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Web2.0時代らしいエンジニアのクリエイティビティの引き出し方

051028_103551  Foxnews の "Lerning From Google" という記事を読んだ。特に目新しいことは書いていないのだが、その冒頭に書いてある、

The top executives at Google recently admitted that they kind of let their employees invent and develop whatever they think is cool and the company has no problem putting it online to see what happens.
【意訳】Googleの重役たちは、エンジニア自身がカッコいいと思うものであれば、何であれ(誰にも了解を取らずに)作ってしまって良く、会社としてもそれをそのままサービスとして公開してしまってユーザーがどう反応するかを試してみる、というやり方が全然かまわないと思っていることを、最近公に認めた。

という文に目が止まった。何気ないステートメントだが、実はこれこそがGoogleをこれほどGoogle内外のエンジニア達にとって魅力的にしている一番の理由ではないだろうか、と思った。

 エンジニアのクリエイティビティを最大に引き出すには、彼らが作りたいと思うものを作らせるのが一番なのは当然なのだが、従来型のパーケージ・ソフトのビジネスモデルの会社にとっては、それを商品開発戦略の中核に置くことはどうしても難しかったのである。

 一番の障壁がマーケティングと流通のコストである。どんなソフトウェアであれ、パッケージ・ソフトの存在を多くのユーザーに告知し、それをユーザーのマシンにまで流通させるには相当のコストがかかる。それを考えると、エンジニア達が思いつきで作った売れるかどうか分からないソフトウェアをそういったコストをかけて流通させるのは、あまりにもビジネスリスクが高いのである。それに加えて、「ソフトウェアをユーザーのパソコンにインストールしてから走らせる」形で使われるパッケージ・ソフトは、アップデートを届けるにもそれなりのコストがかかるため、「リリース前のテスト」にコストをかけざるをえなく、それがさらにビジネス・リスクを高くする。

 もう一つの問題はビジネス・モデルである。パッケージ・ソフトはユーザーに買ってもらってこそビジネスになるのだが、「お金を払ってまで手に入れたい」ソフトウェアと思ってもらうのは簡単ではない。それに加え、マーケットリサーチとバグ探しのためにベータ版をリリースしても、そんなものにお金は払ってもらえないので、ベータ期間中は一切収入が入って来ない。つまり、いつまでもだらだらとベータ版を提供し続けることは出来ないのである。

 ところが、ソフトウェアをウェブ・アプリケーションという形で提供しているGoogleにはそれが出来てしまうのである。マーケティング・コストは、Google が既に持っているページ・ビューと知名度が使えるので、ものすごく低い。流通コストは、Googleの持つ莫大なサーバー・リソースとネットワーク帯域をを考えれば、やはりものすごく低い。ベータ版にバグが見つかっても、ウェブ・アプリケーションなのでアップデート・コストは一切かからない。それに加えて、ビジネス・モデルが広告モデルなので、ベータ・サービス期間中であってもそこから広告収入が入ってくるのである。Google Mapがいつまでもベータ版であってもかまわないのは、これが理由である。

 これだけがGoogleの強さとは言わないが、ある意味でとても「Web2.0時代らしい」エンジニアのクリエイティビティの引き出し方であり、見習うべき部分は沢山ある。

Comments

snowbees

例えば、武田製薬の研究員の様に、総労働時間の10%を自主研究に当てて良いと、制度化すべきでは。

himazu

すみません。タイムアウトでトラックバックの送信に何度か失敗してTB操作を繰り返していたら2つ入ってしまいました。お手間を取らせて申し訳ありませんが、どちらかを削除しておいていただけますか。

snowbees

アメリカIT企業の日本法人の「社長の座」が本社出身者に奪われている。MS,サン・マイクロシステムズ、インテル(共同社長)、AMDなど。また、日本IBMは不正経理を機に、米本社の出向者が、副社長や販売・サービス事業の責任者を担当する。アップルの日本法人も、完全に米本社の管理下にある。理由1)工場部門が東南アジアや中国へ移転して、製造部門は、米本社の管理下にある。従って、日本法人は「一営業所」に過ぎない。理由2)ソフト開発において、アルファベットを用いる1バイト圏のアメリカ、欧州に対して、2バイト圏の日本、中国、韓国も大きなマーケットに成長したので、今では2バイト化の作業を米本社が行うケースがほとんどだ。理由3)カルロス・ゴーンの出現で、日本人マネージメントという神話が崩壊した。理由4)MSでは米本社出身社長(ローディング)が業績を立て直した。以上、月刊誌「選択」10月号より。

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