「ムーアの法則」とUIEngine
2006.03.28
CNET Japan でのブログの連載を始めたのは1月の末からだが、このブログとのバランスをどうするかは結構悩みであった。そこで、CNet側ではある程度テーマを絞り連載コラムの様に書く、という手法を採って来たのだが、その日に思ったことを気楽に書くこのブログと比べると、まだまだ違和感がある。どうにかこうにか、編集者との「週に1~2個のエントリー」という約束をぎりぎりのところで果たしている、とう所である。
ちなみに、これを引き合いに出したのは、今朝のエントリー「ソフトウェアの肥大化とムーアの法則」に結構私としては重要だと思っていることを表現することが出来たので、このブログの読者にもぜひとも読んでいただこうと思ってのことである。
言いたいことの要点は、最後の段落、
それが実現できれば、「ムーアの法則」がもたらすものを「プラットフォームにどんどん機能を詰め込む」という方向性の進化に消費してしまうのではなく、「プラットフォームをより多くのデバイスに広げ、アプリケーションやサービスをより多くのデバイスを通してユーザーに届ける」という方向性の進化に活用できるのではないか、というのが私の考えである。
に集約されている。Microsoftでは、Windows、Internet Explorerという二つのソフトウェア・プラットフォームの開発に関わってきた私だが、どちらのケースでもソフトウェアが手に負えないほど肥大化してしまったのが嫌で仕方がなかったのだ。
それを反面教師として作ったUIEngine。シンプルさ、小ささ、必要とするCPU能力の低さ、ハードウェアへの移植の容易さ、の4点に関しては世の中のどのソフトウェアプラットフォームよりも優れていることを自負している。ようやく携帯電話、セットトップボックス向けのウェブ・アプリケーションに使われる様になってきたが、もちろんそこで止まるつもりは全然ない。その先にある、テレビ、デジカメ、カーナビ、ゲーム機器などのいわゆるデジタル端末はもちろんのこと、腕時計、リモコン、コピーマシン、冷蔵庫のドア、などの「ウェブ・アプリケーションを走らせることなど誰も想像すらしない」デバイスから、LCD付きのクレジットカード、街角で無料で配っているティッシュペーパーに仕込まれた広告用の電子ペーパー、案内機能付きのディズニーランドのチケット、といったSFチックなデバイスにまで自分たちが作ったソフトウェア使って面白いサービスやアプリケーションを届けたい、という大胆な夢を持っている、それがUIEvolutionという会社である。
米MSは、先日、Windows部門のトップ人事交代を発表した。
Office部門であったSteven Sinofsky氏をWindows部門へ。
ところが、メディアによると、同氏は、Office機能をWeb化しようとした「Net Docs」を葬り去った人物という。
Windowsの問題点は、まさにWindowsの肥大化にあったのではないかと予想される。開発期間の長期化は、時として、自身のリスクを広げることになる。クリステンセン教授が指摘する「Innovator`s Dilemma」だ。いま、世界はネットワーク・コンピューティングへと変化している。過去の成功(Office製品)は必ずしも未来を約束していない。
UIEngineは、「まったく新しい世界」を照らしながら、「新しい価値」を自ら切り拓こうとしている。中島さん、楽しみにしております!
Posted by: Maki | 2006.03.28 at 12:31
ディズニーランドの年間パスポートに電子ペーパーのような液晶がついて、来園履歴やその他のサービスの案内が表示できるようになったら、いいのかなぁ。
エントランスゲートを非接触で通過したときに情報を受信して、あるいはクレジット機能がついて、レストランやショップでの使え、ポイントが溜まると期間延長できるとか、ショーの良い席が取れるとか。。。でもヘビーリピーター向けのサービスになりそうで、遠方から訪れるゲストにはメリットすくないかなぁ。
1日券も上記のようにして、回収型にすればそれなりに有効かもしれない。お金使った分だけ得する仕組みにして、そこのインターフェースが、UIEngineということですね。
Posted by: & | 2006.03.28 at 17:44
これを実現するためのサーバーサイドの技術の不足、及び、実現するためのソフトウェア・アプリケーション開発のノウハウが十分蓄積されていない現状に大きなチャンスがありそうですね。ワンサービスをマルチプラットフォームで動作させるには、ソフトウェア・アプリケーション開発において今までと全く異なる考え方が必要になるのでしょう。
よりイノベーティブな人材や会社を発掘することが普及の鍵となるのかもしれませんね。携帯等の小型デバイス向けの技術、FlashLite、オペラプラットフォーム、MIDAS,フルブラウザ等も「ムーアの法則」の呪縛から逃れられないように見えます。
とにもかくにもUIEngineが楽しみです。
Posted by: UIEngineだ | 2006.03.28 at 18:29
入園履歴は彼氏だけが行ってる日があるとかいう情報の齟齬が発覚するとまずいかも(^_^;)
冗談はさておき、TDRの様に閉鎖された空間だったらセンサーも置き放題、情報も取り放題ですよね。であれば、そこここにセンサーを設置しておいて、わざわざ登録するまでもなく、何人連れ、身長制限に引っ掛かる子供がいるなどの入園者のプロファイルを創りあげていって、空いてて制限に引っ掛からないアトラクション、現在地から最短で到着できるトイレはどこ、ご飯は今のうちが良いんじゃない? みたいな混雑緩和と個人に役立つ情報を伝える手段に使えそうな気がします。
Posted by: akion | 2006.03.28 at 19:51
ディズニーランドのチケットに電子ペーパーのような表示機能が付くと色々と面白いことができる、という点に皆さんの反応が集中しているところが興味深いですね。本当に色々とできそうです。&さんのご指摘された通り、まずは年間パスポートあたりから始めればコスト面も問題にならないし、リピーターの行動パターンをデータとして蓄積する、ランド外にいるときにも情報を送り込んで来場を促す、などが出来るのでビジネスとして十分に成り立ちそうですね。
Posted by: Satoshi | 2006.03.29 at 17:20
こんにちは。なんとなく直感ですが、坂村健教授のT-EngineとUIEngineは相性が良さそう。ユビキタスの理想も似ているし。
Posted by: ぶらぶら | 2006.04.03 at 01:48