「パソコンのコモディティ化」に向けて着実な手を打つアップル
2005.10.10
今日、愛車にiPodアダプターを取り付けてもらった。工賃も含めて320ドル(約3万2千円)である。本体価格が250ドルのiPod nanoを繋げるアダプターに320ドルもかけるのはどうも不合理に思えるが、どこに行くにも車を使う私としては、「iPodなライフスタイル」を最大限に楽しむには避けることの出来ない必要経費だ。
2006年度にアメリカで販売される車の30%にはiPodアダプターをディーラーオプションで搭載することができる(参照)とのことだが、それすなわち、iPodがデファクト・スタンダードとなりつつあることを意味する。本来ならマイクロソフト主導で、USBインターフェイスのオープンな業界標準でも作るべきだったのだろうが、iPod独自のインターフェイスがデファクトとなりつつあるために、それに繋がる唯一のデバイスであるiPodもデファクトになってしまうのである。BMWとのパートナーシップをテコにしたアップルの巧みな戦略に脱帽である。
ちなみに、日本ではセブンイレブンがiPodを売るという。国ごとに異なるライフスタイルにマッチしたマーケティング戦略がきちんと打てるところがすばらしい。アメリカでは車、日本ではコンビニ。MBAのケーススタディの格好な題材になりそうだ。
考えてみると、今年に入ってから私の一家にはアップル製品が増えた。カリフォルニアに住む長男の分を入れると、一家4人にMacが2台、iPodが3台である。去年までは全てのパソコンがWindowsで一台もアップル製品が無かったことを考えると、ものすごい変化だ(参照)。
この変化が我が家だけの特殊な現象か調べるために、米国アマゾンのベストセラーリストをチェックしてみた。10月10日(月)の朝のチャートはこんな感じである。
パソコン:ベスト5のうち3つ、ベスト25のうち8つ
1位 Apple iBook Notebook 12.1" M9846LL/A
2位 Apple iBook Notebook 14.1" M9848LL/A
5位 Apple iMac G5 Desktop with 20" M9845LL/A
パソコン周辺機器:ベスト5のうち3つ、ベスト25のうち8つ
1位 Apple 4GB iPod Nano Black
2位 Apple 20GB iPod M9282LL/A
3位 Apple 2GB iPod Nano Black
パソコン周辺機器の部門でiPodが上位を占めていることは予想通りだが、パソコン部門でまでも上位を独占していることは驚きだ。今年になって我が家でおきたアップル製品へのシフトは決して例外的なものではないようだ。
パソコンが普通の人々に普及し、「さまざまなアプリケーションを走らせることのできる汎用コンピューター」から、「インターネットとメールにアクセスできて、音楽や写真が管理できる家電」に変わりつつある今、『Windowsパソコンでなければならない理由』はだんだん見つけるのが難しくなって来ている。1995年に始まったインターネット革命が10年かかってやっともたらしてくれた「パソコンのコモディティ化」の勝者は、NetscapeやLinuxではなくアップルだと、あの当時に誰が予想できただろう…
こんにちは。
ソフトがハードを決める、じゃないですけど
パソコンとOSがコモディティ化したら、
パソコン周辺機器やネットサービスが
使うパソコンを選ばせそうですね。
アップルがipodと、電子ペーパーを制すれば
画像と音声関連は抑えれますから
それで、勝てるんじゃないかと思います。
電子ペーパーって、既存の紙メディアに
とっても脅威ですけど、それ以上に
プリンタ事業にとって脅威なんですよね。
HPは、あんまし強力に電子ペーパー
推進してないみたいですが、平気なのかな。
Posted by: pal | 2005.10.10 at 17:20
palさん、コメントありがとうございます。確かに、「パソコン周辺機器やネットサービスが
使うパソコンを選ばせる」ってことはあると思います。「アップルがipodと、電子ペーパーを制すれば…」って結構面白いテーマですね。少し考えてみます。
Posted by: satoshi | 2005.10.10 at 17:26
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/20040722101.html
I-podの誕生秘話を読むと、ジョッブズCEOが最初の段階から全力投球していたと。井深ソニーの逸話と共通しますね。
Posted by: snowbees | 2005.10.11 at 02:11
snowbees さん、興味深い記事へのリンクありがとうございます。こんな誕生秘話があったんですね。確かに、iPod+iTunes のアイデアはベンチャー企業にぴったりのアイデアですね。それを社内に取り込んで、社運を賭けた戦略にして、かつ、成功させてしまったんですね。
Posted by: Satoshi | 2005.10.11 at 07:27