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あけましておめでとうございます

051230_071723  「年度の初めによくある、3日しかもたない『新年の決意』でなければよいのだがと思いつつ、最初のエントリーを書いているところである。」と始めたこのブログであるが(参照)、思いもよらず順調に筆が進み(実際はキーボードだが)、はやくも3年目に突入である。

 「そのうち書くことがなくなるのではないか」と思うのだが、なんだかんだと外から刺激を受けるので、条件反射的に思ったことを書いているうちに2年で330エントリーも書いてしまった。小学生の時に、あれほど作文を不得意としていた私とは思えない量である。まさに「継続は力なり」である。

 ちなみに、今年は日本で正月を迎えたが、あいにくの天気なので、初日の出は見られない。そこで、大晦日の朝に撮影しておいた朝日の写真で代用する。去年に続いて、「初日の出はイメージです」である。


ブログで振り返る私の2005年

 ブログを書くメリットは色々とあるが、その一つは自分がどの時期にどんなことを考えていたかがはっきりと記録として残ること。「2005年が私にとってどんな年であったか」が、ざっとタイトルを読み返すだけでも分かるのが楽しい。主なテーマを拾ってみると、こんな感じであった。

1.Apple

2.Google、Google vs. Microsoft

  • Google OS を妄想すると未来が見えてくる!?
  • Googleに就職面接に行く前に知っておくべきこと
  • Google Map API で早速遊んでみた
  • マイクロソフトがついにオンライン版の Windows と Office を作ると発表
  • アルファギークはLonghornの夢を見るか?
  • Google Map ブックマーカー
  • 新しい Microsoft を引き継ぐのは Ray Ozzieか?
  • Google Map で遊ぶ(2):東京観光案内
  • Google Map で遊ぶ(3): 地図ブックマーカー 
  • Google Map で任意の場所の緯度と経度を知る方法
  • 「グーグル、10の黄金律」に込められたマイクロソフトに対する痛烈な皮肉 

3.Web 2.0

  • Ajaxの本質、「非同期メッセージ型ウェブ・アプリケーション」のススメ
  • Web2.0時代らしいエンジニアのクリエイティビティの引き出し方
  • 「ロングテール的な地デジ批判」の呼びかけ
  • ゲームの開発も Web2.0 的にやっても良い時期かも知れない
  • 「Software is service」の心構え
  • AdSense と アフィリエイトが可能にする「チープ起業」革命
  • ケイタイでAJAX: RSS リーダー
  • ソシアル・ブックマーク付きDVDレコーダ
  • Web2.0時代のリミックス文化は「21世紀のルネッサンス」
  • 「ビットの集まりを売る時代」の次に来るもの
  • Viral Marketing
  • アフィリエイト型公衆無線LANサービス、『元気玉』
  • メディアプレーヤーが「家電」になる時
  • ゲーム・オン・デマンドの時代
  • パッケージビジネスの終焉

4.はてな、ソシアル・ブックマーク

  • 有名ブログを10分で斜め読みする裏技
  • 『恋はブックマーク』-ブックマーク・コメントはシャイな日本人向け? 

5.イノベーションのジレンマ、ブルー・オーシャン戦略

6.ブログ

7.UIEvolution、UIE Japan

  • パーベイシブ・アプリケーションという世界観
  • UIEvolution Japan の設立宣言。そしてもちろん、人材募集はGoogle Baseで。
  • 組み込みソフトをXMLが変える
  • 「UIEngineパートナーズ」募集
  • AJAXでミニアプリ: ブログにスライドショーを追加する
  • 箱入り娘 【無料ゲーム】
  • Widget 版「箱入り娘」プレゼント 
  • ブログ用ミニアプリ: 第二弾、Sudoku

 こうやって振り返ってみると、Apple、Google、Web2.0 関連のエントリーが大半を占めている。最近、妻や親戚から「ブログの内容が難しくなった」と言われるのも納得できる。来年はもう少し柔らかいネタも含めてバランス良く書いて行かねば女性の読者がいなくなってしまう、と心配になった私である。


ブログ時代のインタビュー記事

051224_182817  昨日のエントリーで触れた、日経エレのインタビューが記事になったので、リンクを張っておく。

デジタル家電は今後、Webサービス型になる

 内容は記事を見ていただければ良いので、解説はしないが、まだまだ言い足りないこともあるので、しばらくは「Web2.0 時代の家電」とでも題してシリーズ化して幾つかエントリーを書いて行こうかと思う。

 ちなみに、今回のインタビューで興味深いと思ったのが、たくさんの人がブログというツールを持った今となっては、インタビュー記事も一方的なメディアではありえないという事実。今回のようにインタビューされた方が先にエントリーを書いてしまう可能性も十分にあるし、インタビュー記事に誤解を招きそうな表現や言い足りなかったことがあっても補足できるという利点がある。面白い時代になったものである。


こんな商品が欲しい! ソシアル・ブックマーク付きDVDレコーダ

051220_082525  昨日、日経エレの副編集長のインタビューを受けたのだが、そのテーマが「Web2.0時代の家電とは?」。まさに私のスイート・スポットを突く、最高に楽しいテーマ。時間一杯、好き勝手なうんちくを展開してしまった。

 そこで話したアイデアの一つが「ソシアル・ブックマーク付きDVDレコーダ」。

 アイデアはすごくシンプルである。はてなやdel.icio.usの提供しているソシアル・ブックマーク・サービスのコンセプトをDVDレコーダに適用するだけのことである。ただし、わざわざユーザーにブックマークをしてもらうのも難しいので、「録画予約」そのものをブックマークとしてカウントして集計して、はてなの「人気エントリー」ならぬ「人気番組一覧」を公開するのである。

 人がテレビを見るのには色々な理由があるが、その一つに、「共通の番組を見ることにより人との繋がりを作る」というものがある。そんな人たちをターゲットにしたDVDレコーダである。今日はどの番組を見ようか(録画しようか)を決める段階で、「他の人たちは何を見るのかな?」「どんな番組が人気があるのかな?」という意味で、「人気番組一覧」を見るのである。

 「おお、巨人戦を予約録画している人が50000人もいるのか?」、「やはり『月9(ゲック)』は人気があるな」、「なんでこんな夜中の1時にやる歌番組を予約録画する人が8000人もいるんだろう?」という感じで楽しむのである。

 もちろん、出荷時の初期設定は「人気番組の自動録画」である。そのままの設定にしておけば、人気番組を自動的にすべて録画してくれるのだ。

 アイデア料を請求したりしないので、メーカーの方たちにはぜひとも実際の商品に適用していただきたい。もちろん、「人気番組一覧」をサーバーから取り出して表示する部分のGUIの表示にUIEngineを採用していただければ、私としては喜ばしいのだが…。


堺市がマンホール蓋のデザインを募集中

Man_hole  Naria-ilcさんという方のエントリーで知ったのだが、堺市がマンホール蓋のデザインを募集している(参照)。そこで、Photoshop の練習課題のつもりで一つ作ってみた。

 ユーザー・インターフェースのデザインをする時に一番大切なことは、使っているユーザーをしっかりと頭に描いてからデザインにとりかかること。

 「マンホール蓋を見る人」を頭に描こうとすると、どうしても人生に疲れてうなだれて歩く人が目に浮かぶ。そこで、そんな人たちのための「元気が出るマンホール蓋」だ。

 これ以外にも、「マンホール蓋」に書いてこそ生きてくるメッセージがあるはずだ。良いものを思いついた人がいたら、ぜひともコメント、もしくはブックマークコメントで教えていただきたい。


「これだけかい!」

051226_202209  このブログが季刊誌「みんなのブログ Vol.6」に紹介されることに決まったのは少し前のことだが、やっと発売されたので早速買い求めて妻に自慢した。

 「そう、あなたのブログが雑誌に紹介されたの。見せて!」とうれしそうに雑誌を手に取る妻。しかし、紹介されたのがこのブログそのものではなく、以前にこのブログで発表した「ブログ用ミニアプリ、箱入り娘」であることに気がついた彼女の感想は、

 「これだけかい!

 確かに、これだけ色々と業界のことだとか、テクノロジーの動向だとかを書いてきたこのブログが、最初に印刷媒体で紹介された記念すべき記事が「箱入り娘」では、「これだけかい!」といわれても仕方がない。

 まあ、そうは言っても、このブログが雑誌に紹介された記念すべき第一号だ。大切に保管しておこう。


「博士の愛した数式」は、「電車男」の作った理科系男のステレオタイプ化を払拭できるか?

051224_190311  普段はビジネス書とミステリーしか読まない私だが、どうもこの本に関して言えば、単行本だったころから題名が気になって仕方がなかった。実際、何度か買おうかと手にとったこともあったのだが、いわゆる純文学は中学生の時に「課題図書」という形で無理やり読まされて以来、どうも不得意なのでなかなか踏み切れなかった。

 しかし、今年は年末を日本で過ごすことになったし、少しは休みがあるので、たまにはこんな本に手を出してみるのも良かろうと、読んでみたのが「博士の愛した数式(小川洋子著)」である。

 結論から言えば、とても楽しめた。中学生のころは「数学者になろう」と思っていた私にとっては、「博士」の数学に対する情熱には、なんとも言えない懐かしさを覚えた。特に「素数」に関する議論が展開される場面では、中学生の時に「素数が無限にあることの証明」(後述)のエレガントさに感動したことをしみじみと思い出してしまった。

 それにしても、理科系の人の情熱みたいなものをここまできちんと捕らえて描いてくれた作者の小川洋子氏はえらい。ぜひとも沢山の人に読んでいただいて、私のような「理科系人間」の理解に役立てて欲しい。

 今年は、「電車男」、「萌」、「メイド喫茶」と、色々な意味で理科系人間に対する偏見とステレオタイプ化が進んだ年だが、30年以上も理科系まっしぐらの私としては、この小説に出てくる博士の方がずっと自分自身を重ね合わせやすい。

【素数が無限にあることの証明】 もし素数が有限個しかないとすると、最大の素数よりも大きい自然数は全て、いずれかの素数の整数倍であるはずである。しかし、(全ての素数の積+1)という数を考えた時、その数はどの素数でも割り切ることが出来ないので、矛盾が生じてしまう。この矛盾は、「もし素数が有限個しかないとすると」という仮定がそもそも間違っていたから生じたので、「素数は無限個」あると結論できる。


ディベートは 楽しくするもの したいもの

051221_190251  先日、SixApartの関社長と食事をしたのだが、その時に「日本人はディベートが得意ではない」という話になった。私も以前から色々と思うことがあったので、ここに書いてみようと思う。ただし、今回のテーマは「どうやったらディベートに勝てるか」とかいうテクニックの話ではなく、それ以前にある「どうやってディベートを楽しくするか」に関しての話なので、誤解しないで欲しい。

 関社長に言わせると、日本人には、ネットの世界であれリアルの世界であれ、自分の意見を否定されるとそれを自分の人格を全否定されたと誤解して、怒ってしまったり、しょげてしまう人が多いと言う。確かにその通りだと思う。もちろん、それは受け取る側だけの問題だけではなく、反対意見を表明する場合に問題がある場合が多い。

 例えば、一つ前のエントリーで「有名ブログを10分で斜め読みする裏技」という話を書いたが、これに対して、

 「ブックマークの数だけでエントリーの良し悪しを判断するはどうかと思う」
 「そもそもブログを斜め読みするのって失礼だと思う」

などの意見が寄せられた。こういう形で反対意見を表明していただければ、私としても耳を貸す気になるし、建設的なディベートもできそうだ。しかし、全く同じ意見を、

 「ブックマークの数でエントリーの良し悪しを判断するのはバカだけだ」
 「ブログの斜め読みを奨励するとは失礼な人だ」

と書かれてしまうと、もう単なる意見の表明ではなく、「私の人格」に対する攻撃となる。こんなコメントが寄せられると、私としてもどう対処して良いか分からない。人によっては怒ってしまったり、しょげてしまったりするだろう。掲示板やブログのコメント欄が荒れる原因のほとんどは、(意見の食い違いではなく)こういった「人格攻撃」が原因だ。

 この世の中には色々な人がさまざなな価値観を持って暮らしているのだから、当然色々な意見があってしかるべきである。自分と違う意見を持っている人とディベートをするのは、すごくプラスになり、楽しいことだが、一つだけ気をつけなければならないことがある。「相手の意見」は幾らでも攻撃して良いが、「相手の人格」を否定したり攻撃するのはマナー違反である。そこさえ気を付けていれば、「楽しく意見を戦わせる」ことが可能なはずである。

【追記】 トラックバックなどで「ディベートと論議をごっちゃにしてないか?」との指摘があったので、追記。「ディベート(debate)」という言葉には、米国の学校の授業などで行われる「二つのグループに分かれて一つのテーマについて討論して勝ち負けを決める討論会」という狭義と、「ネットやリアルの世界で交わされる討論・論議」という広義とがある。このエントリーでは、前者ではなく後者の意味でディベートという言葉を使っている。


有名ブログを10分で斜め読みする裏技

051221_112750  一つ前のエントリーで、「ビジネスの世界では既にブログが名刺代わりになり始めている」と書いたが、そこでどうしても必要になるのは人のブログをすばやく「斜め読み」するテクニックだ。有名なブロガーに会う前の日に、前準備としてその人のブログを読み始めたら徹夜になってしまった、などという経験をしたことがある人も少なくないはずだ。

 今回の「UIE Japanの人材募集」に際しても、応募してきた人のブログを効率良く読む必要に迫られ、私なりに考えて編み出したテクニックがあるので、ここで披露しよう。

 題して、「有名ブログを10分で斜め読みする裏技」(『伊藤家の食卓』に投稿してもたぶんボツだろう…)。

 用意するものは、斜め読みしたいブログのURL。その先頭に、"http://b.hatena.ne.jp/entrylist?sort=count&url="を加えて新たなURLを生成し、ブラウザーのアドレスバーに入力するだけで良いのだ。例えばこのブログの場合、生成したURLは、

http://b.hatena.ne.jp/entrylist?sort=count&url=http://satoshi.blogs.com/

となる。

 こうすると、はてなが指定したブログのエントリーをそれぞれのエントリーに付いたブックマークの数の多い順にソートして表示してくれる。つまり、そのブログの「人気エントリー」を人気順に表示してくれるのだ。後は、表示されたエントリーを時間の許す限り、上から順番に読んで行けば良い。

 今日も私自身、このテクニックを使って、梅田望夫さんが私のブログとともに「アルファブロガーを探せ」に推薦していた山口浩氏の「H-Yamaguchi.net」をななめ読みしたばかりだ。難点は、はてなユーザーの読むようなブログにしか通用しないことだが、幸い私が読むようなブログは、ほとんどがそんなブログなので、十分に役に立つ。 

【追伸】 ある意味で若干不謹慎なこのエントリーに対して、「はてなブックマーク頼りに『斜め読み』するのはお勧め出来ない」というエントリーがid:ululun さんによって書かれた(ブログを斜めに読むという事)。確かに ululun さんの指摘にももっともな面があるので、そういう見方もあることを紹介する意味でも、ここにリンクを張っておく。


就職・転職活動にブログを利用すべき時代が来ている

051220_171023  はてなの近藤社長の「ブログで人材採用」というエントリーに、「最近はてなでの人材採用の中でちょっとした傾向が出てきているような気がします。それは、『興味深いブログを書いている人』の採用率がとても高いという点です。…インターネット企業に限らず、採用の際に自分のブログの提出が必要な企業がこれから増えてくるかもしれません。」という記述があった。

 私の会社でも積極的に日本でリクルート活動を始めたのだが(参照)、東京とシアトルを行ったり来たりしている私としては、応募者全員に合うわけにもいかず、おのずと書類審査が重要になる。しかし、通常の「履歴書」だけではその人のことを知ることは難しいと考え、募集要項に「今まで書いてきたブログ、個人で運営しているウェブ・サイトなどは採用の際にかなり重視するので、ぜひとも積極的に利用してアピールしていただきたい」と書いてみた。

 すると面白い現象が起こった。書類審査段階で集まる情報量が圧倒的に増えたのだ。定型の履歴書には、相変わらず学歴だとか出身地だとかありきたりのことしか書いて来ないのだが、「参考までに」と教えてくれるブログ、運営するサイト、管理人をしている掲示板などから得られる情報量がすごいのだ。趣味や技術力だけでなく、その人の人となりやコミュニケーション・スキルまでが見えてくる。

 もちろん、その情報量は人によって異なるし、ブログを書いていないから優秀な人ではないとは必ずしも言い切れないのだが、採用する立場の人間としては、どうしても書類審査段階での情報量が多く、その段階で既にその人なりの魅力が見えてくる人に合ってみたくなるのは人情である。

 私自身がブログを書いている理由はいろいろとあるのだが、「私がどんな人間か知ってもらいたい」というのもその一つである。最近、初対面の人に「いつもブログを読ませていただいています」と言われることが多くなったが、こうなってくると自己紹介などせずに本題に入れるのでとても効率が良い。ビジネスの世界では既にブログが名刺代わりになり始めているのだ。

 そんな意味でも、学生諸君や若い技術者の方々にはぜひともブログを書くことをお勧めする(できれば実名で)。近藤さんの言う「採用の際に自分のブログの提出が必要な企業がこれから増えてくるかもしれません。」という話が本当になる日は遠くないかも知れない。