Web2.0実験室: Trackback Station を作ってみた
prototype.js で遊んでみた

ライブドア事件の怒涛の中心で愛をさけぶ

051211_021509  「ライブドア株に売り殺到 他のネット関連企業にも波及(朝日新聞)」などという記事の見出しを見るたびに、「『ネット関連企業』という十把ひとからげ的なくくり方で、投資家のパニックを煽っているのはマスコミだろう」とツッコミを入れたくなるのは私だけではないはずだ。

 冷静な投資家であれば、ライブドアを単純に Google、Yahoo、Amazon、などの企業などと比べるのは全くの間違いであることは十分承知なはずだ。Google などの「ウェブ・サービス」を本業にする企業は、技術力・企画力の強さで大きくなった企業であり、彼らの目的は「世の中のために役に立つウェブ・サービスを作り、その結果として株価を上げて株主・社員に恩恵をもたらす」ことにある。その意味では、「ソフトウェア」を本業とするマイクロソフト、「半導体」を本業とするインテルも、「世の中のために役に立つ○○を作り、その結果として株価を上げて株主・社員に恩恵をもたらす」の○○の部分に「ソフトウェア」、「半導体」を入れて読み替えれば良いだけのことだ。

 しかし、ライブドアの今までの成長の経緯を見れば、そういった技術・サービス指向の会社とはかなり異なったビジョンのもとに運営されてきたことが分かる。一年ほど前に、ライブドアの名前を初めて耳にし、業界の知人の何人かに「ライブドアってどんな会社」と尋ねると、誰もが口を揃えたように「M&Aで大きくなった会社」と言うではないか。その時はどうも腑に落ちなかったのだが、今になって考えてみると、良く理解できる。一口で言えば、ライブドアのビジョンとは、「M&Aにより会社の規模・株価総額を大きくし、そこで集まった資金を活用してネット業界・メディア業界の覇者になること」だったのである。

 注目していただきたいのは、アンダーラインを引いた部分である。Google や Microsoft などの企業が、「役に立つウェブ・サービス」や「役に立つソフトウェア」を提供することを会社のビジョンの中心に置き、それの実現のために優秀な技術者を雇い、それにより高めた技術力・企画力をテコにして市場で勝負し、その成果として会社の価値(株価総額)を上げたのに対して、ライブドアは、まず先にM&Aなので株価総額を上げ、高くなった株価総額をテコにして市場で勝負する戦略を採ったのである。

 「まず株価総額を上げて、それ(だけ)をテコにしてビジネスをする」という戦略がどのくらい危険なものかは、過去の光通信などの事例を見れば明らかだとは思うのだが、一度上がり始めた株を見ると「乗り遅れまい」と飛びつく投資家がいるかぎり、この手の事件は繰り返すのだろう。

 ものを作る立場にいる人間としては、「やはりウェブ・サービス・ビジネスは技術力・企画力で勝負すべき」と声を高くして言いたい。そんな意味で、私ははてなという会社が好きだし、今度立ち上げる UIE Japan もぜひともそんな会社にしたいと考えている。

【追記】一昨日オープンしたばかりの「ライブドア専用、トラックバックステーション」、実際にトラックバックをいただいたものも、私が手作業で追加したものもあるが、すでに58件集まった。ぜひとも活発なトラックバックのご協力をお願いする(ちなみに、トラックバック先は、http://www.uicentric.com/app/tb/tbreceiver.php?livedoor1)。

Comments

meigara

Meigaraです。私のヤフーメアドは光通信が大活躍していた頃に取得したものです。まさしく、「銘柄」。
今回、ライブドア株を売買していらした方々は「戦争を知らない子供達」ならぬ「光通信知らない投資家達」だなぁ、とちょうど思っていたのでコメントしてしまいました。
まあ、その人たちは「戦争を知らない子供達」という歌も知らない世代なのでしょうが...

イプログダイレクトの店長

ルール違反はいかんですねぇ。ただ一連のライブドアの動きの中には注目すべきある方向性があるのではないかと思うのです。違法性の話を一旦別にして考える必要があるのではと思うわけです。

汗水たらして物を作るというのが実業だという人々の気持ちはよーくわかります。^^;株を買うと1日にして1ヶ月の給料より利益がでたりするわけです。(逆も当然ありますがね。)

しかし、しかし、しかしなのです。今の日本では、自動的に誰もが投資家になっているのです。直接株を買ってなくても、年金資金の運用などで実質的に投資家なのです。ライブドアを現出させたのは、これらのマネーであることを忘れてはなりません。

そしてこのマネーは益々その力を大きくしているのです。

Satoshi

 イプログダイレクトの店長さん、コメントありがとうございます。おっしゃる通り、日本の場合、ベンチャーキャピタルが発達していないために、事業会社がベンチャーキャピタル的な動きをして資金を動かす傾向があります。全く否定するわけでもないのですが、やはり投資家と実業家の間にはある程度の線引きが必要なのではないか、というのが私の見方です。ヤフーという事業会社のおかげでその境を踏み越えずに「持ち株会社」としてやっていけているソフトバンクとの違いは見た目より大きいのではないでしょうか。

passageiro

IT企業は社長による社風も大きいと思う。

エンジニア魂をもった社長がいるIT企業はエンジニアとして面白い。

「こんな面白いことができるようになったよ!みんな見て、見て!」という子供のような社風があるし、社長が技術を理解しているので無理な仕様や納期があまりない。開発の方が楽しいから金儲けに無頓着だけど、技術があるので不思議とまわりから重宝される。

金儲けマインドの強い社長がいるIT企業はエンジニアとしてつらい。

無理な仕様と納期の下で、日々やせ細りながらガリガリとコーディングしている。金儲けマインドの強い人にとってITはどうでもいいんだと思う。金儲けの手段だから。たまたま今、IT企業が成長しているから目をつけただけであって、業種はなんでもいいんだろう。

IT企業であれ一般企業であれ、その企業の価値を生み出す社員と魂が共有できない社長がいる会社はつまらない。未来を切り開く技術系企業はエンジニアが輝く会社だ。

yas

彼は映画「ウォール街」観てなかったんだろうか?

来月からPerler

ライブドアは技術力は結構高いです。消えるには惜しい企業だったりします。
http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20060126

Satoshi

 確かに、ライブドア・ブログはあれほど急速に会員を伸ばしながら、きちんと運営されていたことを考えれば、外には見えない努力をライブドアのエンジニアたちはしていたのだと思います。そういった日々の努力の積み重ねで、こつこつと会社の価値を高めて来た人たちにとっては、今回の事件は大ショックだと思います。

きの

はじめまして。
毎回楽しく読んでいます。
今回のエントリーに気になったことがあります
のでコメントさせてもらいます。
>その結果として株価を上げて
>株主・社員に恩恵をもたらす
”株価を上げて”ではなく、”株価が上がり”
ではないでしょうか?
経営者が目指すべきは、企業価値の増大です。
株価(時価総額)は企業価値に追従して
価格が決まるものです。ただ市場が判断する
ので、企業価値に対して、高かったり、
安かったりすることもありますが、
経営者なり会社の意のままに
上がったり、下がったりするもの
ではないと思います。

Satoshi

 きのさん、確かにこういった微妙な言葉のあやには気をつけなければなりませんね。「結果として上げて」言えば、それは人為的に上げたものではなく、「会社の価値を上げることにより、自然と上がった」意味だと伝わると思ったのですが…。

surfthirty

はじめまして、Satoshiさん(とお呼びすればよろしのでしょうか?)。自分のブログに訪問しコメントまでいただいてありがとうございます。この記事を含め、いくつかの記事を拝見しました。なるほどなと思う部分も少なくありませんでした。ただ、評価軸は色々あるのだということだと思います。自分は、彼の挑戦者としての行動力という点で評価はできると思いました。彼を見て、ふるいたたされた起業家も多いですし(主に20代、30代ですが)。実際に、彼の出資で今があるベンチャー企業もあるそうですしね。彼より上の世代はともかく、若い世代への影響力は良くも悪くもあったのだと思います。ところで、自分は誤解してるかもしれませんが、Windows95を作ったって本当ですか?、スゴいですね。自分は卒業論文はwindows95のtexで書きました。懐かしいです。

Satoshi

 堀江さんに関し言えば、「自分自身が広告塔となって自社の宣伝をすること」、「硬直した日本の社会に風穴を開けようとしたかかんな態度」の二つに関しては、ものすごく高く評価しています。たった一つだけどうしても賛成できなかったのが、株価を上げてそれを利用して会社を買収をして会社を大きくして行くという戦略。その戦略を一度とると後には引けなくなってしまい、常に合法と違法のギリギリのところを歩かなければならなくなります。今回の逮捕は、あの戦略を採ってしまったゆえの必然的な結果だったのだと私は解釈しています。

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