ビルゲイツの面接試験―株取引編
CTIAの準備で大忙し

株取引問題、解答編

 先日の頭の体操「株取引問題」。かなり手ごたえのある問題だったようだが、たくさんの正解が寄せられた。何よりも私にとって収穫だったのは、この問題には「ランダムウォーク問題」という名前が付いていることをコメント欄で教わったこと(感謝、感謝)。統計学の学者たちはすでにこの問題の面白さに気が付いて、色々と研究を重ねてきたらしい。

 しかし、このコーナーの趣旨に基づき、あくまで中学生レベルの数学のみを使った模範解答をしめさなければならない。

 この問題を解く時に、まず最初にしっかりと認識すべき点は、ある時点での(株の将来価格の)期待値は、その日の株価だけで決まる、という点である(問題中の「過去の株価の推移からは一切未来のことは予想できない」という言葉に注目)。つまり、期待値Eは、現時点の株価kの関数、E(k)として表すことが出来るのである。

 次に着目すべき点は、株価がkだった次の日は、必ず株価はk-1またはk+1になり、それぞれの確率は1/2であること。つまり、1/2の確率でE(k-1)の状態に、1/2の確率でE(k+1)の状態に推移するのである。すなわち、

 E(k) = (E(k-1) + E(k+1))/2

が成り立つのである。「コインを一枚投げて、表だったら期待値100円の宝くじを、裏だったら期待値200円の宝くじをもらえる」という条件が与えられた時の期待値がその平均の150円になるのと同じ理屈である。この式を少し変更すると。

 E(k+1)-E(k) = E(k)-E(k-1)

となる。つまり、kを1つ動かした時のE(k)の変化は、kの値によらず一定なのである。E(k)をkを横軸にEを縦軸にグラフを書くと、E(k)は傾きが一定の直線状に並ぶことになる。

 ここで、問題の条件にある通り、株価が上限のPになったときにも、下限のQになったときにも売却することが決まっているので、

  E(P)=P、E(Q)=Q

である。E(k)はこの2点を通る直線上にあるので、

  E(k)=k

これに初期値のNを代入すると、

 E(N)=N

となる。これを図にすると、こんな感じになる。

Kabuka

 これならば中学生にも理解してもらえるはずだ(とは、言っても、このブログを読んでいる中学生はまずいないだろうが…)。

Comments

タカハシ

なんかあげあし取りみたいで悪いのですが

中学生では関数をf(x)と表すことはありませんし、まず中学生は期待値という言葉を知りません。今は高校課程なのです。教育課程の変化って大変ですね

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