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AP通信、「日本、iPod課金中止に決定」と報道

051127_075350  アップル関係の記事をつらつらと読んでいたらたまたま見つけたのがこの記事。

 Japan Abandans 'iPod Tax' idea (日本、iPod課金中止)

 木曜日(たぶん12月1日のこと)に開かれた審議会で、「違反をどう監視するかについて意見をまとめられなかった結果、デジタル・ミュージック・プレーヤー向けの課金を導入することはあきらめた」と報じられている。

 「これは日本でも大騒ぎになっているに違いない」と、CNET Japan、ITMedia などをチェックするが、不思議なことにどこもまだ報道していない。

 AP通信が誤報をするとも思えないので、たぶん日本のマスコミが追いついていないのだろう。念のために文部科学省のホームページを調べてみると、確かに第10回の審議会は12月1日に予定されている(参照)。

 会議は日本時間の13:00までを予定しているので、終わったばかりだ(今、日本時間の14:30)。一時間半で、AP通信の人が英語で報道し、それを米国のYahooがネットに英語の記事としてアップし、それをシアトルに住む私が読み、このブログのエントリーとして書いているわけだ。世界は狭くなったものだ。

 ということで、日本のマスコミを出し抜いてのすっぱ抜きブログ・エントリー。CNetに勝ったぜ!(って対抗意識燃やしてどうすんの?)


「滝川クリステルジェネレータ」で遊んでみた

Takigawa_1 以前に「Google Map API で早速遊んでみた」というエントリーを書いたのだが、この業界で働いている限り、この手の「新しいもの楽しいもので遊ぶ気持ち」はものすごく大切だと思う。

 そもそもブログを書き続けているのも楽しいからだし、はてなのブックマークで遊んでいるのも、Podcastを作ってみたのも、「勉強になるから」というのは表向きの言い訳にすぎず、本当のところは「楽しいから」である。

 考えてみれば、この業界に入ったのも、決して「ソフトウェア・エンジニアになろう」という志を持っていたわけではなく、単に「プログラミングが楽しくて仕方がないから」というだけの理由でプログラムを書いているうちに、いつのまにかそれを生業としてしまっただけのことである。

 大学を卒業したときに、一旦、「教授の推薦するままにNTTの研究所に行く」という間違いをおかしたのだが、その過ちにはすぐに気が付き(研究所ではプログラムは書かせてもらえない)、「たくさんプログラムを書かせてくれそうな」マイクロソフトに転職する決断をするのはとても簡単だった。民営化したばかりでマスコミからも注目を受ける天下のNTTから、86年当時はまだ将来がどうなるか分からないベンチャー企業だったマイクロソフトに転職しようという私は、上司や教授の目には「とんでもないうつけもの」に映ったに違いない。

 後になって、「86年当時にマイクロソフトに目を付けるとは、先見の明がありますね」と人に言われたことが何度もあるが、実はマイクロソフトに将来性があるかどうかなどは一切考えずに、単に「たくさんプログラムを書かせてくれそうだから」マイクロソフトに転職した私がいただけのことである。

 前置きが長くなってしまったが、そんな私の「遊び心のツボ」を刺激してくれたのが、この「滝川クリステルジェネレータ」。頭の固い人には、「こんな著作権法をやぶっているかもしれないお遊びツールと、Google Map API を一緒にするな」と叱られそうだが、私にとっては全く同じ次元にある「遊びの道具」である。

 ちなみに、彼女が読み上げているのは、一作日のエントリーにも書いた、「UIEvolution の日本法人設立」のニュース。


北米の年末商戦を制するのはアップル、任天堂、キャノンか

051126_121336  先週の金曜日(11月25日)は"Black Friday"と呼ばれる、全米で一年を通してもっとも小売業の売り上げが高い日(Blackは、黒字の黒から来ている)。クリスマス・プレゼントのショッピングがこの時期にピークを迎えるのに加え、ほとんどのお店が休みになるThankgiving Dayの次の日ということが原因である。

 しかし、ニュース番組によると、ここ2~3年はアマゾンを中心とするインターネット小売業の躍進が目覚しく、「クリスマス・ショッピングはネットで」という人が急増している。面白いことに、去年のネットショッピングのピークは、通常の小売のピークよりも三日遅い、週明けの月曜日だったそうである。その番組では、「今年からはThanksgiving明けの月曜日をCyber Mondayと呼ぼう」と呼びかけていたが、定着するかどうかは疑問である。

 呼び名はともかく、今週の月曜日(11月28日)におけるインターネットでのベストセラー・ランキングを見れば、今年のクリスマス商戦の勝者を大方予想することが可能だ、ということである。そこで、早速 Amazon.com のエレクトロニクス部門のベストセラー25品目を調べてみた(11月28日、午後3時)。

1. Apple 2GB iPod Nano White
2. Gamecube Mario Party 7
3. Canon Powershot SD200
4. Gameboy Advance SP - Pearl Blue
5. CyberHome CH-DVD 300S
6. Apple 512MB iPod Shuffle
7. Microsoft Age of Empire 3
8. PS2 Star Wars Battlefront II
9. Canon Powershot A520
10. Viking 256MB Secure Digital Flash Card
11. Nintendo DS, Electric Blue
12. PS2 Madden NFL 2006
13. Apple 2GB iPod Nano Black
14. Sony PSP
15. Nintendogs - Labrador Retriever
16. Apple 30GB iPod White
17. iHome iH5 Clock Radio for iPod
18. GBA SP: Spongebob Bundle
19. ScanDisk 256 MB MP3 Player Red
20. Nintendo DS - Animal Crossing: Wild World
21. Sid Meier's Civilization IV Special Edition
22. ScanDisk SDSDB-1024 A10 1GB Secure Digital Card
23. Nintendogs - Dachshund
24. Nintendo DS
25. Canon Powershot SD400 

 予想した通り、アップルのiPodが4機種もランキングされている。携帯型音楽プレーヤーで他に唯一ランキングされているのが、ScanDiskの超安価版のみ。ソニーの携帯型音楽プレーヤーは陰も形もなく、アップルの一人勝ちだ。ちなみに、iPod関連機器として iHome iH5 Clock Radio for iPodが17位に。iPodの普及により一番ダメージを受けているのはAVコンポやAVシステムメーカーかも知れない。

 健闘をしているのが任天堂。ハードでは、DSが色違いで二機種、なんとGBA-SPが二機種。ソフトではGamecube用のソフトが一本、DS用ソフトが3本(そのうちNintendogsが2本)。

 日本ではDSに大きく水を開けられているソニーのPSPだが、米国ではしっかりと14位に食い込んだ。しかし、PSP用のソフトが一本もベストセラーに入っていないのが気がかり。ゲーム端末ビジネスは、ハードは赤字で売り、ソフトで資金回収をするものなので、これはあまり良い傾向では無い。DS用のソフトが3本、PS2用のゲームが2本入っているのとは好対照だ。

 デジカメで健闘しているのがキャノン。Powershotを三機種、しっかりとベストセラーに食い込ませている。キャノンがデジタル一眼レフ機で一人勝ち状態なことは知っていたが、コンパクトタイプでもこれほど強いとは知らなかった。


UIEvolution Japan の設立宣言。そしてもちろん、人材募集はGoogle Baseで。

051127_112555  今まで、私の会社(UIEvolution Inc.)は主に米国でのみビジネスを展開してきたのだが、携帯端末・ブロードバンドの普及率、今後2~3年で本格的に立ち上がると予想されるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス、ネットと繋がり始めるカーナビやデジカメ、などを考慮すれば、そろそろ日本でのビジネスを本気で立ち上げる必要があると判断した。特に、パソコン、携帯電話、セットトップボックス、カーナビ、ゲーム端末、携帯型メディアプレーヤー、などさまざまなデバイス・ネットワークにまたがった形でのパーベイシブ・アプリケーション(参照)という世界を実現しようとしている弊社としては、日本市場は絶好の実験場でもある。

 そこで、UIEvolution Japan(UIEJ)を設立することに決定した。ただし、通常のソフトウェア会社の日本法人のように、米国本社で作ったものを日本語化して日本で売る、という代理店的な組織を作るつもりは全くない。逆に、これだけネットワークが普及し、さまざまなデバイスがあふれかえっている日本だからこそ必要とされているアプリケーションやサービスを世界に先駆けて作る開発部隊を作りたいと考えている。

 私は何年も前から、「パソコンで遊んでいたオンライン・ゲームを、パソコンの画面から携帯電話に取り出してそのまま遊び続けることが出来るようなサービスを作りたい」と社員(アメリカ人)に言い続けているのだが、日本人のようなモバイル・ライフスタイルを持たない彼らにはなかなか理解してもらえない。こんなアイデアをいくら持っていようと、それをアイデアのままに留めておいては何の価値も生み出さない。そこで、そのアイデアを実際のサービスとして作る開発部隊を日本に持とうという発想である。

 UIEJのミッションは「ネットワークに繋がったあらゆるデバイスで動く、新しい形のエンターテイメント・サービス」を作り出すことにある。さまざまなデバイスが色々な形のネットワークに繋がり、一人のユーザーが複数のデバイスを通じてネットワークにアクセスすることが出来るようになった今だからこそ可能になった、新しい形のエンターテイメントを作り出して行くのだ。

 エンターテイメントと言っても、親会社(スクエニ)の得意とする3Dゲームは作るつもりは全くない。あえて親会社が得意としない、「ネットに繋がっているからこそ、複数のデバイスで動くからこそ面白い」部分で勝負するコンテンツを作ることに価値があるのだ。ゲーム業界全体が「イノベーションのジレンマ」に陥りつつある今、「最新のゲーム端末向けの、ハードウェアの性能をギリギリまでに引き出したコンテンツ作り」をあえて徹底的に否定したもの作りをするには別組織の方が良かろうという発想である。

 とは言っても、掛け声だけではビジネスは立ち上がらない。最も大切なのは人材である。そこで、UIEJの設立メンバーをこのブログを通して募集することにした。私がこのブログで何度も書いてきたように、ソフトウェアがすべてサービスとして提供され、コンテンツやアプリケーションが特定のデバイスにコピーされたりインストールされる時代から、本当の意味でユーザーに帰属する時代を実現するために一肌脱いでみたいという、「自分こそWeb2.0時代のスーパーエンジニアだ」と自負するようなエンジニアの方々にぜひとも来ていただきたい。

【募集要項】

 募集要項は、Google Baseを利用して人材募集ページを作ったので、そこの指示に従っていただきたい。そこにも書いてあるが、今まで書いてきたブログ、個人で運営しているウェブ・サイトなどは採用の際にかなり重視するので、ぜひとも積極的に利用してアピールしていただきたい。上から命じられたことをただ実行するだけの羊のような人よりも、頼まれもしないのに面白そうなサービスを勝手に作って立ち上げてしまうような一匹狼的な人こそ大歓迎である。「Web2.0的なもの作り」に関して幾つかエントリーを書いてきたが(参照1参照2)、そんな開発環境を与えられる組織を作りたいと本気で考えている。

【追記】
 Google Base へのエントリーが、一月で期限切れとなってしまうので、ご迷惑をおかけしている。別途に募集要項ページを用意する必要がある。それまでの間は、興味のある方は uiejapan(アット)uievolution.com まで連絡をいただきたい。履歴書だけでなく、ブログ、自分で運営しているウェブサイト、過去に作ったプログラムなどの情報も追加していただけるととても参考になる。新卒・中途のどちらでもかまわないが、とにかく「自分はプログラムを書くために生まれてきた」と思う人とか、「こんなサービスを作りたい」という強い意志を持った人を募集している。


Aクラスの人はAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる

051128_123229  連休のしめくくりは、DVD「The Incredibles」(日本での題名 Mr.インクレディブル)の鑑賞。Pixar の映画は全て見たと思いこんでいたのだが、これだけを見ていなかったことに「スティーブ・ジョブズ・偶像復活」を読んでいて気が付いて以来、見たくて仕方がなかったのだ。

 既に知っている人も多いかも知れないが、「The Incredibles」以前の Pixar の作品、「Toy Story」、「A Bug's Life」などは全て John Lasseter 自らが監督した作品。それを、あえて外部から Brad Bird を招き入れて作らせたのが 「The Incredibles」である。他の Pixar 作品と少し毛色が異なるのも納得できる。

 「スティーブ・ジョブズ・偶像復活」を読んでいて、この映画を見たくなった理由は、Brad Bird をこの映画のために Pixar に招き入れたことに関する Ed Catmull (Pixar)のコメントが目に止まったからだ。

"In all respects, we are looking for people who are better than we are, who do things that we don't do. You aren't looking for somebody who echoes what you're going to say." (p.313-p.314)
【意訳】「なんといっても、(Pixarでは)僕らより優秀な人、僕らがしないことをする人を探しているんです。自分が言うだろうことをそのまま繰り返すだけの人を見つけてもしかたがありませんよね。」

 私は、この「自分より優秀な人を採用して会社を強くする」という発想が大好きだ。米国のVC(ベンチャー・キャピタル=ベンチャー企業専門の投資家)が起業家たちに良くするアドバイスの一つに「Aクラスの人はAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる」という格言(一流の人は、一流の仲間を増やして良い仕事をし、かつ自分を伸ばすことを重視するが、二流の人はライバルを作らないように自分より能力が下の人を採用したがる、という意味)があるが、まさに「Aクラスの人がAクラスの人を採用」を実戦しているのが Pixar である。超一流の監督である John Lasseter が、あえて自分と異なる才能を持つ Brad Bird を仲間にすることにより、Pixar という会社を一層強いものにしたのである。Pixar がすばらしい作品を作り続けることができるのも確かに納得できる。


Happy Thanks Giving

 今週の米国は、Thanks Giving ウィーク。木曜日に家族とか友達が集まってターキー・ディナー(ローストした七面鳥を中心とした夕食)を食べるのがならわし。子供のころに見た「クリスマス・キャロル」でクリスマスに七面鳥を食べる場面を見て以来、クリスマス=七面鳥と完全に思い込んでいたのだが、米国に住むようになってそれが誤解だということに気が付いた。

 今年の Thanks Giving は、近所の家族を招いてホーム・パーティ。それぞれが食べ物を持ち寄る potluck という形式のパーティだ。ちなみに、七面鳥はホストの独断と偏見でチキンで代用した。やはりローストするのはチキンに限る。

 ちなみに、日本でも報道されたかも知れないが、パフィーが New York で催された Thanks Giving Parade に日本人として初参加。こちらのテレビでも放映された。鳴り物入りでデビューした松田聖子もウタダヒカルも完全に失敗した米国市場で、あの(けだるそうな)パフィーがしっかりと成功しているさまは、ある意味で痛快でさえある。

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Web2.0時代のリミックス文化は「21世紀のルネッサンス」

051113_011003  最近リミックス(Remix)という言葉を目にする機会が増えている。はてなダイアリーの辞書に、「楽曲制作で、完成された曲の録音素材をもとに、編集したり、新たに素材を加えたりして、別のアプローチからその曲を再構築すること。または再構築されたその曲のこと。」と書かれている通り(参照)、一般には曲にのみ適用される場合が多いようだ。

 しかし、リミックスという概念を、音楽に限らず、画像、映像、文章、ソフトウェア、なども含めた人間の創作活動全てに適用してみると、色々と面白いことが見えてくる。

1)既存の曲に画像や字幕をリミックスしたFlashアート(「恋のマイアヒ」、「もすかう」など)
2)他人のブログエントリーやニュースの記事を引用しつつ自分の意見をリミックスするブログエントリー
3)複数のプログラマーがそれぞれの変更・改良をコミュニティに還元するという形のリミックスで進化するオープンソース・プロジェクト
4)Google MapやAmazon Web ServiceというサービスAPIを元に独自のウェブ・アプリケーションを作るというサービス・リミックス

 もちろん、「インターネット以前」の時代にも人類は「学芸会」から「模写」まで色々な形のリミックスをしてきたのだが、以前と今の一番の違いは、「リミックス作品を一般公開することがものすごく簡単になった」ことである。これにより、他人のリミックス作品に触れる機会が爆発的に増え、あたかも核分裂の連鎖反応のように、「リミックスがリミックスを呼ぶ」現象が色々なところで起こっている。つい最近の、Google Mapを利用したウェブ・アプリケーション作りの連鎖現象が良い例だ。

 インターネットは、人類を今までに経験したことの無いほど強く創作意欲を刺激する状況に置いているのではないだろうか。16世紀に、イタリアという「場所」にアーティストや科学者達が集まって互いに刺激しあい、科学やアートに急激な進化をもたらせたと同じように、インターネットという「場」にさまざまな才能を持った人々が集まり、リミックス作品の一般公開という形でお互いの創作意欲を刺激し合うさまは、まさに「21世紀のルネッサンス」である。


ツインピークスの森でする霧の中のゴルフ

051120_050231  今週末のシアトル近郊の天気は「朝のうち霧、午後になって晴れ間も見えるでしょう」。冬場のシアトルは雨が多いのだが、たまに晴れると霧が出る。まさに、デビッド・リンチのツインピークスに出てくる「霧に包まれた針葉樹の森」を見ることが出来るのもこの時期だ。

 土曜の朝に目を覚ましてみると、確かに家の外は深い霧。雨は降っていないし、気温は摂氏4度。これなら十分ゴルフが出来る。

 先週末は準備不足でとても寒い思いをしたので、今回は下はチノパンの下スキー用のタイツ、上は、長袖のポロシャツ、セーター、フリーツのベストの重ね着、という重装備で出発。こんな日は、さすがの私でもオープンカーのフードは開けない。

 予定の9:30になっても霧は晴れず、そのままスタート。霧のせいで気温もなかなか上がらず、体がなかなか温まらないし、手袋をしていない右手がかじかむ。空中を飛んだ後のボールが氷の様に冷たくなるため、ゴムの弾力性が落ち、石のように硬い。ミスショットで芯をはずした時には手がジンジンする。

 前半の9ホールを回ったところで、霧が晴れるどころか濃くなってくる。視界は100メートルぐらい。こうなると、旗どころかグリーンすら見えないので、記憶に頼って打つことになる。ホームコースでなければ絶対に無理な芸当だ。

 結局霧は最後まで晴れなかったが、ゴルフクラブを18ホール担いで歩いていると体がポカポカしてくる。スコアはあまりまとまらなかったが(49+45=94)、心と体にとても良いことをしたような気がする。

 こんなことを書いていたら、またツインピークスが見たくなって来てしまった。ストーリーはちょっと異常だが(そこが好きな人も多いらしいが)、あの映像と音楽は天下一品だ。


ブログ用ミニアプリ: 第二弾、Sudoku

 ブログ用ミニアプリとして、「箱入り娘」を公開したのは今年の7月のことだ(参照)。その時には、シリーズ化して色々なミニゲームやツールを公開していこうという構想を持っていたのだが、その後が続かなかった。忙しかったのもあるが、読者の反応がイマイチだったのも原因である(このブログの読者層を考えれば当然ではあるが…)。

 しかし、最近になって季刊誌の編集者からブログ用アクセサリとして紹介したいという連絡が入ったり(12月下旬にインプレスから発売の「みんなのブログ Vol.6」に掲載される予定)、ブログパーツをさがせというサイトで紹介されてアクセスが増えたりと、突然「箱入り娘」が注目されはじめた。

 注目が集まるとがぜん張り切ってしまうのが人の常。まさに「豚もおだてりゃ木に登る」である。そこで、5ヶ月ぶりに第二段の公開に踏み切ることにした。今回のミニアプリは、日本発のパズルでありながら今年になって欧米で大ブレークをしている「sudoku」(日本では、「ナンプレ」とか「数独」という名で知られている)。

箱入り娘と同じように、以下の HTML コードをブログの適当な場所(例えばサイドバー)に貼り付けてもらうだけでよい。

<iframe marginwidth="0" marginheight="0"
  src="http://demo.uievolution.com/sandbox/satoshi/MiniApps/Sudoku.html"
  frameborder="0" width="150" scrolling="no"
 
height="180" style="FLOAT: left">
</iframe>

 ユーザーインターフェイスは、元々携帯用に作られたものなので、キーボードを前提としている。方向キーで操作するセルにカーソルを動かし、数字キー(ただし、1~5)を押して数字を置いていく。消したい時は0を押す。正しい答えにたどり着けば、"You've got it" と表示される。

 ちなみに、もしこのミニアプリを自分のブログやホームページなどに貼り付けた場合、トラックバックかコメントでそのことを知らせていただくとありがたい。そうすれば、もっと元気が出て、今度は5ヶ月も間を空けずに次のミニアプリを公開できるかも知れない。


新しい Microsoft を引き継ぐのは Ray Ozzieか?

051114_051902  「あれ、何か辺だな?」と思うことが幾つか重なり過ごしているうちに、あるとき突然ピタッと合わさったクロスワード・パズルのように「あ、なんだそうだったのか!」と思えることがある。昨日の夜、それを経験したので、今日のエントリーはその話。

 最初の「あれ?」は、今年の5月にMicrosoft が Groove を買収したときに、Ray Ozzie をCTOに任命したこと(参照)。Groove を買収することは納得できるとしても、なぜ突然CTOなんだ、と違和感をおぼえていた。

 次は9月の組織替え(参照)。Jim Allchin が引退したがっていることは3年ぐらい前から元Microsoft幹部の間では噂になっていたので驚きではなかったが、外から来たOzzie が一番将来性のあるサービスのリーダーシップを取ることになったのは、元Microsoftの私としては少し驚きであった。

 そして、今回のBill Gatesによる「サービス化の波に備えよ」というメモ(参照)。どうもいつものキレが感じられない。何も具体的なことには触れずに、「私はこのメールにRay(Ozzie)がまとめたメモを添付するが、これは10年前に私が書いたのと同じぐらい重要なものとして後に振り返られることになるだろう。」と書いている。いつもの Bill Gates らしくない。

 この違和感はしばらくほって置いたのだが、昨日になってやっと Ozzie のメモを読み(参照、申し訳ないが日本語訳は見つけられなかった)、突然全てが納得ができた。Ozzie はBill Gatesの後継者としてMicrosoft に迎え入れられたのだ。このメモを読むと分かるが、Ozzie はなかなかすばらしい。彼は、過去5年間に Google がサーチで、Skype が VoIP で成し遂げたことを、「本来なら Microsoft が成し遂げるべきだったもの」と具体的に指摘し、Office がインターネットの標準ファイルフォーマットにはなれなかったこと、RSS がデファクトになりつつあること、草の根的なスクリプト言語による rapid development の重要性などを、ものすごくストレートに述べている。Bill GatesとSteve Ballmerが、絶大なる信頼を寄せるのも納得できる。

 2000年近辺に Brad Silverburg や Ben Slivka といった主要なリーダーたちを失ってしまい(参照)、Windows と Office という巨大な「旧勢力」側のパワーゲームのために、絵に描いたようなイノベーションのジレンマに陥っていたのが、過去5年間のMicrosoftだった。あのままでは、Microsoftは変われなかったし、内部からBill Gatesの後継者も生まれなかったのである。そこで、Groove の買収という形で Ray Ozzie を迎え入れ、生まれ変わるべき Microsoft を託すことにした、と見るのが正しい見方なのであろう。