いかにもアメリカらしい石油危機の対処法
2005.09.29
ハイブリッド車を含めた低燃費車の開発では日本に大幅な遅れを取っていたアメリカだが、ここ数ヶ月の石油の値上がりを受け、ついに眠れる巨人が立ち上がる時がやってきたようだ。しかし、それは「GMがトヨタに対抗して独自のハイブリッド車を開発する」だとか、「政府が電気自動車の普及のために助成金を出す」などと言った中途半端なものではない。
答えはいかにも『キャピタリズムの聖地アメリカ』らしく、「代替燃料ビジネスに対するベンチャー投資」である。VC(ベンチャー向けの投資会社)の動きに敏感な知り合いから仕入れた情報だが、ガソリンの小売価格が1ガロン3ドルを超えたのを受け、VCのお金がついに大きく動き始めたらしい。特に注目を集めているのがバイオディーゼル(biodiesel)らしく、彼の知り合いにも一人IT企業を辞めてバイオディーゼルのベンチャーを立ち上げた人がいるそうだ。
その起業家は、遺伝子工学の最先端の科学者を集め、最新の遺伝子工学で改良を施した植物油の取れる作物(たとえばトウモロコシ)を米国中西部にあまっている広大な土地を利用して栽培し、バイオディーゼルとして石油より安く販売するビジネスモデルで会社を立ち上げたそうだ。人間が食べるわけではないので、遺伝子は改良し放題だし(!?)、人体に悪影響のある農薬だろうと化学肥料だろうと思いっきり使えるので、今よりも数倍の出来高は実現できる見込みだと言う。
アメリカの中西部に地平線見渡す限りの無人のトウモロコシ畑が広がり、そこには遺伝子改良によりいびつに巨大化したトウモロコシがなっており、それを巨大なトラクター型ロボットが収穫しているという姿を想像して欲しい(^^;)。SFじみた話だが、このストーリーを買って資金を入れた投資家がいるというところがアメリカのすごさである。
今までは、「人類は2040年ぐらいまでに地球上の石油を全部使ってしまうらしいが、その後はどうするのだろう」と結構心配になっていたが、こんな桁外れのベンチャー企業を立ち上げる起業家がいて、かつそこに資金を提供する投資家がいる限り何とかなってしまいそうな気がしてきた。キャピタリズム万歳!
【追記:参考文献】
作物による植物油の収量と特徴