「ムーアの法則」とUIEngine
大規模ソフトウェアプロジェクトの臨界点

三日月の絵にツッコミを入れてみる

 少し堅苦しい話題が続いてしまったので、今日は気楽に科学うんちく。今日の標的は「三日月の絵」だ。

 頭が思いっきり理科系な私は、何を見ても科学的に分析してしまうクセが抜けない。例えば、子供の絵本の表紙にこんな絵(引用元へのリンク)を見かけた時。

Mika_1_1  

 間髪を置かずに、「この絵はおかしい。三日月の暗い部分に星が見えるはずがない。」とツッコミを入れたくなってしまうのだ。昔は相手が子供だろうと誰だろうと、いきなりそんな感想を口に出してしまい、変人扱いされていたのだが、最近は少し気をつけて相手を見てから発言するようにしている。特に早く絵本を読んで欲しくて待っている子供にとっては、表紙の絵が科学的に正しいかどうかなどはどうでも良いことだ、ということぐらい私にも分かってきた。だてに二人の息子の父親はしていない。

 そんな私でも、メルヘンを理解しないわけではない。例えば、こんな絵(引用元へのリンク)を見たとき。

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 さすがの私でも、「月が水に浮くはずがない。人が上に座れるはずがない。」などとは思わない。これはあくまでメルヘンの世界を描いた「絵の遊び」であり、そこに科学を持ち込む必要はないし、期待されてもいない。
 しかしである。たとえメルヘンの世界の三日月だと分かっていたとしても、どうしても許せないタイプの三日月がある。こんなタイプの三日月である(注:当初のエントリーのものとは絵を差し替えてある。詳しくは追記を参照)。

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 人が月に座っているのもかまわないし、向こう側に雲が見えてしまっているのも許す。ただ、どうしても許せないのが、明るい部分が180度以上になってしまっていることだ。三日月の暗い部分は自分自身の影なので、明るい部分が180度を越すことは決してないのだ。 本当の三日月は、こう見える(引用元へのリンク)。

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 絵を描く人からすると、少し誇張して描いた方が構図的にも良いし、座り心地も良さそうだからこうしているのかも知れないが、そもそも百歩譲って座ることを許しているのだから、座り心地が少しぐらい悪いことは我慢していただきたい。

【追記】3番目のイラストに関しては、第三者のものから私がペンで書いたものに差し替えた。例えこんな形のエントリーであったとしても、ツッコミを入れられる側としては愉快ではない場合がある。ユーモアのセンスは人それぞれ異なるので、たとえこちらに悪意がなかろうと相手の気分を害してしまえばこちらの責任である。申し訳ないことをしてしまった。ここでお詫びをする。

Comments

izumi

「どうしても許せないタイプ」として挙げているパターンは、見かけを金環食として考えればあっても良いと思いますよ。観測点を地球、対象を月とした場合、太陽-地球-月の順に並び、「太陽がより大きい、または地球がより小さい」か「太陽が地球に近い、または地球が月に近い」パターンで発生するでしょう。ただ、想定している質量や恒星惑星間距離で太陽系がバランスするのかはわかりません。
いずれにしても、自ら光を放つ「本来と金環食」と違い、恒星からの光を反射することで「自らをさらす月の姿」というものは、美しいかもしれません。Satoshiさんの挙げたパターンの絵を見ると、私はそんな世界を見たい、と思うタイプの人間です。

shun

月食?と思いましたがファイル名が思いっきり mikaduki.jpg なんですね… moon.jpg 位にしておけば中島さんにつっこまれなくてすんだのに(笑)

ill

最後のイラストの引用元、無断転載禁止って書いてあるんですけど・・・

Satoshi

>最後のイラストの引用元、無断転載禁止って書いてあるんですけど・・・

ですね。ご指摘ありがとうございます。後付けですが、許可をお願いしておきました。

hiro

いつも興味深く読ませていただいています。

この記事、すごく気持ちがわかるので思わず笑ってしまいました(^-^)。
そして一度気になると、何度見てもつっこみたくなっちゃうんですよね。。
困ったものです。

やなせ

あー、分かります分かります!
漫画とか、対戦ゲームとかでもよく心の中でツッコミをいれます。

にしても、着眼点が素晴らしい……!

tatsuya

お気持とってもよくわかります。

僕も、明るい部分が180度以上になっている三日月の絵には心の中で「んなことあるかい!!」とつっこみを入れています。

ただ、その理由を説明しても理解してくれる人が少ないんですよね。
特に家の奥さんは...

katu

追記が書かれ、少しほっとしました。
本当にセンスあるユーモアは、誰も傷つけないものであって欲しいと思います。
ずっとsatoshiさんの文章を楽しませていただいてきた者として、非常に残念に思いましたので…。
これも勝手な言い分でありますが、次のユーモアは楽しいものである事を期待してます。

Hyaru

三日月の黒い部分が抜けている・と仮定して絵が描かれた時点で,「明るい部分が180度を超えてはいけない」とするのは意味がないようにも思いますがどうでしょう?

ところで,月の満ち欠けの真実は私は「地球照」を見るのが一番だと思い,自分の子供には努めて機会あるごとに見せましたが,明るい部分が180度を超えないような月の絵は,だいぶ注意しないと描けるようになれませんでした。。。

satoshi

>三日月の黒い部分が抜けている・と仮定して絵が描かれた時点で,「明るい部分が180度を超えてはいけない」とするのは意味がないようにも思いますがどうでしょう?

 そう言われてみればそうなんですが、そこだけはなぜか譲れないんですね。

絵心

satoshiさんもご指摘のように、絵の世界に科学的正確さを持ち込むのは野暮といものです。科学的正確さを求めるなら、現実には星形の星などないし、月と星の大きさの比もおかしい、となってしまいます。

絵の面白さはいかに見る方の想像力を刺激するかということだと思います。これは科学的正確さよりもはるかに重要だと思うので、私はつっこむ気が全く起こりません。

oomori

月の表面の細かい凹凸による異方性と 光の回折による
まわりこみによっては、180度を超える可能性もあるように
思えるのですが…。

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