世界の中心で「Contents is King!」と叫ぶ
2006.07.25
古川さんのブログで知ったのだが、「トイレ進化論、本当の大変化はこれから始まる!?」で紹介した「The Ten Faces of Innovation」の日本語訳が、「イノベーションの達人」という題名で出版された。Tom Kelleyのもう一冊の本、「発想する会社!」と会わせて読むことをお勧めする。
Tom Kelleyを初めとするIDEOの人たちが発信するメッセージの中で一番重要なのが「ユーザー指向」のもの作り。エンジニアが集まると、とかく「CPUがどうだ」とか「3Dがどうだ」という個別の機能面にばかりフォーカスが集まってしまい、ユーザー不在のもの作りが進んでしまう。
私の一番の興味の対象である「ネット家電」で言えば、BMLによるデータ放送や、テレビに搭載したHTMLブラウザーが典型的な失敗例。明らかに「新技術の導入」だけが先行して、その上で提供されるサービスがないがしろにされているため、「誰も使っていない」に等しいのが現状だ。
技術の話はさておいて、まずは「ユーザーにどんなことをして欲しいのか、どんなライフスタイルを提案したいのか」をしっかりと考えるべきである。メーカーの人たちと話をすると、十中八九、彼らは「UIEngineはFlashやJavaとどう違うのか」という個別の技術論ばかりしたがるので困る。そんな価値観でテレビやハードディスクレコーダにUIEngineを載せてもらっても、ブラウザーと同じ運命をたどるだけだ。
対照的なのはハリウッドの人たち。彼らの考え方は思いっきりユーザー指向で、「技術のことは君たちに任せるから、すばらしいユーザーエクスペリエンスを提供することだけを一緒に考えよう」という態度で来てくれるので仕事がはるかに進めやすい。こうなったらまずは彼らと手を結んで、UIEngineを使ったコンテンツ・ポータルを先に作ってしまおうかと真剣に考えてしまう今日このごろである。"Contents is King"!
「UIEngineはFlashやJavaとどう違うのか」
↑これは本当にその通りですね。困りものです。何回私もこの質問を受けたかわかりません。
「UIEngineを使ったコンテンツ・ポータル」
↑これ是非作りましょう。
ユーザーから見たらそれがUIEngineかどうかはどうでも良いことのなので、まさに、「Contents is King!」かと。コンテンツをユーザーシーンを越えて届けたいと思っているコンテンツホルダーを助けられる技術でありたいものです。
Posted by: UIEngineだ | 2006.07.25 at 14:39
応援ありがとうございます。Disney/ESPN以外のハリウッドコンテンツに関しても、順位発表できると思いますので、期待していてください。
Posted by: satoshi | 2006.07.25 at 15:13
おじゃまします。メーカーの人のこういった発言は、日本人なりの、相手への気遣いが入ったため、というのも少しある気がします。いいものを作りたいなら、一緒に作る仲間に気を使うより、ユーザーに気を使った方がいいとは思いますが。
Posted by: hskksk | 2006.07.25 at 19:18
手厳しい一言を。だが悔しいかな真実也。そしてこのエントリは本日社内にて話題を振りまいていましたとさ....。お立場的に書きにくいであろう部分を自Blogにて書いてみたいと思います。
Posted by: wa-ren | 2006.07.26 at 04:26
CNET Japan坂和です、お世話になっております。先週水曜日に上記書籍の版元である早川書房のご厚意で、来日中のTom Kelly氏にインタビューする機会を得ました。もともとプロダクツのデザインから始まったIDEOの事業領域が、サービス→エクスペリエンスとインタンジブルな方面へ広がっていき、いまではリアルなコミュニティのデザインや、企業のchange of cultureを目的としたプロジェクトなども増えてきているそうです。「現在はいろんなコンサルティングファームが、競争力の重要な要素として『イノベーション』を語りたがるが、IDEOといわゆる経営コンサルティング企業との提供するバリューの違いは?」という質問に対し、「彼らは理論やらフレームワークといった『抽象』を現実の問題に適応するというアプローチを採る。それに対し、われわれは現場での観察から問題解決に入っていく。こうした経験(から得られる知見)が何百とあるのは他にない強みだ」とのこと。「現場主義」というか「真のユーザー本位」の姿勢に感銘を受けて帰ってきました。
Posted by: 坂和敏 | 2006.07.26 at 06:21
身につまされるというか、耳が痛いです。
今年、新社会人のソフトウェアエンジニアとして働き始めましたが、
周りを観察すると、利益→価格の維持→付加価値→付加機能という思考で
安易にアプリが搭載されている気がします。
それから、ソフト屋がユーザを見ていない(自分の客はハード屋という認識)
という事も大きいと思います。
Posted by: yuta | 2006.07.26 at 07:55
Skype関連で遊んでますが似たところがありますね。
インフラであってサービスやコンテンツじゃない。重要なのはSkypeを使って何をするかということだと言うこと。
Skype創始者がネットでのTV放送を考えてるみたいで面白そうです。こっちはコンテンツありきなので。
http://www.businessweek.com/bwdaily/dnflash/content/jul2006/db20060724_713810.htm
Posted by: rゆ | 2006.07.26 at 08:33
>>「新技術の導入」だけが先行して、その上で提供されるサービスがないがしろにされているため
某日本企業○onyを思い浮かべたのは私だけではないはず・・・・。
Posted by: bob | 2006.07.26 at 13:14
そして "User Interface is the Queen!"
というのをあるUIについてのレポートで読みました。
"Content is King!"と組み合わせると良いのでは? ^^)
Posted by: ken | 2006.08.09 at 00:57
>そして "User Interface is the Queen!"
これはいいかも知れませんね。覚えておきます。
Posted by: satoshi | 2006.08.09 at 03:56