SEOは「えせ科学」か?
2006.04.17
先日、「サーチエンジン最適化遊びのススメ」というエントリーを書いて、「スパムはやめてくれ」などと一部の人に叱られてしまった私だが、6日後の今日になって「サーチエンジン最適化」でググると、一ページ目は逃したが、二ページ目のトップ、11位に入っている(参照)。なかなかの健闘である。(【追記】7日目現在は10位^^)
では、私がどうやってあのエントリー(そして、一つ前の「Fカップ」のエントリー)をサーチ結果の上位に入れたか、種明かしをしよう。
実は俗に良く言われるところのSEOは一切施していない。トラックバックなどもいっさい打っていない。ただ、エントリーを書いただけだ。「え?」と思うかもしれないが、本当だ。
Googleのサーチビジネスに関して勉強してみると明らかになることだが(推薦図書:「ザ・サーチ」)、Googleが一番嫌うのは、ユーザーにとって価値のあるサイトではなく、SEOを人為的に施したサイトが上位に来ることである。インターネット黎明期のサーチと、Googleのサーチの根本的な違いはそこにあり、それが故にGoogleはあれほど成功しているのである。
つまり、「人為的なSEOなど施せないようにすること」がGoogleのサーチに関わるトップ・サイエンティストたちに与えられた使命であり、そこがGoogleの生命線なのである。一時的にある種のSEOが効果を表したとしても、それはGoogleにとっては「退治すべきバグ」になるだけのことである。効果が高ければ高いほど、「次に退治する標的」になりやすく、悪質なSEOとみなされると「Google八分」にされてしまう可能性だってある。
そこで私が到達した仮説は「人為的なSEOなんて、(ごく基本的な、『ちゃんとしたHTMLを生成しておく』以外のことは)しても仕方がないのではないだろうか?それよりも、中身の濃いエントリーを書いて、より多くの人に読まれ、多くの人に実際にリンクを張ってもらうことがGoogleのサーチ結果の上位のポジションを取る一番の近道なのではないだろうか?」というものである。
その仮説を証明するために、あえてSEOのたぐいは一切施さず(注:ただしTypepadのMETAタグの自動生成を禁止したりはしていない)、その代わりに少し内容を刺激的にして、物議をかもしだすことを狙って書いたのが、例の二つのエントリーなのである。
この実験結果を見るかぎり、妙に人口的なSEOを施すよりも、内容で勝負した方が良いという私の仮説は正しいように思える。
こう考えてみると、「SEOビジネス」というものが、かなり「えせ科学」っぽく思えてくる。「あなたのサイトのトラフィックを増やすにはSEOを施す必要があります」と言うコンサルタントのセリフが、えせ科学者の「この水は分子構造が普通の水とは違い、これを飲むと体の中の悪いものが排除されます」というセリフと妙に重なる。
「結局のところ、サイトの内容を充実させて人を集めるしかありません」ではコンサル料は取れないからSEOなのだろうが、それがまた「水道の水で結構ですから、毎日沢山飲むことが健康の秘訣です」と言っても儲からないセールスマンが訳の分からない水を高く売りつけている姿と良く似ている。
(あ、また物議をかもし出すエントリーを書いてしまった^^;)
結論である「内容で勝負したほうがよい」というところには全面的に同意します。良いSEOも悪いSEOもなくて、SEOは基本的に全て悪いのではないかと。
ただ、それなりに上位にくる理由はLife is beautifulというブログ全体が既にかなり高いランクにあるからが理由で、該当の単独エントリが面白いからというわけではないでしょう。だから、これだけでは仮説の証明にはならないはずです。
新規に無料ブログサービスを借りて、いっこぽつんとエントリを書いても、絶対上位にはきません。
全く同じエントリを1週間あとにLife is beautifulに書けば、たちまち上位にくるでしょう。
まあ、そんなことは全て承知の上で書いてらっしゃるのだとはおもいますが。
こんな実験をしなくても、Life is beautifulというブログのpage rankの高さが既に仮説を証明していると思います。
Posted by: こじま | 2006.04.17 at 02:51
ちょくちょく参考にさせていただいてます。ありがとうございます。私もインスパイアされてチョット試してみました。タイトルはこれ→★★超過激 無修正動画 無料 見放題★★。先述のコメント(こじま様)の思考が先にあったので、つまり「人気のあるLife is beautiful様と、見向きもされない当方では結果に違いがあるはずだ」という仮説の検証をしてみたかったわけです。まだ記事をアップしてからあまり時間がたっていないのでなんとも言えないですが、Googleではたぶん埋もれるでしょう。(実はこの手のサイトが多すぎる!、もう少し違ったタイトルのほうが良かったかな?と反省、ググってそのままクリックしそうになった(W)。別のサイトでwinnyを引き合いに出した記事をエントリーしたらかなり違う方面からアクセスはありましたが・・・)
いずれにせよ、結論は「よいコンテンツを継続的に発信する」のがやはり重要。誰もが同意できる点ですね。更にサーチエンジンで上位ポジションに位置することと、ビジネスに結びつくことは別かもしれません・・・。また何か面白いこと実施してください。
Posted by: kuu | 2006.04.17 at 03:58
いつも楽しく拝見しています。
サーチエンジンが賢くなって、最近ではそういったこともなくなりましたが、SEOなんていう言葉がなかったインターネット黎明期には、ほしい情報を直接検索するのではなく、質のいいリンク集をまず探していたのを思い出しました。
リンク集からリンク集を渡り歩いて、最初にほしかった情報の周辺情報も知らずに詳しくなるという楽しさは失われてしまった気がします。
こういうのって懐古趣味ですかね?(^^;)
エントリーの趣旨とちょっとずれたコメントで申し訳ないです。
Posted by: Otchy | 2006.04.17 at 04:40
山口です。先日のエントリーは、実験的な「釣り」でしたか、我々は釣られちゃったのかな?
それはともかく、こじまさんが書いてる通り、中島さんのブログは既にPageRankが高く、Googleから信頼性の高いものとして認識されているはずです。
(ただしPageRankも、それを上げる為に特化したリンクファームを利用する輩が増えたため、今ではあまり検索結果に影響しない、という話も聞きますが・・・)
ともあれ、総論として「しっかりした内容を書く」ことが(多様な意味で)「サーチエンジン対策」として一番有効である、というのはまさに正論と思います。
Posted by: karate | 2006.04.17 at 04:42
女性のファッションに例えれば、ヤマンバスタイルだったり、名古屋嬢だったりという、最新の流行を追い掛け続けるのが、いわゆる(エセ科学的な?)SEOコンサルティングの仕事なんだと思っています。いつも最新の服を買いそろえるのに多大な投資が必要ですが、それはそれで、その時々に世間で注目されるのは間違いないわけで。
それに対して、健康や体型といった、本質的に変わらない、真の美しさというものが、いわばまっとうな(?)SEOというやつです。
しかし、コンサルを依頼する側がそのことを理解しているかというと、そうではないし、SEOコンサル側も積極的にそのことについて顧客にレクチャーしようとはしないでしょうね…。
(ファッションのたとえは必ずしもうまくないかもしれません)
Posted by: 幸之介 | 2006.04.17 at 04:43
「Google.co.jp」において、『アップル』と入力して検索すると、検索結果は『食べるリンゴ』ではありませんでした。
これは、Satoshiさんがご指摘されている点と関係が深いのかもしれませんね。確かに、PCを使って小さな子供が「アップル」を調べることはないのかもしれない・・・。
1.『アップル社:Macintosh、MacOS、QuickTimeの開発・製造・販売。』
2.『アップルワールド.com:即答可能ホテル、続々増加中!』
3.『車買取、中古車無料査定のアップル』
4.『FMアップル - エフエムとよひら』
5.『【 carview 】アップル 査定』
Posted by: Maki | 2006.04.17 at 12:53
幸之介さん、たとえるのであればやはり食べ物でしょう。「これからはアガリスクだ!」、「卵油で病気しらず!」と消費者を躍らせて健康法や健康食品を売り歩く人はたくさんいますが、昔からの「色んなものをバランス良く食べる」という健康法は、金にならないし、新規性が無い、という理由から取り上げることはありません。
Posted by: Satoshi | 2006.04.17 at 13:31
食べ物の例え、お見事ですね。(笑)
おいしいものをバランスよく食べたいものです。
Posted by: 幸之介 | 2006.04.17 at 17:18
Satoshi さんのコメント気持ちよく読ませていただきました。
近年シアトル在住日本人の間ではびこる『還元水』なるマルチ商法は私も非常に懐疑的な立場をとっています。『看護婦さんの顔の染みがあっという間にとれたの』『二週間後に手術する予定だった人が還元水飲み始めたら、腫瘍がどんどん小さくなってお医者さんが驚いた』・・・
生きているかぎり誰しも自分が世話になった人や大切な人がいて、そんな人が病に苦しんでいる。その姿を見て「万が一にでも」と藁にもすがるような思いを利用して売り上げを伸ばし、『マルチ』の仲間に加えることによって批判を逃れつつ、『犠牲者』をどんどん増やしてゆく。
試験管の一本をふったことも、オートクレープで機器を滅菌消毒したことも、クリーンベンチを使用したことも、科学的な目でものごとを捉えたこともない人々が、”あるある大辞典”で見た程度の知識をひけらかすのは醜悪でしかありません。
一人でも多くの人がこのことに気づいてくれるよう願ってやみません。
Posted by: 民森 | 2006.04.17 at 17:23
話題は変わりますが。アメリカの特許制度が、従来の「先発明主義」を止めて、「出願主義」に替えると。MSの敗訴が引き金ですか?
http://www.randdmanagement.com/c_gijuts/gi_197.htm
Posted by: snowbees | 2006.04.19 at 04:02
Satoshiさん、米国特許制度が変わる可能性があることは、本年2月に、米国政府に対しても発言力を持っている某社幹部が次のように発言していたことから何となく推測しておりました。ただし、同氏は『著作権法』に関しては、変更は困難であるだろうと述べています。Thomas F. Fridmanが述べた『Globalization 3.0』によって、われわれは長きに渡って築き上げてきたルールや規制を見直す目を養わなければいけないのかもしれませんね、きっと。イノベーションとは本来、われわれの生活に『感銘』『感動』『共感』を与えるものでなければならないだろう。時代は大きく変化している・・・。
Over the last 25 years the volume of patent applications has significantly increased around the world and whole new classes of patents have sprung up reflecting innovations in areas like software and biotechnology. These changes have overwhelmed our existing patent systems, and sparked calls for patent reform from just about every major panel that has addressed the subject of energizing innovation and competitiveness in society. In the US, such recommendations linking patent reform with innovation are part of the White House's "American Competitive Initiative", the National Academies "Rising Above the Gathering Storm" and the National Innovation Initiative from the Council on Competitiveness. Similar recommendations are heard around the world.
Posted by: Maki | 2006.04.19 at 13:26
先日、私のブログでGoogle AdSenseを利用してみようと考えて申し込んだところ、「お客様のサイトでGoogleの検索結果が不適切に使用されていることがわかりました」という申請拒否のメールが返ってきました。「お客様のサイトで Google の検索結果が引き続き使用されている場合は、Google の担当者よりこの問題に関して連絡させていただくことがあるかと思います」というちょっと高圧的な態度だったので、「ついにGoogleに睨まれてしまったか」とも思いました。
しかし、「具体的に問題箇所を指摘してくれ」と依頼したら、「再調査の結果、問題ないことが判明しました」とのことでした。結局、どこが問題と判断されていたのかは判らずじまいでした。satoshiさんのエントリの「Googleが一番嫌うのは~」の箇所を読んで「ははぁ」と思いましたが、Googleもちょっと神経過敏のようですね。
Posted by: mahiran | 2006.04.19 at 16:01
Googleは、エイジングフィルタを利用している可能性が大きいと思われます。目的は何か? かつて、インターネット上に検索エンジンサービスが開始された当初、検索結果の上位への表示を狙った様々な挑戦が行われていたからです。現在、上位のランキングはそのまま大きな経済効果を意味しているからです。今後、同社はエイジングフィルタの性能向上、もしくは、SEOアーキテクチャーのアップデートを検討するものと予想されます。その理由として、『ホンモノ』であるならば、常に"すごい"といわれる必要(Brand)にあるのではないかと予想されます・・・。
Posted by: Maki | 2006.04.28 at 14:18