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Web2.0を活用する10の方法、その4

060211_004717  「Web2.0を活用する10の方法」その4は、"Provide Continuous, Interactive User Experiences"。AJAXやFlashなどを使って、ウェブ・アプリケーションをインタラクティブなものにして使いやすくしようという話である。

 このウェブ・アプリケーションを使いやすくする、という方向性には私自身も大賛成なのだが、注意すべき点が幾つかあるので補足しておく。

 まずあたりまえのことだが、懲りすぎて逆に使い勝手を悪くしない様に気をつけること。メニューなどにFlashを過剰に使ったために逆にイライラさせられるサイトが未だに沢山あるのは嘆かわしいことだが、それがJavascriptを使ったサイトでも繰り返される可能性は高い。まずは、「ページ遷移させると明らかにユーザーにとって不便な部分だけを非同期通信を使ってページ遷移を避ける」、ぐらいの気持ちでAJAXを使うことをお勧めする。

 もう一つは、「Permalinkとサーチに配慮した上で作ること」である。一番良い例がブログであるが、作ろうと思えばAJAXを使ってページ遷移を完全に排除した「読みやすいブログ」を作ることは可能であるのだが、二つの理由でしてはならないのである。一つはページ遷移があるからこそエントリーごとにユニークなPermalinkがアサインされ、個別のエントリーへのリンクだとかブックマークが可能になっているのに、それがうまく働かなくなること、もう一つは、Googleなどのサーチエンジンがページ内の非同期通信で取得してくる情報までは考慮してくれないので、個別のエントリーがサーチ対象からはずされてしまうことである。

 ちなみに、筆者はそれでもAJAXを使いたいという人のための資料を提供してはいるのだが(参照)、私は必ずしもその方向性には賛成しない。明らかにブックマークもしくはサーチの対象として別のエンティティに遷移する場合には(非同期通信をせずに)明示的なページ遷移をさせる、というユーザーインターフェイスの方が、より直感的で分かりやすいと思うからだ。

 最後に細かな話だが、この「使い勝手」の話と、他の項目で触れている「ユーザー参加型」の話とは全く独立した話だということを認識しておくことは大切である。「Web2.0」を一般の人から見て一番分かりにくくしている一番の原因は、そもそも「Web2.0」の定義が、このようにたまたま同時期に起こった幾つかの独立したトレンドをまとめたものだからである。ある人は「ユーザー参加型」のウェブ・サービスを指して「Web2.0的」と呼び(私はどちらかというとこちら)、別の人はJavascriptを使った非同期通信もしないウェブ・ページまで含めて「Web2.0的」と呼んでいるのが今の現状だが、これでは混乱が生じてもしかたがない。


スーパーボウルのコマーシャルにUIEngine登場!

FansField

 週末はスーパーボウル観戦のためにデトロイトに行っていたため、ブログの更新が滞ってしまったので今日はスーパーボウルがらみのエントリー。今年のスーパーボウルは、残念ながら負けてしまったが、Seattle Seahawks が出場することになり、シアトル中がお祭り騒ぎであった。ちなみに、写真は典型的な[?!]Seahawks ファン(左)と、私の席からの試合風景(右)。

 スーパーボウルと言えば米国で最も高い視聴率を稼ぎ出す番組として有名。Yahoo!スポーツによれば、「テレビ視聴率で歴代トップ10位のスポーツイベントを見てみると、第3位の1994年リレハンメル冬季オリンピック(48.5%)を除くとスーパーボウルの独占状態。1位は1982年1月24日の第16回スーパーボウルで、49.1%という驚異的な数字をたたき出している。」とのこと。

 このイベントに絡んで毎年話題になるのが、テレビCMである。今年のスポット広告料は30秒で240万ドル(約2.5億円)という驚異的な価格。米国でビジネスプランのディスカッションの際に、「スーパーボウルに広告を打つことも出来るけど…」などと良く引き合いに出されるが、これは「莫大な広告費を使って広告宣伝すること」と同義語である。そんなスーパーボウルのCM枠をどの会社が買い、どんなCMを流すのかが毎年話題になるのである。

 ただでさえ毎年楽しみなのに、特に今年は弊社の重要なパートナー企業の一つであるESPN(スポーツ専門のケーブルTV会社)がCM枠を買い、それもUIEngineを使って作ったスポーツ情報の生中継サービスを全面的に押し出したCMを放映することになったため、社員全員でとても楽しみにしていた。

 実際のCMは、このリンクで開くウィンドウ右上の "Mobile ESPN Welcome to Sports Heaven" という文字をクリックしていただければ見ることができるのでぜひともご覧いただきたい。Mobile ESPNとは、スポーツに関する情報ならどんなものでもリアルタイムで得ることができるスポーツ・ファン向けの専用電話サービスであり、携帯電話網はSprint PCSのものを借用しながら、ESPNブランドの端末(Sanyo製)、スポーツ中継用のアプリケーション(UIEvolution製^^)を用意して差別化をして顧客を集めようというビジネス戦略である。

 ちなみに、この様に既存の通信事業者から電話網のみ借用して自分のブランドで携帯電話サービスを提供する事業者のことをMVNO(Mobile Virtual Network Operator)と呼ぶ。その中でも、スポーツファンをターゲットにしたESPNのMVNO事業はウォールストリートも注目する大プロジェクトだ。

 そんなMVNOサービスのためには、アプリケーションによる差別化が必須なのだが、Javaなどで作った通常のダウンロード型アプリケーションでは「サービスの顔」として常に最新の情報やサービスを届けるのが難しいし、ブラウザーで作った貧弱なユーザーインターフェイスでは使い勝手が悪くて仕方がない。そこで、白羽の矢が立ったのが組み込み端末向けのウェブ・アプリケーションをインタラクティブにするUIEngine。実際にゲームを観戦しながらチェックをしてみたが、試合中に動いたり止まったりする審判の時計までがわずか1秒遅れで生中継できているのには我ながら感心してしまった。

 個別のアプリケーションでの採用事例は沢山あるが、ネットワークに繋がった端末のユーザーインターフェイス技術としてUIEngineが全面的に採用されたのは、日本の「オンデマンドTV」社のIPTVサービス(インターネットを介したビデオ配信サービス)に続いて二番目である。日本ではIPTV、米国ではMVNOという違いが二つの国の違いを表していて興味深い。私としては、ずいぶん前から、このように「端末のユーザーインターフェイスはサービスの顔」と認識してくれるサービス事業主が増えることを望んでいたので、MVNOであれ、IPTVであれ大歓迎である。


Web2.0を活用する10の方法、その3

 「Web2.0を活用する10の方法」その3は、"Encourage Unintended Uses" (想定外の使い方を奨励しろ)。筆者は幾つかの意見をまぜこぜにして述べているので少し分かりにくいが、コアとなる意見は「『このサービスはこう使うべき』と決め付けて作らずに、ユーザーが自分なりに工夫して使えるようにした方が良い」ということである(ちなみに、筆者はこれに加えて、mash-up や remix しやすいようにサービスAPIを用意した方が良いとここで言っているが、その点に関しては「その5」でも触れているので、ここではスルー)。

 「ウェブ・サービスを作るときは、あまりきっちりと型にはめずに、少しルーズに作っておいた方が、ユーザーがクリエイティビティを発揮できる」という話は、前回のWeb2.0カンファレンスでも話題になっていたが、「もの作り」に慣れた人の方が逆に見落としやすいコンセプトなので要チェック。

 この「想定外の使い方を奨励する」という考え方を分かりやすく説明するために、仮に「家計簿」をウェブ・サービスとして提供する立場になったと考えてみよう。

 従来型のパッケージ・ソフトウェアの作り方に慣れた人であれば、「一般の主婦がどうやって家計を管理しているか」を調べて、それに基づいて入力してもらう項目を決めたり、入力したデータからどんな情報を引き出せるようにするかを決めて行き、最終的には「家計とはどうやって管理すべきか」というノウハウまでも含めたソフトウェアを作るのが成功への道だと考えるだろう。

 しかし、ユーザー同士がブログなどを通じてコミュニケーションを持つことがこれほど容易になった今の時代にウェブ・サービスとして家計簿を提供するのであれば、あえて「家計とはどうやって管理すべきか」という領域には踏み込まずに、その部分に関してはユーザー自身がかなり自由度を持って使いこなせるようにして設計しておく方が大切なのである。その結果、上手に使いこなしたカリスマ主婦たちがそれぞれのブログで「家計簿サービスの使い方」のノウハウを公開し始めたりすればこっちのものである。ひょっとしたら、このサービスを家計簿ではなくてサークル活動の予算管理に使ってしまう人たちまで出てきてしまうかも知れないが、それでもぜんぜんかまわないのである。

 今までのパッケージ・ソフトウェアが「市場調査に基づいて、ユーザーが何を必要としているかを探り出して、そのニーズにマッチした商品を作り込んでから市場に出す」方式であったのに対して、ソフトウェアがサービスとして提供される時代には、「そもそもユーザーがどんなものを必要としているか、どんな使い方をするかを予測するのは難しいのだから、できるだけ自由度の高いサービスを提供して、ユーザー自身がその上でクリエーティビティを発揮できるように設計しておく」方式の方が有効なのである。


Web2.0を活用する10の方法、その2

 「Web2.0を活用する10の方法」その2は、"Make Content Editable Whenever Possible"。「可能なかぎりコンテンツをユーザーに開放して好き勝手に変更や追加ができるようにするべき」、という話である。筆者は、Wiki をその極端な例として挙げているが、キーとなる言葉は "Wisdom of crowd"(集団の知恵)。"我々の誰一人として、我々全体を会わせたよりも賢くはない(none of us is as smart as all of us)" という言葉もこの「ユーザーにコンテンツを作らせる」サービスのポテンシャルを良く表している。

 私自身は、今のWiKi という形は本来あるべき姿からはまだまだほど遠いと感じている。一般ユーザーにまで安心して使ってもらえる様になるためには、まだやることは沢山あるように思えるのだ。しかし、そういったツールだとか、ビジネスモデルだとか、コンテンツの整合性を保つ仕組みだとかが今後何年かの間にどんどん進化して行けば、ある時点で必ず「そういった仕組みで作ったコンテンツの方がプロの編集者が集めた情報誌や書籍などよりもはるかに信頼できる」と認識される時代が来ると信じてもいる。

 私が何気なく作った「ラーメン大好き」がいつの間にかどんな雑誌よりも信頼される「ラーメン情報ポータル」に進化してしまう可能性だってゼロではないところが今の時代の面白さだ。従来型の情報雑誌の編集者がどんなに頑張ったとしても、何万人・何十万人のラーメンファンが一緒になって作る「おいしいラーメン屋さん」リストにかなうわけがないのだ。

 ちなみに、このエントリーを書いていて三年ほど前に Smart Mobs (賢い群衆)という本を知り合いに強く勧められて読んだことを思い出した。その時はあまりピンと来なかったが、今ならもっと深く理解できそうな気がする。本箱から引っ張り出してもう一度読んでみることにするか…。


UIE Japan 正式設立

Masyaka 11月の末に設立宣言をした UIE Japan だが、順調に設立メンバーも集まり、今日正式に会社登記を行ったのでここで報告。

 考えてみれば、初代社長をしてもらうことになった今野氏も含めて(私は会長)、なんとメンバー全員をこのブログを通じてリクルートという形でスタートすることになった UIE Japan。ひょっとするとこれは日本初どころか、世界初かもしれない。

 ブログとGoogle Baseで求人するなど、うまく行くものが自分でも半信半疑だったが、予想以上に反応は良く、なかなかユニークな人材を集めることができた。どのメンバーもそれぞれに個性的なので、何か面白いことを起こしてくれそうでワクワクしている。

 会社登記を記念して、今日設立したばかりの UIE Japan からささやかなプレゼント。ちょっとユニークな携帯電話向けのサービスだ(もちろんベータ版)。QRコードを貼り付けておいたので、DoCoMo の携帯電話をお持ちの方はぜひとも試していただきたい。実際のターゲットユーザーは、女子高生を中心とした「ケイタイ世代」なので、このブログの読者層は「何これ?」と思うかも知れないが、そこは大目に見て欲しい。UIEngine という組み込み機器向けの AJAX 技術とウェブ・サービスを組み合わせるとどんなことが可能になるかをチラッと覗き見る、ぐらいの気持ちで試していただけるとありがたい。


Web2.0を活用する10の方法、その1

051106_090522  会社のエンジニアの一人が見つけてきた Dion Hinchcliffe という人の「Ten Ways To Take Advange of Web 2.0」というブログエントリー。未だに「Web2.0とは何か」を延々と議論し続けている理論先行型のブログが多い中、実際のウェブ・サービス・ビジネスにどう活用したら良いかをきれいにまとめてある点が評価できる。

 英語の勉強にもなると思うので、ぜひとも原文を読んでいただきたい。

 と突き放そうかとも思ったのだが、毎日のように私のブログを読みに来ていただいている方々への感謝の意味も含めて、私の意見もまぜながら、解説して行こうかと思う。ただし、結構内容が濃い記事なので、一度に全部を解説するのは時間的に難しい。そこで、一つずつ順番に解説して行く。

1.Encourage Social Contributions With Individual Benefit

 筆者は、「みんなが寄与することによってよりサービスの価値が上がって行く形のサービスを作るときには、その人個人が寄与することによって何か(たとえ他の人が寄与しなくても)すぐに得られるメリットを与えてあげなければいけない。」と言っており、ソシアル・ブックマークの del.icio.us を例に上げている。

 この点は私もつくづく感じていることだが、ソシアル・ネットワーク的なサービスを立ち上げる時に陥りやすいワナは、「沢山の人が参加してくれれば価値がものすごく価値が出るが、人数が少なかったり、参加する人たちの寄与が少ない時にはほとんど価値がない」サービスを作ってしまうことである。そんなサービスを一生懸命作ってしまったのだが誰も使ってくれず、「なんで皆使ってくれないのだろう。皆が使ってくれれば良さが分かるのに。やっぱりお金をかけて宣伝できる Yahoo にはかなわないな」などと嘆いているウェブ・サービスの運営者は世界中に沢山いることは容易に想像できる。

 そんな意味で、ソシアルネットワーク的なサービスでありながらも、サービス立ち上げ時のソシアルネットワークの効果が出てくる前から、すぐに使っている人にメリットを与えてくれる設計にしておくことは、ものすごく大切だいうことである。この観点で、私が最近実験的に立ち上げた二つのサービス、「ライブドア事件専用トラックバックステーション」と、「今日のひとこと」を比べてみると面白い。

 前者は、今話題になっている「ライブドア事件」に関するトラックバックを集める仕組みだが、あまり盛り上がっていない(現時点で87個)。トラックバックを送る人のメリットはそこからのトラフィック増であるが、そもそもそこにたくさんのトラックバックが集まらない限り、このトラックバックステーションを訪問する人も少ないので、初期の段階でトラックバックを送る人にとってのメリットは小さく、わざわざ手間をかけてトラックバックを送るだけのインセンティブがないのである。

 それに対して、「今日のひとこと」の方は、サービス当初からどんどんと投稿が入り、今や投稿された「ひとこと」の数は1000を越しててなお増え続けている。トラックバックと違ってブログを持っていない人でも無記名で参加できる点も手軽さも寄与しているのだろうが、やはり自分が投稿したひとことが見知らぬ誰かに読んでもらえるかも知れないというドキドキ感がサービス当初からあったのが良かったのだろうと私なりに解釈している。


CNET Japan での連載開始

051130_123053 既に気が付いている方も多いと思うが、今週から CNET Japan でもブログを書き始めた。

 ネット時代のデジタルライフスタイル

 身内からは、「ブログばかり書いていて仕事をする時間があるんだろうか?」と揶揄されながらも書き続けているこのブログだが、それに加えてもう一つブログを書こうというのである。

 私なりの言い訳言い分は、「今は企業の経営者がブログを利用して、自ら広告塔となる時代だからブログ書かいている」のである。もちろん、昔から趣味で仕事をしている趣味と仕事の境目がほとんど無いような働き方をして来ている私だし、このブログも趣味で書いていたらいつの間にか仕事に役に立つようになっただけ自分の視野を広げ仕事に役立てようと書き始めたものである。その意味ではCNETでブログを書くことは会社にとってかならずプラスになるはずである(つまり、今後は堂々と胸を張って仕事中にブログが書けるということである^^)

 かと言って、このブログと同じように「科学うんちく」から「男の料理」まで含めた全方位的なエントリーを CNET で書くわけにも行かないし、差別化もはかれないので、CNET では「さまざまなデバイスがネットワークに繋がる時代のライフスタイルとは」というテーマに絞って、私の会社の実現しようとしていうことなど書いていこうと思う。