今まで、このブログでも何回もGoogleとMicrosoftを比較して、Googleにばかり軍配を上げてきた私だが、Googleに弱点が全く無いと思っているかというと決してそんなことはない。そこで、今日はこのブログでも採用しているAmazon AffiliateとGoogle AdSenseとを比較した場合、どうして私が「長い目で見たらAmazon Affiliateの方が強いかも知れない」と思っているかを述べてみたい。
まずは、このブログでの過去数ヶ月の実データを元に、Amazon Affiliateの結果をまとめると以下のようになる。
・測定単位: 10万ページビュー
・クリック数: 約2500クリック
・注文数: 約150点
・アマゾンの売り上げ: 約25万円
・紹介料: 約1万5千円
まあ妥当な数値である。クリック率は約2.5%。クリックから実際の注文へのコンバージョン率は約6%である。この高いコンバージョン率のおかげで、1クリック平均で約100円がアマゾンの売り上げになり、そのうち5~6円がアフィリエーターに紹介料として還元されるのである。
Google AdSenseに関しては具体的な数値は規約上公開できないので、「クリック率ははるかに低いのだが、そのわりに分配金は悪くない」、とだけ言っておこう(これぐらいで規約違反だとは言いませんよね、Googleさん?)。
この状況は何を意味するのだろうか?結論から先に言ってしまえば、「Google AdSenseの広告主はお金を払いすぎているとしか思えない状況」なのである。
Amazon Affiliateに関して言えば、広告主はAmazon自身である。そのため、紹介料もページビューやクリック数などといったあいまいなものではなく、売り上げの結果の何パーセント、というものすごくはっきりとした数字である。そのため、Amazonには明確な広告効果が見えているし、紹介料も十分な利益を上げた上でアフィリエイターに支払うことができる。このビジネスモデルの美しいところは、アフィリエイターとAmazonの利害が100%一致していること、つまり、はっきりとした「win-win」の構図が出来ている点である。
それに対して、Google AdSenseの場合はGoogle自身が広告主ではなく、その先に本当の広告主がいる。その上、AdSenseを貼っている人に対しての分配金は、ページビューやクリック数などに比例して払われるだけで、その結果実際に売り上げに結びついたかどうかは誰も責任を取らない。それに加えて、AdSenseの料金はオークションで決まるため、ROIを正確に測るすべを持たない広告主たちが「とにかくサイトにトラフィックを集める」ためだけに競争すると、必要以上に広告費が高くなってしまう仕組みになっているのだ。
特に最近は、ブログエントリーの先頭に(つまりエントリーのタイトルと本文の間に)AdSenseを貼り付けるブロガーが増えているが、これはあきらかに「誤クリック」を狙ったトリックで(おお、韻を踏んでいる^^)、ブロガーとGoogleにとっては歓迎すべき行動だが、広告主にとってはたまったものではない。
言い換えれば、Google AdSenseに関して言えば、全員の利害が必ずしも一致していない―つまり「win-win」の構図が成り立ち難い構造になっているのである。
「win-winの構図が作れないビジネスモデルは長続きしない」というビジネスの大原則を適用すれば、Amazon Affiliateは「末永く今の形で続かせることが可能なビジネスモデル」だが、Google AdSenseは「このままの形で維持するのは難しいビジネスモデル」と言える。
この結果すなわち「Googleのビジネスモデルは虚構」という極端な話では決してないのだが、少なくともこの「必ずしもwin-winの関係ではないGoogleと広告主の関係」が、MicrosoftやYahooなどに付け入るスキを与えるのではないかと私は考えている。
【追記】 ちなみに、私のブログのデータだけだと信頼性に欠くので、ブログをお持ちの方でAmazon AffiliateとGoogle AdSenseの両方をしている人にはぜひとも、それぞれのサービスの1クリックあたりの紹介料・分配金を比較して報告していただけるとありがたい。