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StarOffice/OpenOfficeがMicrosoft Officeに勝てない理由

 このことは以前から書こうと思っていたのだが、誤解を招かずに説明するのが難しいので、しばらく棚にしまっておいた。しかし、今回「Blue Ocean Strategy」(日本語訳:ブルーオーシャン戦略)を読み始めて、なかなか良い表現を見つけたので、それを利用して説明する。

 詳しくは、この本の第二章、「Analytical Tools and Frameworks(分析のためのツールとフレームワーク)」を読んでいただくのが一番良いが、あるマーケットを見たときに、既存の商品の「主要な要素(principal factors)」を抽出して、そこで真っ向から血みどろの戦いを挑むのが「red oceanの戦い」であり、逆にその要素から幾つかの項目を思い切って切り捨て、それとは別に新しい価値を生み出す要素を追加して、真っ向からの戦いを避けるのが「blue oceanの戦い」なのである。

 この観点から StarOffice/OpenOffice を見ると、今の戦略がどのくらい間違ったものかが良く分かる。ファイル・フォーマットにしろ、豊富な機能にしろ、"big fat client"なアーキテクチャーにしろ、全ての面で Microsoft Office の後追いであり、新しい価値を生み出しているようには見えない。この戦略は、まさにこの本で言う所の「red oceanの戦い」であり、資金力のある Microsoft にかなうわけがなく、結局は「安かろう悪かろう」のニッチ商品に収まるしかない。

 では、今からベンチャー企業が、この「オフィス・アプリケーション」市場に参入するとしたらどうするべきだろうか?私がCEOなら、迷うことなく以下の戦略を採る。

1.「Microsoft Office のファイル・フォーマットとの互換性」を100%捨てる
 彼らのファイル・フォーマットを使い続ける限り、「後追い」の状況を強いられ、リーダーシップは採れない。それよりも、インターネットで標準となっている、PDF、RSS、HTMLなどのフォーマットを重視すべきである。これはエンター・プライズ・マーケットをターゲットとした時に、ななかな思い切って採れない戦略かもしれないが、「今インターネットで何が起こっているか」を良く理解している人ならば、分かるはずだ。10年後・20年後になっても Microsoft 独自のファイル・フォーマットがオフィス文書の標準フォーマットに留まっていられるとは、私にはどうしても思えない。

2.「機能の豊富さ」では勝負しない
 オフィス・アプリケーションの基本機能という意味では、10年前にMicrosoftがリリースしたOffice95程度のもので十分である。それ以降に Microsoft が追加してきた機能は無視して、逆に「機能が少ないからこその使いやすさ」で勝負すべきである。

3.「ネットワーク機能」で新しい次元での価値を生み出す
 ここに関しては、色々な戦術が考えられるので、あまり深くは突っ込まないが、例として挙げれば、「AJAXを使ってクライアント・ソフトウェアをダウンロードしなくても使える」、「全ての変更はサーバー側にundo可能な形で自動的に保存される(参照)」、「グループ内での文書管理が楽になる」、「ブログ・RSSとの融合」など、Microsoft Officeが今まで全く取り組んで来なかった部分での差別化をはかり、新しい価値を生み出すことが大切である。

 誤解して欲しくないのは、私は決して「OpenOfficeなんて作っても意味がない」と言っているのではない点である。Microsoftの独占の牙城を崩したいという気持ちは分かるし、わたしとしても出来るだけに支援をしたい所だが、私には今のOpenOfficeの採っている戦略があまりにも間違っている様に思えるのだ。そこで、「余計なお世話だ」と言われるのを覚悟で、一度はっきりと指摘しておく必要があると考えたのだ。今からでも遅くないので、もう一度「今の戦略で本当に良いのか?」、「("big fat client software"である)StarOfficeのソースコードを元にして作ることがそもそも間違っていないのか?」を真剣に考えていただきたい。


Recolored で遊んでみた

【障害報告】Typepad には珍しく、サーバーが不調で、ここ2~3日分のエントリーが一時的にアクセス不能になっていた。リンクを張っていただいた方々には、ご迷惑をおかけしてしまったが、現時点(シアトル時間で12月16日20時)で復旧はほぼ完了した様である。ちなみに、Six Apartのこの手の障害に対する対応の仕方には、いつも関心する。まめに復旧状況のアップデートをしてくれるし、障害の状況を分かりやすく説明してくれる。

 名前は忘れてしまったが、白黒写真の一部だけに着色をしたアートを作っているアーティストがいる。少女の唇だけを真っ赤に着色したり、一輪の花の花びらだけを着色したり、というやつだ。自分でもあんなものが作れないかと思って Photoshop で試みたこともあるのだが、輪郭の抽出に手間がかかってしかたがない。何とかならないかと思っていたところに、ちょうど良いツールがリリースされた。Recoloredである。本来は「白黒写真を着色してカラー写真にする」ためのツールだが、白黒に残しておきたい部分の色指定を灰色にすることにより、「一部着色アート」が簡単にできるのだ。

Org_rose Red_rose


『日本ではXBox360 が売れ残っているらしい!』と報道する米国のメディア

051205_020414  今日、午後の会議に少し遅れてしまったのだが、私を待っている間になにやら皆で XBox360 がらみの雑談で盛り上がっている。米国ではあっという間に売り切れ、eBayで高値の付いている XBox360 が日本ではかなり売れ残っているという報道がされたのだが(参照)、それに目を付けた社員(アメリカ人)の一人が「今度の出張の時に日本で沢山買って来て、eBay で売れば儲かる」などと不埒(ふらち)なことを言っているのだ。

 私が、「日本向けのマシンじゃ米国のゲームは遊べないんじゃないの?」と言うと、「今、eBay で XBox360 を高値で買っている連中は、そんなプロテクションは簡単にはずすよ」と言う。困ったものだ。

 ちなみに、その記事だが、

Japan's Media Create has released figures that reveal that just 41,817 (28%) 360s were sold in the two days following the launch of Microsoft's new console, leaving around 107,000 (72%) units sat around on shop shelves gathering dust, while Europeans and North Americans pay through the nose for even Core systems on EBay.

と、かなり具体的な数字を挙げている。こんな数字は日本のメディアでも報道されているのだろうか。これによると、最初の二日で売れたのは初期ロットの28%に相当するわずか4万台強に過ぎず、残りの10万7千台(72%)は『店でホコリをかぶっている』とある。

 私自身も来週には日本に行くので、XBox360を買ってくることも出来るが、あんなに大きなものを担いで飛行機には乗りたくない。それよりは、Nintendo DS 向けの『どうぶつの森』を買ってきて、太平洋を隔てて遊べるかどうか実験してみる方が楽しそうだ。


ビル・ゲイツの家のトイレは流そうとすると「本当に流しますか?」と警告してくる

Ornament  今回のみずほ証券による株の誤注文事件は、1株を61万円で売るところを、オペレーターが誤って「61万株を1円で」と誤入力してしまったのが原因だが、その際に端末には市場価格との隔たりを示す警告が表示されたにもかかわらず、オペレーターが「(警告が)よく出るので慣れの中で結果的に無視してしまった」という点が注目に値する。

 以前にも、「事故防止の難しさ」というエントリーで触れたことがあるが、「不必要な警告をしょっちゅう見ているとそれに慣れてしまい、本当に対応が必要な時にも無視してしまう」というのは人間の性である。この手のミスをした人を一方的に非難したり、「これはヒューマン・エラーでした、今後はこのようなことを繰り返さないように注意します」と謝るのは簡単だが、それでは根本的な事故防止はできない。

 「不要な警告」と言えば、パソコンがその代表選手。ファイルを消去した時の「本当に消去したいですか?」という警告。編集中の文書ファイルをクローズしようとした時の、「セーブしますか?」という警告。

 なかば「パソコンとはそういうものだ」と思い込んで使っている人が多いと思うが、実はこれはパソコンの性能が低く、ハードディスクも無かったMS-DOSの時代から引き継いでいる「負の資産」なのである。

 今のパソコンの能力をすれば、ユーザーが行う消去や編集といった作業の全てを「取り消し・やり直し(undo/redo)」可能な形で全て保存することにより、一度消してしまったファイルを復活させたり、文書に対して行われた変更を全てリアルタイムでディスク上のファイルに反映させながらいつでも元の状態に戻せるようにしておくことは簡単にできるのである。そう作っておけば、色々な警告でユーザーをわずらわせる必要もなくなり、警告は「本当に必要な時」にとっておくことができる。

 では、なぜ今のパソコンはそうなっていないのだろうか。

 答えは「あまりにも多くのユーザーが、従来型の『何でも警告してくる』形に慣れてしまっているから、いまさらそれを変更すると、逆に混乱を招くから」という保守的な意見が主流だからである。

 私がマイクロソフトでスティーブ・キャップス(参照)と取り組んだプロジェクトの一つが、まさにこの問題を解決しようという試みであった。98年当時、キャップスと私は、"auto save"(全ての変更は警告無しに即座にディスクに反映されるが、簡単にやり直しができる)と "flat file system"(ディレクトリ構造をユーザーから完全に隠し、タグとサーチ機能を全面に出したファイルシステム)という従来とは全く異なる2つのユーザー・モデルの上に成り立つオペレーティング・システムのユーザーインターフェイスを提案し、プロトタイプまで作ったのだが、残念ながら商品化まで持って行くことができなかった。「既存のユーザーが混乱する」、「今のままでも何とかなっているのになぜ変更するのだ」という保守的な意見に押し切られてしまったのだ。

 今考えてみれば、パソコンという既存のユーザーが沢山いて、すでに一定のユーザー・モデルが確立してしまっているところに新しいユーザー・モデルを提案したこと事態に無理があったのだと反省している。携帯電話とかウェブ・アプリケーションなど、既存のユーザーの少ないところに提案していれば、もう少しすんなりと受け入れられたかも知れない。今なら非同期通信を利用して「AJAXなウェブ・アプリケーション」にぜひとも適用して欲しい所だが、その話は長くなるので別の機会に譲ろう(ちなみに、「UIE Japan」に参加していただきたいのは、この一文で私が何を主張しているかすぐにピンと来るような人だ→募集要項。「明示的なセーブが必要のないウェブ・アプリケーションのアーキテクチャー」というタイトルの小論文を添えていただけるとなお良い。)。

 ちなみに、このエントリーのタイトルは、数年前に、成毛氏(INSPiRE CEO、元MSKK社長)とロブ・グレーザー氏(RealNetworks CEO)と私との会食の際に誰からともなしに言い始めた、(何かというと警告文を表示する)ウィンドウズを皮肉ったデマである。


みずほ証券が出した誤発注に飛びついたデイ・トレーダーたちの足跡

051209_133010  9日に録画しておいた日本のニュースを2日遅れで見ると、みずほ証券によるジェイコム株の誤発注がトップニュースではないか。ジェイコム株が乱高下しただけでなく、みずほが誤発注を出したことをすぐに発表しなかったため、他の証券会社の株までが乱高下したという大事件だ。

 そこで、当日のヤフーのジェイコム株の掲示板をチェックしてみた。デイ・トレーダーたちの動きがものすごい臨場感で伝わってくる。

【9:31 異常な売り気配に気づく】
 9:31 何これ?
   笑
 9:31 60万超の売り気配?
   壊れたね!
 9:31 はやくも公募割れしてやんの
   しかも飛んでもね気配
 9:32 なに??
   発行済み株式超えてない???
 9:32 株数
   こんなにあったかな?

【9:32 誤発注らしいことの意見が出始める】 
 9:32 誤発注だ
   買いを入れろ
 9:32 発注ミスじゃないの?
   ?
 9:32 買わなくてよかった・・・
   この株の量、誰が売ってるの??
 9:34 発行済株式数の数十倍以上の売り
   間違いでしょうね
   買いで大儲けかも?

【9:34 ためしに買ってみたという人の投稿が入る】
 9:34 S安。
   遊びで10株買ってみた。
 9:34 買ったよ
   買ってやった。
   誤発注だろ。
 9:34 これは面白い、取り敢えず成買い入れた  
   何か有るな。。。
 9:35 全部買い占めろ
   3000億くらいいるんじゃね
 9:36 チャンスかも?
   なんかのミスなら、買っておいたら面白いかも??
 9:36 売気配なのに買えたぜwwwwwwwww
   面白いや。。。1枚遊んだよwwwwwwww
 9:37 とりあえず10株かいました
   間違いなくご発注だと思います、何しろ発行株数の10倍

【9:38 (みずほ証券による)大量の買戻しに反応する】
 9:38 今の誰が買ったの??
   そんなに金あるのか???
   意味(´ー`)チラネーヨ・・・

【9:38 すかさず売り抜けた人たちの投稿が入る】
 9:38 いえーーーいwwwwwww  
   儲かったぜ。。。。。。
 9:39 いたであきました
   ありがとうございました。
   電通を思い出します。
 9:39 ぼろ儲け・・・
   何か分からないけどさ・・・
   助かった。
 9:41 全力買いしました!!
   明らかな誤発注だろw
   眼を疑ったよw

【今度は、誤発注をした証券会社の株を空売りして儲けようという発想が投稿される】
 9:44 主幹事日興コーディアルを空売りしろ!!
   誤発注はたぶん主幹事日興だ!!!
 9:48 57万円売りを57万株売りにしたのね。
   さあ、どうする!誤発注証券会社!!
 9:52 主幹事日興、推定1800億円の損失!!
   日興空売りだ
 10:14 何があったのか早く発表しろ
   「57万円売りを、57万株売りで誤って発注しました」
   「取り消す前にだれかに買われてしまいました」
 11:43 ドイツ証券らしいよ
   じゃあ売られてる日興買いか?
 12:14 日興じゃないみたいよ・・・
   みたい
 12:55 日興でなければ…
   幹事に楽天がいるよ。
   おいらの予想では、楽天があやしい。
 14:43 みずほ8411
   の株価の動きが怪しい?

 特に最初の数分がすごい。これはデイ・トレーディングどころか、分単位の勝負だ。デイ・トレーディングにはしろうとは手を出さない方が良いという私の認識は間違っていないようだ。

【追記、追加したトラックバック先へのリンク】
雑誌『正論』編集部ブログ:「みずほ億万長者」


「早寝早起き、三度の飯はちゃんと食う」

Asayake  冬場は雨や曇りの日が多いはずのシアトルだが、なぜか今年は晴れの日が多い。しかし、晴れの日は「放射冷却現象」により地熱が逃げるので、朝起きると氷点下4℃、などという日も珍しくない。

 雨が降っていない日には欠かさずしている、「朝の犬の散歩」も、そんな寒い朝にはスキージャケットに手袋の重装備で出かけなければならない。

 シアトルの緯度はカラフトに近いので、日の出は遅く、朝食を食べて、7時からのグッド・モーニング・アメリカのトップ・ニュースを見てから出かけても、この時期だとまだ外は暗いのだ。

 歩いているうちに、赤く染まり始めた東の空を見上げながら、胸いっぱいに吸い込む凍るような空気のおいしさは、格別である。夜型の人が多いこの業界で、「早寝早起き、三度の飯はちゃんと食う」を貫き通して来た、私ならではの楽しみである。


速報、EAが米国最大のモバイル・ゲーム会社JAMDATを買収

051208_040159 原文(英文)記事へのリンク

 業界(米国モバイル業界)の人たちの間では、ずいぶん前からこうなるに違いないとは言われていたことが、遂に現実となった。買収金額は$680,000,000(700億円強)。上場したばかりの時は、「ワイアレスバブルの始まり」と揶揄されるほどの売り上げと株価総額の間にギャップがあり、どうなることかと心配して見ていたが、その後、モバイル版テトリスの全世界向け独占配信権の取得、Popcapsからのモバイル版Bejewelledの権利確保、などと着実にコマを進め、今回のEAによる買収というゴールを達成した。

 ちなみに、日本ではあまり知られていないが、JAMDATは、モバイル・ゲームに特化した米国のコンテンツ・プロバイダー。上場前に、Qualcomm、Sun Microsystemsなどからベンチャー投資を受け、端末の性能では日本よりもはるかに遅れている米国・欧州のモバイル・コンテンツ市場で一気に成功を収めた。

 成功の秘訣は、高性能な端末を必要としないカジュアルなコンテンツに力を入れたこと、テトリス、Bejewlled などの強力なブランド力を持つコンテンツの権利を確保したこと、米国だけにとどまらず、最初からワールドワイドでのビジネスを前提としたビジネス戦略を採ったこと、である。

 参考までに、日本でJAMDATに相当する企業は、ドワンゴ(株価総額約400億円)、バンダイ・ネットワークス(株価総額約290億円)。JAMDATの連中は、ずっと後から始めたにも関わらず、あっという間にそういった企業をしのぐ価値を生み出して売り抜けてしまったのだからすごい。やはり、ビジネスは最初からワールドワイドにやらねばならないということを示す典型的な例である。

 やはり、UIE Japan(参照)で作るコンテンツは、最初からワールド・ワイドに提供することを前提に作らなければならない、と決意を固くした私である。


「グーグル、10の黄金律」に込められたマイクロソフトに対する痛烈な皮肉

051204_075901  はてなの「最近の人気エントリー」でも一番の人気になっている「グーグル、10の黄金律」(原文はこちら)。ハイテク企業を経営する身としては、ぜひとも参考にしたいところである。

 それはさておき、この10の黄金律の一つにマイクロソフトに対する痛烈な皮肉が込められていることに皆さんは気が付いただろうか?

 「悪魔になることなかれ」の節の一文である。

 ほかのよく知られたハイテク企業のマネージメントスタイルとは違って、グーグルでは、誰もイスを投げない。[原文:But nobody throws chairs at Google, unlike management practices used at some other well-known technology companies.]

 これがマイクロソフトに対する皮肉であることは、グーグルがKai-Fu Lee 氏をマイクロソフトから引き抜いた際にマイクロソフト側が起こした裁判で、証人として Mark Lucovsky 氏がした証言の一節を読んでみると良く分かる。

「Ballmer氏はそのとき、椅子を手に取り部屋の反対側に向けて投げつけた。椅子はそこにあったテーブルに当たった」(Lucovosky)。Ballmerはその後、 GoogleのCEO、Eric Schmidtを激しく非難し始めたという。「あいつを業界から葬ってやる。その程度のことは前にもやったことがある。何度でもやってやる。Googleを抹殺してやる」(Ballmer)。 [原文:"At that point, Mr. Ballmer picked up a chair and threw it across the room hitting a table in his office," Lucovosky recounted, adding that Ballmer then launched into a tirade about Google CEO Eric Schmidt. "I'm going to f***ing bury that guy, I have done it before, and I will do it again. I'm going to f***ing kill Google."] (日本語訳原文

 この「バルマー氏による椅子投げ事件」は、グーグルとマイクロソフトの戦いが続く限り、これからも何度も引用されることになるだろう(ちなみに、バルマー氏は椅子を投げたことを否定している)。


冬に、外に雨が降っていても家の中がとても乾燥しているのはなぜ?

051205_013302 シアトルの冬は東京とは違って、雨や雪の日が多いのだが、それでも家の中は常に乾燥している。加湿器のスイッチを入れずに眠ると、朝になると喉がカラカラになってしまう。

 今日の朝、「どうして外はあんなに湿っているのに、家の中はこんなに乾燥しているの?」と妻が質問して来た。もっともな質問である。そこで、今日は久々の「科学うんちく」。

 我々が普段使っている「湿度」とは、「相対湿度」と呼ばれるもので、空気中の水蒸気量を飽和水蒸気量(空気が含むことの出来る水蒸気量)で割ったものである。これは、ものが乾きやすいとか乾きにくいとかいう、我々の生活実感を最も的確に表わす数値として広く使われている。

 この飽和水蒸気量というのは、一定ではなく、温度の上昇とともに増える、という性質を持っている(参照)。0℃では1立方メートルあたり4.8グラムの水蒸気しか含むことが出来ないのだが、それが20℃だと17.2グラムまで含むことができるのである。

 これは、外気温が0℃で湿度が80%あった場合(1立方メートルあたり3.84グラムの水蒸気)、それをそのまま室内に取り込んで暖房機で20℃まで暖めると、(空気に含まれた水蒸気量は同じく1立方メートルあたり3.84グラムなのに)湿度は22%に下がる、ということを意味している。つまり、20℃での飽和水蒸気量が0℃の時よりも高いために、「同じ量の水蒸気を含む空気でありながら、空気が温められた室内の方が、相対的にものが乾きやすい状態になる」のである。

 昔のガスストーブや石油ストーブは、ガスや石油が燃焼する際に(二酸化炭素と同時に)少しは水蒸気を室内に排出していたので、ある程度湿度の低下は抑えられていたが、今の時代の暖房機は単に空気を暖めるだけなので、極端に湿度が低下することになるのである。

 ゆえに加湿器が売れることになるのだが、それならば最初から加湿機能付きの暖房機を作ってくれれば良い、と私は思うのだがどうだろうか。水道工事が入るので少し大掛かりだが、新築のマンションであればそれほど工費をかけずに実現できるはずである。「AIリモコン」や「カオスセンサー」なんかよりよっぽど実用的である。


やはり、ブラピとアンジェリーナが来日

Smith 今年の6月のエントリーで推理した通り、映画「Mr. & Mrs. スミス」の公開に合わせてブラピとアンジェリーナが来日(参照)。やはり、日本だけ公開をこの時期まで延期したのは、二人が同時に来日できるのが、この時期だけだったのだろう。 

 日本では12月3日公開だが(参照)、life is beautiful が太鼓判を持ってお勧めする「今年一番のデートムービー」。老若男女、ぜひともパートナーと行って楽しんでいただきたい。