Web2.0時代のリミックス文化は「21世紀のルネッサンス」
2005.11.22
最近リミックス(Remix)という言葉を目にする機会が増えている。はてなダイアリーの辞書に、「楽曲制作で、完成された曲の録音素材をもとに、編集したり、新たに素材を加えたりして、別のアプローチからその曲を再構築すること。または再構築されたその曲のこと。」と書かれている通り(参照)、一般には曲にのみ適用される場合が多いようだ。
しかし、リミックスという概念を、音楽に限らず、画像、映像、文章、ソフトウェア、なども含めた人間の創作活動全てに適用してみると、色々と面白いことが見えてくる。
1)既存の曲に画像や字幕をリミックスしたFlashアート(「恋のマイアヒ」、「もすかう」など)
2)他人のブログエントリーやニュースの記事を引用しつつ自分の意見をリミックスするブログエントリー
3)複数のプログラマーがそれぞれの変更・改良をコミュニティに還元するという形のリミックスで進化するオープンソース・プロジェクト
4)Google MapやAmazon Web ServiceというサービスAPIを元に独自のウェブ・アプリケーションを作るというサービス・リミックス
もちろん、「インターネット以前」の時代にも人類は「学芸会」から「模写」まで色々な形のリミックスをしてきたのだが、以前と今の一番の違いは、「リミックス作品を一般公開することがものすごく簡単になった」ことである。これにより、他人のリミックス作品に触れる機会が爆発的に増え、あたかも核分裂の連鎖反応のように、「リミックスがリミックスを呼ぶ」現象が色々なところで起こっている。つい最近の、Google Mapを利用したウェブ・アプリケーション作りの連鎖現象が良い例だ。
インターネットは、人類を今までに経験したことの無いほど強く創作意欲を刺激する状況に置いているのではないだろうか。16世紀に、イタリアという「場所」にアーティストや科学者達が集まって互いに刺激しあい、科学やアートに急激な進化をもたらせたと同じように、インターネットという「場」にさまざまな才能を持った人々が集まり、リミックス作品の一般公開という形でお互いの創作意欲を刺激し合うさまは、まさに「21世紀のルネッサンス」である。
こんにちは。
いくつものソースを組み合わせて新たな物を創造するという意味だと、マッシュ・アップ(mashup)がより近いのでは?
Posted by: naotoj | 2005.11.22 at 21:54
確かにそうですね。たった今、Web2.0コンファレンスでの Matt McAlister 氏(Yahoo)のプレゼン資料を読んだのですが、彼も Mashup という言葉を使っています。
http://www.mattmcalister.com/blog/_archives/2005/11/16/1408395.htm
Posted by: satoshi | 2005.11.23 at 13:42
いつも楽しく読ませて頂いております。
インターネット上の落書きし放題な状態が創作意欲をかきたてられ、切磋琢磨する環境を作っていますね。
Google社が人を次々と増やせば社内で刺激し合い、また楽しいものが生まれそうです。
ところで、この画像はスターウォーズとルイ・ヴィトンのコラボですか?
Posted by: AKTK | 2005.11.24 at 15:57
AKTKさん、コメントありがとうございます。この写真は息子が近所のティーンエージャー向けの店で買ってきたT-シャツです。遠目にはルイ・ビトンですが、良く見るとスターウォーズのパロディというものです。どちらの会社からも正式な許可はもらわずに作っているようです。
リミックス・カルチャーと著作権法の関係も目が離せませんね。
Posted by: satoshi | 2005.11.24 at 16:06
デュシャンのレディーメイドで表面化してウォーホールのキャンベルスープで一般化したような気がしますよね。
他にも、リミックス、リエディット、パロディーなどなど広い意味での現代アートは全部再生産ですもの。
Web Serviceはそれを更に加速するかもしれないですね。
Posted by: 赤枕十庵 | 2006.03.03 at 10:41