena.html
によると、山登りをして、太陽を背にして、自分の影を雲や霧に写すようにすれば見れる可能性が高いようですね。霧の発生している池などに橋の上から自分の影を写すのも良いようです。シアトルでは、霧はよく発生するので、霧が出ていて晴れた日をねらって、「ブロッケン現象の撮影」にチャレンジしてみたくなりました。
Posted by: satoshi | 2005.08.16 at 22:36